第17話Uのお仕置き
中学校へ向かった侑は、早速速水たちに取り囲まれてしまった。
「おい、侑。金、持ってきただろうな?」
「うん、どうぞ。」
侑はカバンの小さなポケットから折り畳んだ一万円を出して、速水に渡した。
「よし、それでいいんだ。これからもよろしくな、おぼっちゃまさん。」
速水たちはニヤニヤ笑いながら侑を見た。
ここで侑は、Uに言われた通り速水たちを屋敷へ誘うように仕向けた。
「あの、もしよかったら僕の家に来ませんか?お菓子や飲み物も用意しておくよ、テレビゲームもみんなでやろう。」
「え!?来ていいのか、お前の家に・・・」
「うん、ぼくたちは友だちじゃないか。」
「速水、行こうぜ。来ていいって言っているんだし。」
「おれ、広い家で一回遊んでみたかったんだよ!!」
仲間たちに促されて速水は侑の家に行くことにした。
「よし、これでいい。後はUがどうにかしてくれる。」
侑はほくそ笑みを浮かべた。
そして数時間後、学校を終えた侑は速水とその仲間二人と一緒に家に来た。
「うわあ、本当に広いなあ・・・。」
「本当にお屋敷だぜ、俺ん家の家の倍の大きさはあるんじゃないか。」
速水たちが屋敷に驚いている中、新井田が侑たちのところへとやってきた。
「侑様、お帰りなさいませ。そちらの方たちは?」
「ぼくの友だちだよ、ぼくが家に誘ったんだ。」
「そうでしたか。お客様、ゆっくりとしていってくださいませ。」
「うわ、もしかして執事か?」
「はい、上条といいます。」
「すげえ、本物だ!!」
速水たちは新井田をジロジロと見つめた。
「ちょっと、そんなことしないで早く遊ぼうよ!!」
「おお、わりい。それじゃあ、まずはゲームだ!!」
速水たちは屋敷の部屋に行って、テレビゲームを始めた。
広々とした部屋に、気の利いた執事。彼らは悠々自適を強く感じていた。
「よし、そろそろUが仕掛けてくるぞ・・・。」
やがて、速水の仲間の一人が席を外してトイレへ向かった。
それから時間が過ぎて行き三十分後、戻ってこないことに気が付いた速水の仲間が、様子を見に行くと言って席を外した。
そしてその仲間も、数分過ぎても戻ってくることはなかった。
「一体、どこに行ったんだ?侑、探しに行こうぜ。」
「うん、わかった。」
そして侑は速水と一緒に二人を探しに、屋敷の中を探し回った。
しかしどの部屋を探しても、二人は見つからない。
「一体、どこにいったんだあいつら・・・。」
「ねえ、もしかして急用ができて帰ったんじゃない?」
「そんな訳ないだろ、あいつらがおれを無視するわけがない。」
しかし速水はもしかしたらと思い、玄関の方へと向かった。
しかし玄関には二人の靴が、並べられていた。
「つまり二人は、まだこの屋敷のどこかにいるということだね。」
「一体、あいつらはどこに行ったんだ?」
速水はさすがに恐怖を感じ、両足が小刻みに震えだした。
そこで二人を見ていないか、新井田に尋ねた。
「えっ!?いなくなったんですか・・?私も姿を見ていませんが・・・、探してみましょう」
そこで今度は侑と速水と新井田が、それぞれ分かれて捜すことにした。
そして数分後、侑は新井田と合流した。
「新井田さん、見つかった?」
「いいえ、見つかりません。」
「そっか・・・。ところで、速水くんは?」
「そういえば・・・、姿が見えません!」
「そんな・・・、ということはやっぱり!」
侑は突然走り出し、新井田の呼びかけを振り切った。
・・・ここまでは侑の計画通りだ。
二人をUに連れ去ってもらい、それから二人を捜すために分かれると言って、速水を一人にさせてUに連れ去ってもらう。
そして全て上手くいった、後はぼくが地下迷路の中へ入ればいい。
地下迷路へやってきた侑は、Uの待つ部屋へと入ってきた。
『侑、全て上手くいったぞ。さすが侑といったところだな。』
「ぼくもこんなに上手くいくとは思わなかったよ・・・。ところで速水くんたちは、どこにいるの?」
『気になるか?なら見に来るがいい。』
侑はUに案内されて、ある部屋へと到着した。
そこには骸骨になった人と犬が牙を剥いて、速水たちに向かって襲いかかっていた。
「侑〜っ、ここは一体どこなんだ!?ここから出してくれ〜っ!!」
「どうして君たちはここにいるの?」
「実は変な封筒を拾ったんだ、そこには鍵が入っていて『屋敷の宝への扉を開けよ』とあったんだ。それで気になって、屋敷の奥へ行ったら扉があって、開けたら迷路にまよいこんで、ここまで来たんだ。」
「おれも同じだ。」
「おれは捜し回っているときにあの扉を見つけて、ここにいるかもしれないと思って、入って捜したら、この部屋に迷い込んだんだ」
速水たちは三者三様に答えた。
そして侑は、声色を変えて静かに言った。
「ここは地下迷路のUの部屋だよ、君たちはUの怒りを買ってしまったんだ。」
「Uって誰だよ!!おれたちが何をしたというんだ!!」
「それはぼくをいじめたことだよ・・・、Uはねぼくのことが本当に大好きなんだ。だからUは絶対に君たちを許さない。」
「そんな!なあ、頼むよ!Uに悪かったと言ってくれ〜!」
「うーん、それじゃあUの謎解きに挑戦してよ。問題は全三問、二問正解できたら君たちはここから出られるよ。でも失敗したら、ずっと地下迷路の中だよ。」
侑は三人に、冷徹に告げた。
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