第18話侑の出題
Uの手によって地下迷路へと連れてこられた速水たち、地下迷路から脱出するためには侑が出題する問題に二問正解しなければならない。
「さあ、さっそく一問目に行こう。スピードにあってサウンドにない、ブラックジャックにあってアトムにない、大富豪にあってお金持ちにないものはなーんだ?」
「はあ!?なんだそりゃ?」
速水たちは頭を抱えた。
「こんな問題、わかんねえよ・・・。おい、侑!!もう少し優しい問題に変えてくれ!」
「それは出来ないよ、一度だされた問題を変更することはできない。」
「侑はおれたちがどうなってもいいのか?おれたちは、友だちじゃないのか?」
速水は侑に向かって叫んだ、しかし侑は怯まずに冷静に言い返した。
「君たちは友だちじゃない、ぼくは君たちにお金をあげたけど、ぼくはみんなから何も貰っていないよ。」
侑に泣き落としは通用しない、それならもう自分達で答えを考えるしかない。
「うーん・・・スピード、ブラックジャック、大富豪か・・・?この三つには一体どんな共通点があるんだ?」
「もしかして、トランプの種類かもしれない。」
「確かに、実はいろいろな種類のトランプがあるかも。」
そして速水たちは答えた。
「答えはトランプの種類にあるかないか!」
「不正解、正解は『トランプでやるゲームにあるかないか』でした。ていうか、トランプに種類はないよ。」
侑は笑いながら言った。
「あれっ・・・、間違えた」
「何やってんだよ、速水!!」
「次、間違えたらおれたち一生出られないぞ!!」
二人は速水を責めた。
「なっ・・・、お前らだって答えられなかったじゃないか!!」
三人は誰のせいで間違えたのか言い争いを始めた。
「言い争いはやめて、二問目に行くよ。トラ、ヒョウ、ライオン。この中で、国を食べた動物がいるよ。それはなーんだ?」
「えっ!?国をたべた・・・?」
速水たちは、問題の内容がわからない。
「国を食べる動物なんて、いるわけないだろ?」
「いや、これは謎解きだ。もしかしたら、何か意味があるに違いない。」
「意味・・・、国を食べる・・・。」
三人は頭を捻って意味を考えた。
「もしかして、国を食べたというのは名前に国の名前があるということなんじゃないか?」
「なるほど、でもどの動物にも国の名前なんてないよ。」
「いや、もしかしたら言い方を変えたら国名がある動物がいる。」
「そうか、謎解きってよく言い方を変える答え方するよな。」
「とら・・・タイガー・・・タイガー?」
そして速水は答えた。
「答えはトラだ!」
「うーん、正解だ。君たちもやれば答えられるんだね。」
「そうだ、おれたちを甘くみるんじゃねえぞ!!」
速水たちは問題に答えることができて、得意げになっている。
「それじゃあ、最後はとびきり難しい問題をだそう。ハンコ・こんや・みかん・がまん・きりん・シイラ・いたみ、この言葉をひっくり返しながら順番に読むとき、どんな文章ができるでしょうか?」
「ひっくり返しながら・・・?」
「えっと・・・、はんん?もう、わからんぞこれ!!」
「わからんじゃ、ダメだ!おれたちは正解しないといけないんだ!」
「ひっくり返す・・・、逆から読めということか?」
「こやんんんらん・・・?」
速水たちは答えを導きだそうとするが、答えが見つからない。
「ふふふ、この問題の答えに辿り着くのは、中々難しいぞ・・・。」
侑の顔に邪悪な笑みが満ちていた。
『侑・・・、この上なく楽しそうだ。やはり謎解きの醍醐味は、問題を解く者たちを見て楽しむということだな・・・。』
Uは自分と同じ立場にいる侑を見て、とても感慨深い気分になった。
一方の三人は、問題の答えが見いだせずにいるので、青い顔であわてふためいた。
「早く答えないと、おれたちやばいぞ!」
「カウントダウン、スタート。10・9・8・7・6・5・4・3・2」
「うわーっ!!もうダメだっーー!!」
速水たちは絶叫した。
そしてタイムアウトしてしまった、よって速水たちは二問不正解なので、速水たちは地下迷路へ閉じ込められることになった。
「おーい、出してくれ!!」
「おれたちが悪かったよ!!もう、カツアゲはしないから!!」
「こんなとこはやだーーっ!!」
三人の悲鳴は地下の闇に書き消された。
「ふぅ・・・、これで清々した。」
侑は安堵の表情を浮かべた。
『侑、よかったな。だが、最後の謎を解くことができたぞ。』
「Uには、できたの?」
『あの問題は、頭・お尻・頭と文字を読むことで解ける。つまり、はやみがきらい。速水がきらいが正解だ。』
「やっぱり、Uにはまだまだ敵わないか。」
そして侑は地下迷路を出て、自分の部屋に戻っていった。
結局、速水たちは翌日になっても戻ってくることはなく、男子中学生失踪事件としてこの出来事はニュースで報じられた。
三人は侑の家に行った後どうしたのか、警察が捜査を始めた。しかし、三人の手がかりも存在もつかむことができず、数年後には時効を迎えてしまった。
侑は三人がいなくなって平穏な学校生活を取り戻した、でもUみたいに出題者になるのはもうごめんなのであった。
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