第6話 大阪府民は東京嫌い? 東京 大阪 北海道

「くたばれ東京!!」


 道産子の真実を知って落ち込んでいる東京の側頭部を小さな足が蹴り飛ばす。

 死角から強襲してきたのはやはり朝、校門で襲ってきた小柄な男子、大阪である。


「あべしっ!」


 世紀末風の叫び声で東京が倒れると大阪はすばやく北海道に向き直り見上げる。


「よっしゃ、じゃあ今度はお前の番やで!」

「いや、俺は北海道生まれだぞ」


 冷静なツッコミに大阪はきょとんとして首を傾げる。


「んっ? そやったか? そういやさっきそんな事言ってたあもなぁ、え~っと名前は確か……」

「北海(きたみ)道雪(みちゆき)だ」


 大阪が自分の額をペシンと打つ。


「なんやその名前、なんで『み』が二回も続くねん、あーもーごっつ言いにくいは、もうお前の名前北海道でええわ、北海道」


 勝手な言い分をまくしたてる大阪に北海道は小声で「お前も大阪(おおさか)大河(たいが)で『大』が二回もつくだろ」と言いながらも、


「まあ、好きに呼んでくれて構わない」


 と軽く返す。

 北海道:心が広いのは嘘だが細かい事にこだわらないのは本当


「だが大阪、東京が嫌いなのになんで東京の高校に?」


 当然の疑問に大阪は握り拳を作ると自信満々に、


「そんなん東京を滅ぼすために決まってるやないかー!!」


 と叫んだ。


(そんな理由で来るんじゃねえ……)


 その足元では床に伏したままの東京こと本名東(あずま)京(きょう)の視界はフェードアウトした。






 以上、県民性のプロローグでした。

 この物語は都民と、府民と、道民と、そしてその他大勢の県民達が学園を中心に巻き起こすバカで莫迦で馬鹿で大馬鹿なバイオレンスでほのぼのとした微エロストーリーです。

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