私の不思議な夢の話

それはいつかの真夏の日なのか。

記憶があるのは、私を含む4人と

遊ぶ約束ををした放課後。学校の前にある

公園で2人と待ち合わせ、友達の家の近くで

合流する手筈。

マンションを抜けて、住宅街の裏に出ると、見慣れない公園があった。そこには、道路に

面する所に一台の柵、そして向かって右斜め

後ろに一台の滑り台、その左斜め後ろに木で

出来た年季の入ったベンチが一台有り、その後ろには申し訳程度に作られた小さな出入り口が有った。周りは木々が囲むように

生い茂っていた。特にベンチの後ろに

控える木は一段と大きかった。

そこで、私たちはそのベンチに座って持ち

寄ったお菓子とアイスを頬張った。

笑顔が絶えない、太陽の光が眩いほどの

午後の3時頃だった気がする。

しかし、気づいたらみんな立ち上がって、

公園を出ようとしていた。

私はまだ、アイスを食べている途中だった。

友達の一人が、早くきなよと私を誘って、

手を差し出す。

でも、私はその手を取る事が出来なかった。

一瞬手を伸ばしかけた時に、知らない場所を

見た気がした。

今、私がこの手を取ってしまうと、

知らないどこかへ連れて行かれそうな、

そんな恐怖心に襲われたからだ。

そんな時、何処からとも無く男の子が現れた。

その子は、私の手を掴んで、

「今、行っちゃダメ。

 もう少しここにいて?

 話をしよう?」

と言ってきた。

この子は、誰だろうという思いよりも

この恐怖から逃れたいという思いが優った。

「ちょっと、話してから行くね」

彼女達に彼は見えて居なかった。

誰とという顔を浮かべる子と、

そもそも届いていない子が居た。

私は、えも言えぬ不信感、違和感のような

不安に襲われた。

みんなが公園を出た瞬間、そこに人は

居なかった。みんなどこかに行ってしまっ

たのだ。

私の不安を感じ取ったのか、私の手を握る

男の子の手に力が入る。

「君も、お祭りに来てる子なの?」

はて、お祭り…、とは、どういう事だろう?

お祭りっt…

聞く前に口が動いていた。

「うん!そうだよ!君も?」

「そう、なんだ。いや、俺は違うよ。

 偶然、通りかかったらお祭りがやっていて

 アイスを貰っただけ。」

気がつけば、あたりには顔馴染みのおじさん達が、公園の前に山車を止めて談笑していた。

ただそこには、見えない壁のような物が

あって、私達と、彼方とを断絶している様に

感じた。

「アイス、私2本も貰っちゃったから、

 一本いる?」

「えっ、良いの?」

「うん、その代わりと言ってはなんだけど、

 その味、気になるから一口ちょうだい!」

「いいよ。」

「やったー!」

「ねぇ、君も本当は、違和感を

 感じてたりしない?本当の、本当に、

 何も感じてないの?」

「………。」

感じてる、感じてるよ。でも、言葉が出ない。

「何か、感じてるの?違和感…。」

私は、思わず、首を縦に振ってしまった。

私が顔を上げると、さっきの賑わいが

嘘の様に、お祭りの山車やおじさん共々、

どこかに消えていた。

「喋れる?」

「喋れな、…!喋れ…る?」

「うん、喋れてる。

 はぁ〜怖かった〜!俺、一人だけ

 おかしくなったのかと思った!」

「君も!?」

「うん。俺の場合、存在に気づいてくれる

 人が少なかったし、気づいた奴も

 気づいた奴で、ちょっと目が

 怖かったんだよ。」

「そう?私の方は、みんないつも通り

 だったけど?まぁ、でもこの非現実的な

 ワープシステムを当たり前に使ってたり、

 知らない公園があったのは怖かったな。」

「だよな!と言っても、俺、ここら辺

 来た事ないけど。」

「あ、そうなんだ。怖かったね〜それは。

 私、耐えられんかも…。いいこいいこ。」

私は思わず、男の子の背中に腕を回し、

彼の頭を撫でてしまった。

「ちょ、ちょっと待った!

 夢の中でも、恥ずかしいのは

 恥ずかしいんですけど!」

「あ、ごめん。そういえば君、誰?何歳?」

「俺の名前は、〇〇、9歳。」

「そうなんだ!私の名前はねぇ、えっとねぇ、

 ✖️✖️、10歳だよ〜、私の方が一歳、

 歳上だね〜♪」

この私は何を言っているんだ?もう15だぞ?

まだ、10で通用するとは言え、

サバを読むには早すぎるだろ。

「分かんないだろ?もしかしたら、俺が

 早生まれで同じ学年もあり得るぞ?」

「えー、それはないでしょ?」

「まぁ、いいよ。所で、君は何処に

 住んでるの?」

「ここら辺。あっちの学校の徒歩5分圏内!」

「?あっちに学校なんてなかったぞ?」

本当だ…、いやしかし、

ここは奥まってるから、

「そんなハズないよ!だって…」

「俺は、ここら辺1キロ分くらいなら、

 殆ど全部の道を曲がって色々見たけど、

 学校はなかったよ?」

嘘だ、それが本当だとしたら…

「君も、夢ん中で飛ばされて

 きたんじゃね?」

その言葉は不思議と腑に落ちた。

「そうなのかな〜?そうかも!

 てか、これ夢なんだ!」

「うん、俺はそう思うけど?」

「じゃぁ、そうかも…。〇〇君のこと、

 信じるからね!」

「おう!」

空が赤くなってきた。

「もうそろそろ、帰らなきゃね〜。

 お母さんが、夕飯作って待ってる。」

「いや〜、ここ夢ん中だから、現実で

 作って待ってるとは限らないだろ。

 しかも、作って待ってるとかだったら、

 朝飯じゃね?」

「そっか。」

『お熱いね〜お二人さん。』

『いつの間にそんな人できたの〜?』

『抜け駆け禁止だよ!もう〜!』

『話、聞かせなさいよ!』

今度は見えているらしい。

「それじゃあね、チュッ。」

不意におでこにキスをされた。

「え、は、え〜!?」

「さっきのお返しね。」

そこで、目が覚めた。

あの不思議な夢は何だったのだろう。

一番印象に残ったのはあの公園と、

友達の後ろに一瞬覗いた、

建物と何処までも広がる蓮の池だった。

そこまで思い出して、

夢を見ていたのだと分かった。


少しでも、思い出せる様に情報載せときます。

私は、白のワンピースみたいなのに、

白地にピンクのチェックの入ったキュロットの様な物を履いていました。

靴はサンダルで、髪は背中の肩甲骨まで

伸びる黒髪を下ろして、麦わら帽子を

被っていました。


男の子は、黒めの焼けた肌に

迷彩柄のタンクトップ、暗い薄緑の短パンと

サンダルを履いていました。

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