第6話再び地下迷路へ
侑の風邪は二日後にすっかり治って、侑は再び学校へと歩きだした。
しかしまた長澤に会うことを思うと侑の足取りは重かった、できればもう一日学校を休みたかった・・・。
教室へ入ると、他の生徒たちの声が聞こえた。
「なあ、長澤先生今日くるかな?」
「昨日から行方不明なんだよな、一体何があったんだろう・・・?」
「そういえば、侑の家に行ったんだよな。もしかして、そこでオバケに会ってどこかへ連れていかれたんじゃないか?」
「それか、地縛霊に引きずり込まれたとか・・・」
また侑の家の悪い噂を言っているのかと思っていたが、侑はその中に気になるワードがあることに気づいた。
「長澤先生が・・・行方不明?」
侑は信じられなかった、しかしそれから数分後、教室に教頭先生が入ってきた。
「えーっ、長澤先生がいなくなって二日がすぎましたが、みなさんは変わりなく学校生活を続けましょう。」
生徒たちは気の無い返事をした。厳しい長澤がいなくなって、生徒達の気持ちはすっかり緩んでいた。
一方の侑は、長澤先生がどうしていなくなったのか気になって、挙手をした。
「どうしたんだ、侑?」
「あの、長澤先生が行方不明ってどういうこと?」
「ああ・・・、侑は寝込んでいて知らないよな。実は一昨日、長澤先生が君の家に来たんだよ。それで家に上がり込んだようなんだが、それから消息が分らなくなったんだ。君の家族は急用ができて帰ったんじゃないかと言っているが、長澤の家に行ってもいないんだ。」
侑は長澤の身に何が起こったのか気になった。
そして数時間後、学校から帰って来た侑は上条に長澤の事を話してみた。
「ねえ、長澤先生が行方不明になったって本当?」
「そうです。一昨日、風邪で寝込んでいる侑を無理矢理学校へ連れ出そうとしたんです。」
「えっ!?ぼくを学校へ?」
「はい、それで百合絵様と私が話し合ったのですが、とても話にならなくて・・・。重雄様と話し合いたいということで、応接部屋へ通したのですが、三十分ほどして重雄様が応接部屋へやってくると、長澤の姿はもうありませんでした。それで急用ができた帰ったのではということで、私はいつもの仕事へと戻りました。」
「・・・どうして、長澤先生に急用ができたと思ったの?」
「うーん・・・、屋敷の玄関から長澤の靴がなくなっていたいたんです。それを見て思いました。」
侑は上条との会話を終えると、自室に入って考えた。
「どうしていなくなったんだろう・・・、もしかして!!」
侑はあの「U」のマークがついた封筒を思いだした、まさか長澤先生も健太郎くんのようにあの地下迷路の中へ・・・?
「いやいや、ありえない。どうして長澤先生があの封筒を・・・」
侑は考えるのをやめて、宿題を始めた。
そしてその日の午後十一時、ふと目が覚めた侑は用を足しにトイレへとむかった。そしてトイレから出ると、侑の足元にあの「U」の封筒があった。
「これって・・・!」
寝ぼけまなこの侑はすっかり目が覚めた。
侑は封筒を手に取って開くと、そこにはやはり鍵があった。
侑は自然と自分の部屋ではなく、あの扉へと足を運んだ。
扉の前に来ると鍵を開けて、地下迷路を先へと歩んでいった。
「前に来た時もそうだけど、暗いなあ・・・。」
侑は暗い迷路を震えながら進んで行く、途中でオバケがいたと後ろを振り向き、何もいないことにホッとすることを繰り返した。
そしてたどり着いた扉を開けると、あの図書室のような部屋があって、Uが古い椅子に座っていた。
『おお、よく来たな侑。それじゃあ、謎解きの時間だ。』
「うん・・・、わかったよ。」
『ちなみに今回の謎は三つある、もしその内の二問に正解できたら賞品をあげよう。』
「賞品って、何?」
『気になるか?それは・・・、これだ!!』
そしてUが示した扉が開いて現れたのは、薄汚れて青い顔で気を失っている長澤の姿だった。
「長澤先生!!どうしてここに・・・?」
『実は一昨日、この屋敷に来たのを地下迷路へ誘い込んで閉じ込めたんだよ。理由はどうあれ、風邪で寝込んでいる侑を無理矢理連れ出そうとしたのが許せなくて、この男を地下迷路へ連れ込んで、ちょっとお仕置きをしたんだよ。』
Uは不気味な笑顔を見た、こいつはどんなことでも平気でやる人なのだ。
「ひどいよ・・・、また健太郎くんと同じことして・・・。」
『君は優しいなあ・・・。まあ、戯言はここまでにしようか。』
そして侑とUの謎解き勝負が始まった。
『それじゃあ、第一問・・・。がいこつとコンロがあって、君が後一年たてば入ることができる教室はなーんだ?』
「ぼくが後、一年で入ることができる教室?」
侑は考えた。がいこつとコンロがある部屋なんて、今までに聞いたことがない。
『ムフフ、どうだ侑?答えられるかな?』
Uの得意げな顔がいやらしく見えた、侑は頭を抱えた。
「なんだ・・・、がいこつとコンロがある教室・・・、そしてぼくが後一年で入ることができる教室・・・。そんな教室、学校にあるのかな?」
侑は答えが解からず、ただ悩むだけだった。
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