第20話執事殺害事件(2)
侑の住む屋敷で起きた、殺人事件。
その殺人事件を解決するために、侑は動き出した。
「まず、やるべきことは蓮実さんのことについて調べなきゃ・・・」
どうしたら蓮実のことを調べられるのだろうか・・・、まずは蓮実と同じ場所で働いている上条に聞いてみることにした。
「ねえ、蓮実さんってどんな人だった?」
「侑様、どうしてそんなことを聞くのですか?」
「あの・・・ぼく、あまり蓮実さんと話したことがなくて、どんな人だったのかなって」
「そうでしたか、彼はとても真面目な人でしたよ。ただ・・・、新しく入ってきた田辺さんとは、あまり仲はよくなかったなあ。」
「どうして、田辺さんとは仲良くなかったの?」
「田辺さんは年寄り気質というか・・・、自分より若い人には『こうであるべき〜』って説教する人でね。私も蓮実さんも、うんざりしていたよ。それでとうとう一ヶ月前に、ケンカになりかけたことがあったんだ。」
「そうだったんだ、ありがとう。」
侑は上条と話した後、今度は田辺に話を聞きにいった。
「蓮実のことか?ああ〜、あいつは真面目なんだけどな、私の言うことにいちいち反論して、嫌味な奴だったな・・・。」
田辺は愚痴っぽく言った。
「それで、蓮実さんとケンカしたことがあるって・・」
「ああ、上条から聞いたんか。そうや、互いにカッとなってな。上条が止めたから殴り合いにはならんかったけど、あれ以降蓮実とは口を聞かなくなったな。」
「そうですか、ありがとうございます」
二人の話をまとめて考えると、犯人として怪しいのは田辺だ。
「だけど、田辺さんがそんなことで蓮実さんを殺すのかな?」
次に調べるのは、あの日蓮実が何をしていたのかについてだ。
侑は屋敷の執事室へ向かった、執事室には執事やメイドたちの予定表があったはずだ。
侑は執事室に入り、予定表を確認した。
蓮実の欄を見ると、当日の時間は買い物と書いてあった。
「つまり蓮実さんは、あの時間帯は買い物で屋敷にはいなかったということだ。それじゃあ、どうして蓮見さんの死体が物置で発見されたんだ?」
誰かが蓮実さんの死体を運んだとしか考えられないが、誰が何の目的でなのかがわからない。
侑は考えたが、答えが見つからずに頭がパンクした。
「もーっ、いくら考えてもわかんないよ!」
侑は気分転換に散歩をした。広い屋敷の回りを歩いていく。
すると侑があることに気づいた。
屋敷の裏庭の地面に、何かを引きずったような跡があるのを見つけた。
その跡を辿ると、屋敷の裏口まで続いていた。
「これはもしかして・・・!!」
侑は裏口とは反対の方向に跡を辿っていくと、駐車場に到着した。
「つまり犯人は車で蓮実さんの遺体を運んで、ここから裏口に入って物置まで蓮実さんを運んだんだ。」
しかし謎は残る、蓮実さんの死体を運んだのはどの車か?
そして蓮実さんはどこで殺されたのかについてだ。
「何か、車についての手がかりがあればいいんだけど・・・」
しかしそれから車について徹底的に調べた侑だが、何も解ることはなかった。
侑の捜査は行き詰まり、どうしたらいいのかわからなくなった。
「こうなったら・・・、Uの所へ聞きに行ってみよう。」
こうして侑は自ら地下迷路へと向かい、Uの部屋へと到着した。
『どうした侑?何か言いたげにしているようだが?』
「実は・・・どうしたらいいのか、わかんなくなった。」
侑はUにこれまでの調査の結果を伝えた。
『なるほどなあ・・・、駐車場には血痕は無かったか?』
「ううん、無かったよ。」
『となるとやっぱり、蓮実は違う場所で殺されて、車に乗せられてここまで運ばれたということだな。』
「だけど、それがどこからなのかわからないよ。」
『侑、これからも捜査を続けるのだ。そうすれば、自ずと謎は解ける。』
「えっ?ヒントは無いの?」
『実際の事件にヒントは無いぞ。』
Uにピシャリと言われて、侑は地下迷路を後にした。
事件発生から五日後、警察の捜査により蓮実の死因は撲殺ではなく、先に首を絞められたことによる絞殺だとわかった。
ハンマーで殴ったのは、衝動的な撲殺に見せかけるための偽装工作ということがわかった。
それから蓮実の身辺調査で明らかになったのが、蓮実には投資によって借金百五十万円を抱えていたことがわかった。
「借金・・・」
侑は借金が殺された理由になっていると思った。
そこで侑は借金のことについて、上条と田辺に聞いてみた。
「えっ・・・?借金のことは知らなかったなあ。あんなに真面目そうだったのに」
これは上条の反応。
「ああ、困っていたことは聞いたことある。それで、いい儲け話はないかって聞いてきたぞ。」
やはり、田辺は怪しい・・・。
蓮実さんの事情と借金を知っていた田辺さん。
もしかして、蓮実と田辺は何かをしようとしていたのか・・・?その最中にケンカになって、田辺は蓮実を殺害したというのか?
そして侑はもう一度、執事室を調べた。
ここに何かあるはずだ、手探りで何かを探していた。
すると部屋の門に置かれたダンボールが目についた。
侑が中身を開けようとした時だった・・・
「それを見てはいけませんぜ、ぼっちゃん」
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