第10話Uの嘲笑

高宮くんを助けに来た侑、しかし高宮くんの代わりに、高宮くんの母親がUの犠牲になってしまった。

高宮の母親はUによって、ロープに縛られ宙吊りにされてしまったのだ。

「U、ぼくが正解したら高宮くんのお母さんを返してもらう。」

「えっ!?どういうこと?母さんが捕まったの?」

『まあ、お前の代わりになると自分から言っただけだ。』

「そんな・・・、どうすれば母さんは助かるんだ!」

『それは侑にすがるしかない。』

「侑、母さんを助けてくれ!」

高宮の願いが侑の心に響いた、こうなったらもう行くしかない。

「それじゃあ行くぞ、次の言葉に必要なのは木か火のどっちだ?」

(あ・さ・し・そ・色・愛)

「木か火って・・・、どういうこと?」

侑は考えた、この問題には漢字も入っていて前よりも難しく見える。

「うーん、難しいよ・・・。」

「がんばってくれ、侑!」

『ムフフフ、さあ悩むがいい。ちなみにあと三分で正解しないと、高宮のおかあさんが丸焦げになっちゃうぞ・・・』

Uは侑を煽りだした。

焦りだした侑、今回はUからのヒントはない。

「木か火って・・・、きかひ・・・きかひ?」

侑はここでひらめいた!

つまりこのひらがなや漢字に「き」か「ひ」のどちらかを入れると、別の言葉になるという意味だ。

問題の意味が解れば、もうこっちのものだ。

「わかったよ・・・、答えはきだ!」

『ふむ、正解だ。ここからはレベルを上げていくぞ。』

侑の体に緊張が走った。

『では、第二問。磁石にはSとNの二つの極がある、S極にくっつくのはなっとう・ニラ・ネコ・ぬり絵だが、N極にくっつくのを四つ答えてみろ。』

「えっ!?磁石にくっつくのは、鉄くらいなはず・・・?」

『わかってないな・・・、これは謎解きであるぞ。』

侑はここでハッとした、これは問題なのだ。問いに隠された意味を見つけて、答えを解くのが謎というものだ。常識なんてのは、ここでは無意味なのだ。

「うーん・・・、磁石のS極ををにくっつくのは・・・、なっとう・ニラ・ネコ・ぬり絵か・・・。」

この四つには一体どんな法則があるのだろうか・・・?

すると上条がこっそり侑に囁いた。

「侑様、磁石につくのは鉄だけではなく、じし」

『おい、何をいっているんだ?』

「ヒッ、失礼しました〜!」

Uにすごまれた上条は引っ込んだ。

しかし侑は上条のこの言葉で思い出した、磁石は磁石どうしでくっつくということを。

「そうだ、確かS極とN極はくっつくはずだ。つまりこの四つにはNがあるということなんだ!」

『おお、答までかなり近づいたな。』

「でも、Nなんてどこにあるんだろう?」

侑はまたもや考え出した。

『ここで、お知らせです。後五分で答えないと、高宮くんのおかあさんをもっと深いところへ落としますよ。』

「助けてーー---っ!」

高宮の母親の悲鳴が鳴り響いた。

「やめろ、U!」

「助けたかったら、謎を解くんだ。」

Uはあせりだした、早くしないと高宮くんはかけがえのない母を失ってしまう。

「N・・・、なっとう・ニラ・ネコ・ぬり絵の中・・・。」

するとUはあることを思い出した!

「あっ、ローマ字だ!!」

確かパソコンでな行の文字を打つ時は、Nのキーボードを打つ。

侑は問題の言葉をローマ字に置き換えた、するとみんな頭にNがつくことに気がついた。

つまりN極につくのは、ローマ字のSが頭につく言葉、さ行で始まる言葉だ!

「わかったぞ、U!魚・しろ・すいか・そうじきだ!」

『ふぅ・・・、正解だ。それでは高宮の母親は、解放しよう。』

そしてUは高宮の母親を解放した。

「徳次ーっ!!」

「おかあさぁーん!!」

高宮母子は再会を喜んで抱き合った。

『さあ、お帰り侑。また、ここに来るのを楽しみにお待ちしています。』

「次からは、ぼくじゃない人に迷惑をかけないでよ。」

「侑様、ご無事で何よりです。さあ、早く参りましょう。」

そして侑は高宮くんと高宮の母親と上条と一緒に、地下迷路を脱出したのだった。








地下迷路から生還した侑と高宮くんと高宮の母親と上条は、待っていた重雄たちと再会した。

そして高宮はその後、家族と一緒に家へ帰っていった。

でも高宮くんにはまた会える、今度は侑が高宮の家へ泊りにいく番だ。

しかし後日、侑が宿泊の準備をしている時に、上条から電話が来たと知らせを受けた。

侑が受話器を取ると、高宮の母親の声が聞こえた。

「もしもし、侑ちゃん?この間は本当にありがとう。それで、今度は侑ちゃんが家に来るってことだったけど・・・、この約束は無かったことにしてほしいの。」

「えっ・・・どうして?」

侑はショックで声がかすれた。

「どうも、あの出来事がトラウマみたいで、部屋から出てこなくなったのよ・・・。これからカウンセリングを受けて、徳次を治さなきゃならないの。ごめんなさい・・・」

侑は高宮くんが可哀想になった。

「いいです、気にしないでください。高宮くん、元気になるといいですね。」

「ありがとう、それじゃあね。」

侑は電話を切った、さみしい気持ちが胸からあふれてくる。

そして日は過ぎていき二学期なったが、高宮くんは学校に現れなかった。

夏休みの最終日に引っ越しをしたようで、侑とは疎遠になってしまった。

それから二年間、侑は一人ぼっちの学校生活を送るのだった・・・。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る