第50話エピローグ・侑からUへ

侑がUと別れてから十年後、侑は大学に入学して卒業、そして住み慣れた屋敷を離れて、

小さな探偵事務所を開設した。

その探偵事務所の名は「探偵局U」、といっても依頼はほとんど無くて、働いているのは侑と秘書の早苗さなえの二人だけだ。

「今日も依頼が来ませんね・・・。」

「そうだね、何事も無いことがいいことなんだけどね・・・。」

侑がため息をつくと電話が鳴った、侑が受話器を取ると依頼の電話だった。

「はい、探偵局Uです。はい・・・、はい、かしこまりました。住所と電話番号を教えて下さい・・・、はい、ありがとうございます。それでは失礼します。」

侑が電話を切ると、早苗が言った。

「また、怪異関係の電話ですか?」

「うん、今度は泣き出す絵画だって。」

「依頼が来るのはいいですけど、なんでこうホラーというか、そういうのばかりなんですか?この広告に『怪異関係、承ります』って書いたからじゃないんですか?」

早苗は探偵局Uの広告を見せながら言った。

「そういえば気になっていたんですけど、侑はどうして怪異関係の仕事をやろうとしたのですか?」

「ん?気になるの?それは・・・、ぼくが子どもの頃に体験した、謎解きがきっかけなんだ。」

「謎解き・・・?どういうことですか?」

首を傾げる早苗に、侑は昔話を始めた・・。









みなさん、ごきげんいかがですか?

探偵局の所長をしている道明寺侑です。

私は幼少の頃にちょっとしたホラーな体験をして、探偵という職業に目覚めました。

そんなきっかけをくれた彼・Uはもうこの世にはいません・・・。

もうあの不気味な地下迷路は体験できなくなってしまいましたが、彼は私のことを実の子どものように思ってくれたことが、ちょっぴり嬉しかったです。

それにしてもあの地下迷路は一体なんだったのか、私は今になってもその謎が解けません・・・。

父も母も、「あんなものは最初から無い」という感じで、幻みたいなものだったのかというのがおおよその答えです。

ですが私はその体験を忘れることは無かったので、本当だということに変わりありません。

だって、怖いことはずっと頭に残るものなのですから。

それではこれで失礼致します。









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少年を探偵にしたい地下迷路の主「U」 読天文之 @AMAGATA

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