第51話天使のてんちゃん スパルタ教師
今日の女神様と神様はそわそわと準備をしていた。
「なんで、そわそわしてるでしゅか?」
「てんちゃん、今日は一緒に病院にいくのよ」
てんちゃんは、女神様に手を引っ張られて下界の病院に連れていかれた。何でも死神様が忙しくて女神様に応援を頼んだらしい。病院の503号室に行くと小さな子供が酸素マスクをつけている。どうやら寿命が近づいているみたいだ。
母親と父親が「頑張れ」と強く手を握る。てんちゃんは今まで人の死を見たことがなかった。
「おか・あさ・・ん。天使・・さまが・・」
てんちゃんは自分が見えることにびっくりした。
「ごめんね。こんなに弱い身体に産んでしまって」
母親は泣き叫ぶ。てんちゃんはどうしていいのかわからなくて、おろおろしてしまった。
「さあ、てんちゃん。この子の手を握って、見送る時間なのよ」
てんちゃんは、そっとその子の手を握るとその子の魂が抜けてしまった。その途端その子が息を引き取った。
「お母さん。いままでありがとう。」
この子の心がひどく弱く感じた。てんちゃんは家族が可哀想だと思った。
この子を強くしなければならないと思った。
「じゃあ、いくよ。てんちゃん」
こうして、その子を天国に連れて行ってあげたのだ。次の日からてんちゃんは変わった。
子供たちも恐れる鬼教官になった。
「そんな弱い心だから病気になるんでしゅ。ビシバシ鍛えるでしゅ」
海岸でてんちゃんは自動車のタイヤに座り、その子がそのタイヤを引っ張って筋力をつけるのである。
「弱い心がいけないんじゃ、魂強くするでしゅ!」
遠目で女神様と神様は見つめていた。
「凄いな。てんちゃん、次生まれ変わったら丈夫な子供になるでしょうね」
てんちゃんの特訓は続くようだ。
おわり
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