第32話突撃!となりの地下迷路(2)

侑の屋敷の地下迷路を取材しにきた二人の男、だが地下迷路に入ってから一時間たっても連絡がなく、緊急事態発生だとテレビ側は確信した。

「おい、どうする・・・?おれたちで探しに行くか?」

「いいや、それで迷ったら二の舞になるぞ!」

「その通りだ、ではどうする・・・?」

「もしかしたら、この地下迷路の地図があるかもしれない。重雄さんにお願いしてみよう。」

そして重雄に「地下迷路の地図を出してください。」とお願いした。

「残念ながら、そのようなものはありません。」

重雄は首を横に振りながら言った。

「そんな・・・、絶望的だ・・・」

男はショックでへたりこんだ、侑は見ていられなくなり、男に言った。

「地下迷路のことなら、ぼくがよく知っているよ。案内してあげる。」

「おい、侑。ほっときなさい、自業自得なんだから。」

「でも可哀想だよ、このまま地下迷路に閉じ込められるなんて。幽霊になったら、眠れなくなるもん。」

「わかった、そこまで言うなら行ってもいい。ただし、気をつけて行くんだぞ。」

重雄の許可をもらい、侑は男を連れて地下迷路の中へと入るのだった・・・。






薄い明かりの灯る道を進む侑と男、侑の足取りは早いが男の足取りはカタツムリのように遅い。

「大丈夫?」

「う・・・うん、だいじょぶ・・・」

しかし大丈夫じゃないのはわかっている、だって全身が震えているから。

男は一歩一歩となんとか足を動かしながら、侑に質問した。

「ねえ、この道は歩き慣れているの?」

「うん、だからこの先にある部屋への生き方はわかるんだ。」

「この先にある部屋には、一体何があるの?」

「この部屋には・・・、Uがいるんだ。」

「U・・・?」

男は侑に質問した。

「Uはのこの地下迷路の主で、これまでに多くの人を襲ってきたんだ。だから襲われないようにきをつけて。」

「ヒィイイ・・・」

男は更に震えて、両手で頭を抱え込んだ。

侑は男を励ましながら先へと進んでいく、そしてついにあの扉の前にたどり着いた。

「ここだよ、今から開けるね。」

「ちょっと待って!!大丈夫かな・・・、何かの罠が仕込まれているかもしれない。」

男は恐怖で警戒心が強くなっている。

「大丈夫だよ、問題ないから。」

侑はそう言って扉を開けた、そして部屋にはイスに座った侑が待っていた。

『来ると思っていたよ、侑。お前が取り返したいのは、この二人だろ?』

Uが指を弾くと、奥の部屋から棺が二つ現れて、蓋が開きその中が見えた。

「ああっ!!」

「うわーーーーーーーっ!!」

中に入っていたのは、先に地下迷路へと入ったあの二人だった。

「もしかして、Uが殺したの?」

『いいや、殺してはいない。彼らは眠っているだけだ。ただし、取り返してほしくば・・わかっているな、侑。』

「うん、謎解きだね。」

「謎解き・・・!?」

「Uはね謎解きが好きで、地下迷路に迷い混んだ人たちを、謎解きの景品として閉じ込めてしまうんだ。そうなったらぼくが謎解きに正解しない限り、この地下迷路に閉じ込められたままだ。」

「そんな・・・。」

『それじゃあ、始めよう。ちなみに、侑と一緒にいるその男にも回答する権利を与えよう。』

こうして謎解きの時間が始まった。

『第一問、私が飲むのは紅茶、ぼくが飲むのはホットミルク、ではおれが飲む飲み物はなーんだ?』

「は?なんだそれ・・・?」

男は唐突な問題に首をかしげた。

「はい、オレンジジュース」

『ぐっ・・・、正解だ。』

侑はあっさりと解いてしまった。

「何で解ったの?」

「だって、"おれ"が入っているから。」

『ふふふ、今のはほんのおふざけ。ここからが問題だ。』

Uが得意気に笑いながら言った。

「ん?志向を変えるって、何をするの?」

『今までのは、ほんの遊び・・・。これから出すのは、私が今までに経験した事件の結末を解いてもらう!!』

「それってつまり・・・、探偵の試験問題を解くということ?」

『まあ、例えるならそうなるな。』

「侑・・・、大丈夫か?」

侑は今までとは大きく変わる問題に、不安とプレッシャーを感じた。

不正解すれば、二人は地下迷路から戻ってこられない・・・。そうなれば責任は侑にある。

侑は震えながら地面にへたりこんだ。

「侑・・・、大丈夫か?」

男が心配そうに侑に言った、そしてUに向かって大声で言った。

「おい!何で彼にこんなこと、させているんだよ!!大体、勝手に人を景品として拉致して、答えられなかったらここへ閉じ込めるとか・・・、やっていることがデスゲームじゃねぇか!!」

『ほぉ・・・、地下迷路にてこの私に意見するというのか・・・』

Uの目に怒りが宿った、Uは辞書を三冊ほど念力で宙に浮かせると、男の腹に辞書をぶつけた。

「グハッ・・・」

男は倒れて気を失った、侑が起こしても返事はない。

『さて、この男も景品に・・・』

「やるよ、問題を。」

侑が静かに口を開いた、そしてUに向かって言った。

「君からの問題をやる!だから、この人を景品にするな!!」

『ほう・・・決心したか、ならいいだろう。』

そして侑はこれまでとはちがう謎解きに挑戦する、果たして正解することができるのか・・?







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