第7話三連続出題

再び地下迷路へとやってきた侑、そこで彼はUから出される問いにl苦しめられていた。

しかし侑が問いに答えないと、閉じ込められた長澤先生を助けることはできない。しかも、侑自身がどんな目に遭うのか解らない。

侑には「答えない」の選択肢は無かった。

「がいこつとコンロがある教室・・・・、コンロなら調理室にあるんだけど、がいこつは調理室には無いなあ・・・。」

『それに調理室は、侑の学年でも入れるからな。』

そういえば、去年の十二月にクルミチョコ作りのために調理室に入ったことがある。

「調理室じゃないなら・・・、がいこつがある教室か・・・。がいこつ・・骨・・学校にあるがいこつ・・・。がいこつ?」

侑はふとあることを思いだした、それは何気なく校舎の廊下を歩いていた時だった。

上のクラスの生徒二人が、がいこつをある教室へと運んでいた。

確か・・・、理科室だった。

でも理科室にコンロがある確証は無い・・・、でもがいこつがあるのは理科室しかない。

侑は思い切って、答えを言った。

「答えは・・・、理科室です・・・。」

『ふーん、お見事。まあ、これは簡単な問題だから答えられて当たり前だ。それじゃあ、第二問。』

侑は唾を飲み込んだ。

『次の〇ににあてはまるひらがなを入れると、人の名前が完成します。それは誰でしょうか?

              

むらさき色の野菜の一番目

         ○


煮物に使われるイモの一番目

すしにつける緑の辛い野菜の一番目

今この場にいる人の名前だよ。 』


                

何だこれ・・・?野菜とかいもとかの名前なの・・・?

でも問題はあてはまるひらがなが関係しているということは間違いない。

「みんな一番目・・・、ということは頭の文字かな?」

Uはおおとうなずいた。

「むらさき色の野菜・・・、なすだよね。煮物に使われるのいもは・・・、さといもだ。すしにつける辛い野菜・・・、なんだろう?」

『すしを食べることを思いだせば、わかると思うぞ。』

すしを食べる・・・、そうだ、わさびだ!!

これで侑の頭にな、さ、わの三つのひらがなが思い浮かんだ。

「この三つのひらがなに、もう一つひらがなを入れると人の名前・・・」

そして侑はうなだれている長澤の姿が目に映った。

「長澤・・・ながさわ・・・、ながさわ!?」

そういえば長澤先生がいたことを、侑は思いだした。

後はもう答えをだすのは簡単だった。

「答えは『が』だ!!」

『ふむ、正解だ。二問とも正解とは、大したものだ・・・。』

「これで二問正解したよ、長澤先生を返してよ。」

『いや、続けて第三問といこう。』

「ええっ!?約束と違うよ!!」

『いいや、せっかく作った三問目を出さないわけにはいかない。さあ、問題に答えるのだ!!』

「ええ~っ・・・」

侑はUの強引さに手も足も出ずに、問題を答えることになってしまった。

『第三問、実は校長先生よりも教頭先生の方が上の立場なのはなぜか。』

「えっ・・・、校長よりも教頭のほうが上・・・。」

侑はわけがわからなくなった、校長は学校では一番偉い人のはずだ・・・。

「一体、どういうことなんだ?」

『前の問題を思いだせば・・・、簡単に解けることなのだがなあ・・・。』

「前の問題を・・・?」

前の問題・・・?ということは、ひらがなが関係しているということか。

こうちょうときょうとう・・・・、上の文字は「こ」と「き」・・・。

ん?「こ」と「き」は確か同じ列のひらがなだ!

ということは・・・・、わかったぞ!!

侑はついにひらめいた!

「最初の文字の「き」が「こ」よりも上にあるからだ!!」

『見事だ、侑!これで三問連続正解だ!すごいぞ、これであらたな名探偵に近づいたな。ハハハ!!』

Uは侑をとても褒め称えた。

「これでいいよね?今度こそ、長澤先生を返してくれる?」

『ああ、いいとも。もう、こいつは用無しだからな。外に出てもいいぞ。』

そして長澤は、Uから解放された。

「侑・・・、ありがとう!これまでお前にきつく当たってすまなかった・・・。本当にありがとう!!」

長澤は今までの態度とは反対に、侑に強く感謝した。

「いいよ、長澤先生。早く出よう。」

そして侑と長澤は、地下迷路から脱出したのだった。







その後長澤は侑と一緒の部屋で寝て、翌日に上条が侑と寝ている長澤を発見した。

最初、不審者に思われた長澤だったが、侑が事情を説明したことで、長澤は疑いを解いてもらった。

その後長澤は、駆けつけた警察と校長先生によって引き取られ、一日休んだ後学校に姿を見せた。

それから長澤はすっかり態度が変わり、生徒への厳しいルールや態度がすっかり失くなった。

「なあ、長澤先生。最近、優しくなったね。」

「どうしてかな、何かあったんじゃないか?」

「というよりも、今までどこにいたんだ?」

生徒たちは長澤の噂で持ちきりだったが、長澤が優しくなったことでその噂は数日後にすっかり消えた。

今、侑はすっかり楽しい気持ちで学校生活を送っている。

「本当にUには困ったものだけど、長澤先生が優しくなったから、それはそれでいいや。」

侑はほんの少しだけ、Uにありがとうと思うのだった。









      

          

              


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る