第12話Uの執念

侑が朝ごはんを食べ終えたのと同じタイミングで、百合絵が血相を変えてやってきた。

「大変よ!!重雄がどこにもいないのよ!」

「何ですって!!」

「ええっ!?父さんが?」

侑は驚いた、まさかUはお父さんにまで手を出したというのか・・・?

「とにかく、警察に通報するわ。侑は早く学校へ行きなさい!!」

高い声で言われた侑は慌てて学校へと向かった。

「父さん・・・、無事だといいけど・・」

侑はそれから学校にいる間、重雄の無事を祈っていた。

そして数時間後、帰宅した侑は重雄の姿を探したが、見つからなかった。

上条に重雄のことを聞いてみたが、まだ見つからないと返事がきた。

Uの目的は今までと同じで、ぼくを地下迷路へ誘い込んで、ぼくに謎解きをさせるためだ。

「U・・・、きみは何をしようとしているの?どうしてぼくに謎解きをさせようとしているの?」

侑は考えたが、答えは出なかった。

そしてその日、侑は屋敷に来て始めて両親のいない食事をした。百合絵は警察署へ向かったので帰りは遅くなるということだった。

いつもの料理なのに、いつもより味気ない気がした。









そして真夜中、眠っていた侑はふと目が覚めた。

「何かが来た気がする・・・」

侑が辺りを見回すと、ベットのシーツの上にあの封筒が置いてあった。

侑は封筒を手に取り開けた、そこには鍵が入っていた。

「Uがぼくを呼んでいるんだ、行かなきゃ」

侑は部屋を出て地下迷路への扉へと向かった、そして鍵で扉を開けて地下迷路へと進んでいく。

地下迷路を歩くのは二年ぶりだが、迷うこと無くUが待つ場所へとたどり着いた。

『よく来たね、それじゃあ始めようか。謎解き三連続』

「その前に、ぼくの父さんと行方不明の人たちをどうしたのか教えて。」

『それは言えないが、あるところに閉じ込めているのは確かだ。それ以上の質問は聞かない、謎解きを始めるぞ。』

侑は謎解きに向けて、頭の中の闘志を燃やした。

『それじゃあ、第一門。五人でマラソンをしていて、田中くんは現在三位だ。それから田中くんは、一人を抜いて、一人抜かされて、一人を抜いて、また一人抜いて、今度は二人に抜かされた。さあ、田中くんは現在何位でしょうか?」

マラソンの問題か・・・、侑はマラソンがあまり好きではないが、この問題には答えなければならない。

「えっと、一人を抜いて、また抜かされて、一人を抜いて、また一人を抜いた。そしたら二人に抜かされた・・・。」

侑は頭の中でマラソンを思い浮かべた、そして答えがわかった!

「わかったぞ、田中くんは三位だ!」

『正解だ。それでは二問目にいくぞ。』

そして二問目が始まった。

『それでは二問目、赤・白・黄の三チームで玉入れをした。三チームの玉の合計の数は九十個、競技が終わり入れた玉の数を数えると赤が三十・白が二十六・黄が三十四個という結果だった。そうしたら、白チームが「黄チームがズルをした!」と言いました。果たして、白チームの言っていることは本当でしょうか?』

なんだ、この問題?

「えっと・・・、玉の数は九十個で、赤チームが三十、白チームが二十六、黄チームが三十四個か・・・。計算すると丁度九十個になるな。うーん・・・。」

そして侑はひらめいた!

「わかった!三チームの玉の数が九十個ということは、一チームの玉の数は三十個となる。つまり三十個しかないのに、三十四個入れた黄チームは明らかにおかしい!」

『ふむ、正解だ。もうここまで来たんだな、それなら難しい問題を出すぞ』

「よし、来い!」

侑は手を叩いて気合いを入れた。

『では、三問目。五人でキャンプへ行ったグループがありました、五人は山小屋に入キャンプファイヤーの準備をしていました。しかし足りないものを買うために二人が出ていき、それからもう一人が薪を取りに出ていきました。そして出ていった三人が戻ってきて、バーベキューが始まりました。しかしこんどは三人がトイレへと向かい、残った人たちでキャンプファイヤーを囲みながら踊りました。さあ、この中に幽霊はいるのでしょうか?』

「幽霊か・・・、つまり五人の知らないだれかがいるのかを当てるということか・・」

侑は順を追って考えた、最初に五人が山小屋に入って、三人が出ていって、そして帰って来て、キャンプファイヤーが始まって、また三人がトイレに行って・・・。

「あれ?二人でキャンプファイヤーを囲めるの?」

この疑問が謎を解くカギとなった。

「わかったぞ、二人だけでキャンプファイヤーを囲むのは無理だ。それなのに囲むことができるのは、知らない人か幽霊がいないとあり得ない!」

侑はハッキリと言った。

『正解だ、侑。本当に成長したな。』

「これで全問正解だよ、それじゃあみんなを返して。」

『いいだろう、連れていくがいい。』

そしてUは行方不明になった三人の社員と重雄を連れてきた。

「侑・・・、侑なのか」

「父さん・・・!無事で良かった!!」

侑は重雄の無事に涙を流した。

そして侑は重雄と三人の社員と一緒に、地下迷路から脱出した。








行方不明だった三人が生還したことは、テレビや新聞で報じられた。

三人とも、『Uのマークがついた封筒を見つけて、開けた瞬間からの記憶がない』と言っていた。

重雄は引っ越すのをすっかりあきらめた、もう地下迷路へ誘われるのはゴメンだと言っていた。

侑はいつも通りの日々が送れると、ホッとした気分になった。







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