第5話 道産子はおおらかで心が広い? 東京 北海道

「とりあえず話しやすそうな奴から、っといえば」


 東京は北海道の巨体に近づくとできるだけ気さくな感じで、


「よう、さっき自己紹介で言ったけど俺は東京、仲良くしようぜ(おおらか優しくて心が広い道産子ならきっとかるーく友達に……)


 だが東京の思惑とは裏腹に、こちらに顔を向けた北海道の目は冷たく、メガネ越しに鋭い眼光を突き刺してくる。


(かるーく……あれ? なんで殺気を感じるの?)


「なんだお前は、慣れ慣れしい……」


 新雪のように白い肌と髪が北海道の全身から出る不快オーラを引き立たせる。

北海道は東京が思い描いていた道産子のイメージとはあまりにかけ離れた人物で東京は顔を引きつらせる。


「え、えと、あれー……お前道産子だよな?」

「だったらどうした?」


 馬鹿げた身長に広い肩幅、制服の上からでも解る筋肉質な体も相まって、北海道の圧力は象のソレに匹敵した。


「いや、道産子のイメージとは、なんか違うかなって」

「ああ、あれか」


 ますます眉間にシワを寄せると北海道は怠慢な息を吐き出した。


「おおらかだの心が広いとかいうやつの事だろ? あれは北海道が広いからそこに住む人も心が広いとか田舎だから優しい人とかいうお前ら本州の連中が勝手に作ったイメージだ。

実際の北海道は寒く厳しい土地だけにシビアで現実主義、北海道の気候と同じで冷たいやつが多い」


 淡々と解説する北海道の返事に、東京はただ絶望した。


(最悪だ…………)


 北海道:薄情な県 三位

 時間に厳しい県・注意深さがある県 二位

 堅物な県 一位

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る