第33話突撃!となりの地下迷路(3)

Uから出題されるこれまでとは違う問題、最初は不安と動揺が大きく、震えていた侑だったが、侑は恐がる気持ちを踏みとどまらせて、問題に挑む決意をした。

『それじゃあ、行くぞ。ある学校にて午前七時十二分、校長先生が校庭の桜の木に首を吊って亡くなっているのが発見された。しかし司法解剖の結果、校長の死因は毒殺であることが判明、自殺の偽装工作を考えて犯人は複数人いると予想された。そして後に逮捕されたのは、教頭先生と養護教諭の先生だった。しかし二人の所持品から毒は見つかったが、ロープは見つからなかった。では偽装工作に使用されたロープを二人はどうやって手に入れたのでしょうか?』

本当に難しい問題だ、バラエティー番組でやっているよりも難しい問題を出してきた。

「うーん、二人の先生が一人でどうやって偽装工作したか・・・」

『どうだ?難しいだろ?』

Uが得意な顔でぼくに言った。

「教頭先生が校長先生を一人で殺して、それから養護教諭の先生と二人で遺体を運んで桜の木に吊るした・・・一体、どんなロープを使って・・・?」

『事件の概要はまあまあ合っているな。でも、まだまだ答えは見えないよ。』

「うーん、やっぱり問題は校長先生の死体を吊るすロープをどうやって手に入れたかなんだよね。あの、質問してもいいですか?」

『ああ、一つだけならいいぞ。』

「そのロープはすでに学校にあるものを使ったの?」

『ああ、その道具は学校にあるものだったぞ。』

学校にあるもの・・・?

侑は頭を捻って考えていた。

「ビニールひもとか・・・」

『残念ながらビニールひもはこの当時は無かったな。」

ビニールひもじゃない、ヒモやロープ・・あっ!

「ぼく、わかった!!」

『じゃあ、答えてみろ』

「校旗を上げるためのロープ」

『・・・正解だ。』

「よし!答えられた・・・」

侑は正解できて一安心した・・・。

『てっきり綱引きの綱と答えると思ったが、案外簡単すぎたかもしれない。』

「うーん・・・、大丈夫か・・・」

気を失っていた男が意識を取り戻した。

「よかった、気がついて。」

『それじゃあ、二問目いくぞ。ある有名な画家の個展から、絵画が盗まれる事件が発生した。犯行時刻は午前五時から午前九時の間、個展の関係者に事情を聞いたが絵画を盗んだ犯人の情報は無かった。しかしそれから、なんと盗まれた絵画が作者の自宅から発見され、そして作者自身が当日に個展から作品を盗み出したことを白状した。さて、作者はなぜ作品を盗み出したのか?』

えっ、個展の絵の作者が作品を持ち出した?

侑は問題に違和感を抱きながら、考え始めた。

「一体、どうして作者は個展から作品を盗み出したんだろう・・・?」

『まあ、作者なら泥棒や窃盗を疑われることは少ないが、絵画を盗む主な理由が無い。さあ、答えを導きだせるかな?』

侑は難しい顔で考えた。

「作品を直したいのなら、個展の関係者に頼み込めばいいんだし・・・。ということは作品の中に何かを隠していたということか?」

『ぐっ・・、もうそこまで来るとは。』

Uはドキッとした、それを見て侑は問題の答えをおぼろげながらにとらえた。

「おそらく、人目には見せられないものということに違いない。例えば、不正の証拠となる書類とか・・・。」

『うーん、答えのつかみ所はいいんだけど、もっとこう・・・、犯罪絡みというわけじゃないんだ。』

「となると、見られたら恥ずかしいものか・・・、昔書いた駄作の絵画!!」

『ブブーッ、不正解です!』

「うわぁーーっ!間違えたーーっ!」

侑は初めて問題に不正解してしまった。

『正解は・・・、へそくりでした。』

「それかー・・・って、確かにそうだけど、へそくりというのは思いつかなかった。」

『さあて、残り一問。これに不正解だと、あの二人は帰ってこないぞ。』

「よし、こい!!」

いよいよ、最終問題だ。

『では、最終問題。ある家で飼っていた猫が行方不明になり、捜索の結果ある屋敷の庭で発見された。庭の持ち主いわく「ここには毎日のように猫がやってくるんですよ。」という。果たして、その庭にある猫を惹き付けるものとは何?』

猫を惹き付けるもの・・・?

「あの、集まってきたのはみんなオスですか?」

『いいや、オスとメスの両方いたよ。』

「じゃあ、メスネコじゃないなあ・・・」

『ネコはなぜ集まったのか?それは果たして、ものに惹かれたからなのか?』

侑はネコに関する知識を頭の中からとにかく集めて、答えを導きだそうとした。

そして一つの答えをみつけた、もう間違えられないが、この答えに侑は全てをかけた。

「そこの庭が、ネコの集会場になっていた。」

『・・・正解だ。』

侑は一瞬ポカンとしたが、正解だと知ってガッツポーズをした。

『三問中二問正解、おめでとう。それでは二人を解放しよう。』

Uは二人を解放した。

「助かったのか・・・?」

「ああ、二人とも無事で良かった・・・」

「会えて良かったーっ!」

三人は再開を喜んで抱き合った。

侑は助け出すことができて、本当によかったと思った。

『今回は侑の勝ちだ、だか次は必ず私が勝つぞ!』

「どんな問題でもこい、絶対に解いてやる」

侑はUには絶対に負けないぞ・・・という気持ちを胸に地下迷路を後にした。







それから三人の男は、侑によって地上へと生還した。

そして侑の屋敷が取材された「ポツンとお屋敷」は、警察沙汰になったこともあり放送されなかったどころか、番組そのものの打ちきりが決定された。

これ以降、侑の屋敷がテレビで取り上げられることはなかった・・・。



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