第一章

第1話 転生守護者

 ガイネア王国 スラム街 

 その一角にいた、やせ細った孤児がいた。孤児は呆けた顔で、あたりを見回していた。少年の頭の中には、これまで暮らしてきた記憶と共に、別の人物の記憶が流れていた。


「クソっ、頭がいてぇ。転生した反動か?」


 少年は不愉快そうに顔を顰めて、頭を抱える。


(服、装備は貧相すぎるな。これから、勇者を守るって訳じゃないだろうけど、どういう所か分からないからな。ナイフ位は欲しいな。この体、貧弱そうだから振えるか怪しいけど)


 少年は自分の腕をみつめると、透明なボードが出てきた。少し、眉を動かしただけで少年の顔に変化はない。


◇  ◇  ◇


ジン (前世:東郷トウゴウ リョウ)種族:人間 性別:♂ 年齢:5歳

レベル:4

HP :450

MP :450

STR:450

DEF:450

RES:450

AGI:450

INT:450


称号:風の勇者の守護者【最上位ハイエンド】 異世界転生者


コモンスキル

戦闘スキル

剣闘  (Lv10)

槍術  (Lv10)

体術  (Lv10)


魔法スキル

魔力視認(Lv1)


生活スキル

農作業 (Lv7)

料理  (Lv8)

掃除  (Lv9)

計算  (Lv10)

読み書き(Lv5)

裁縫  (Lv4)

話術  (Lv4)

指導  (Lv7)

教育  (Lv7)

礼儀作法(Lv5)

薬草知識(Lv4)

応急処置(Lv10)

念動力 (Lv10)


創作スキル

なし


固有スキル

異世界人補正

【船坂 弘】

最強への道(Lv1)

永久の戦場(Lv1)

【東郷 亮】

メニュー(Lv1)

守護心(Lv1)


ギフト

神の隠蔽

風神の祝福

精霊契約

(契約精霊)*****、*****、*****


装備

武器 :なし

防具 :布の服

装飾品:なし


◇  ◇  ◇


(ゲームみたいだな)


 少年――ジンはメニューの表示画面にある、固有スキルに目を向ける


*最強への道*

自分の獲得経験値を倍加させる、レベルアップ時のステータス上昇値が10倍。集団でいる場合は集団全員の獲得経験値が上昇。[スキル]の獲得過程を簡略化できる、集団にいるときも全員に影響される。固有スキルの能力に当たるか、その所有者に触れると獲得できる。スキルの習得過程を簡略化。


*永久の戦場*

自分の手元や体に小型小銃、手榴弾等の陸軍歩兵が使う武器を召喚できる。弾や手榴弾は魔力、体力に関係なく、無限に召喚できる。加えて強力な再生能力が身に付く。レベルが上がるごとに、弾の召喚速度や召喚数、再生能力が向上する。


*メニュー*

自分や他人の能力が見える。周辺の地図や、周辺にいる特定の相手を見つけることができる。また、別の空間にモノ(生き物以外)を格納することができる。その空間は時間や空間的に隔絶されている。レベルが上がると周辺の地図の範囲が広がり、相手の情報隠蔽や偽装を見抜くことができるようになる、格納量も上昇する。


*守護心*

相手を守護する気持ちが強ければ強い程に能力が上昇する。レベルが上がると、上昇値が上がる。


*異世界人補正*

経験値獲得時に、経験値が倍になる。


(能力が上がりやすくなっているのは、ありがたいな。それに相手の能力がわかるのもありがたい、戦闘時には役立つだろう。勇者が来るまでには、どれくらい強く成れるか)


 亮は自分の能力値を、確認して。勇者が来るまでに、どれ位能力が上がるのか考察している。


(武術や念力が使えるのなら、多少は何とかなるかもな。武術はともかく、念動が使えるのはどうしてだ?)


 戦闘して生きていくと決めたわけじゃないが、物騒な世界らしいからこういう方が良いだろう。


(後は、この体の因縁をどうしようか)


 ジンの母親は殺されていた。相手の名前も素性も分かっている、けれどジンの中の亮は止めていた。最初に勝てないから、そして場所が分からないからである。大人の気持ちと子供の気持ちがぶつかり合って悩みや歪みが生じる。けど、大人な気持ちが悩みを全て切り替える。そのまま自分の生活をどうするか考え始める。


(とりあえず、金を稼ぎたいがどうするか。悪い奴をぶちのめすか、物を盗むか、働ける場所を探すか?)


 悪い奴を倒すという、考えはともかく。日本人の倫理観からすれば、物を盗むというは遠慮したかった。それに働ける場所を探すのも、現実的でもない。スラム街の孤児であるため、信用もない。働かせてといったところで、白い目で見られて追い返されるのがオチだろう。となると都市の外に出て、外にいる獣なんかを狩って食料にするのが現実的な選択肢に思えた。すると――


「おい!食料か、金を出せ!!」


 荒事に手慣れたように、ジンに恐喝してくる、小型のナイフを持ったジンより少し年上の少年が三人出てきた。

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