第43話 天使のてんちゃん べったら市に行く

天使のてんちゃん  べったら市に行く


東京の日本橋の大きなお祭りである、べったら市がコロナになってから延期だったのだが今年は開催されることになったのだ。神様も神様同士でご挨拶など回らなければならなかった。

「今日は、べったら市に行くのじゃが、行きたい人」

はい、はい、と手をあげるのだがさすがにこれだけの人数は連れていけないのである最終的にじゃんけんで勝ったものがいくことになった。むろん、てんちゃんはいつもお祭りが大好きなのでじゃんけんに勝ったらスキップをしていた。

「じゃあ、みんなで行くのじゃ、人間になるためにお薬飲むのじゃよ、天使の輪などみせちゃあかんからのー」

「はーい」

そういってみんなは準備をして下界に降りた。お祭りは大変な混雑だった。屋台もたくさんあり漬物以外の物も一杯あった。

「てんちゃん、お好み焼き食べたいでしゅ」

「そうか。じゃあ探そうかのう」

神様、女神様、てんちゃん、同期の天使ケイちゃんとタク君と5人でぞろぞろ見てまわる。すると、お好み焼きの屋台があった。

「あったでしゅ、神様!」

「じゃあ、神様が並んで買っておいてあげるからみんなで見学に行ってきていいよ。くれぐれもはぐれないようにね」

「はいでしゅ」

女神様も神様と一緒に並んでいたが「女神様も見てきていいよ」と言われたので迷った末やっぱり見に行くことにした。

「ずいぶん色々な、店があるでしゅ。あ、あれは焼き鳥でしゅ」

値段が一本200円。アンパンマンのお財布と相談してやっぱりやめることにした。食べたいものは一杯ある。牛の串焼き、やきそば、りんご飴、チョコバナナ、ポテトフライ。

ケイちゃんが、てんちゃんにお漬物買わないとねと助言すると「そうでしゅそれが目的でしゅ」

お漬物は美味しいのだが、ちょっと独特な匂いがするので真空パックのべったら漬けを買うことにした。てんちゃんはあちこち覗くのだが真空パックがない。

一軒のお店に包み紙でくるんだ漬物が置いてあった。

「これ、いくらでしゅか?」

「えーとね。これは、箱のお漬物だから3000円だよ。おみやげようだからね。普通のお漬物ならもう少し安いよ」

「3000円でしゅか・・・」

てんちゃんがショボンとしていると、今度はタク君が真空パックのお漬物を探してくれた。

「てんちゃん。あったよ。600円だって」

「えっあったでしゅか」

即行で買い求める。だんだん美味しい匂いがあちらこちらから流れて、てんちゃんも食べたくなった。すると、富士焼きそば500円と書いてある。

「てんちゃん。焼きそば買おうか」

「駄目でしゅ。お好み焼きがあるでしゅ」

「じゃあ、僕たち食べたいから食べていい」

「どうじょ」

ケイちゃんとタク君は大盛りの焼きそばを手にしてワクワク感を漂わせる。てんちゃんには目的があった。ベビーカステラが食べたい。お財布を何度も眺めてみんなに買ってあげようと思った。

「てんちゃん。お漬物以外に何も買わないの」

「てんちゃん。ベビーカステラが食べたいでしゅ。」

「じゃあ、みんなでお金出す?」

「大丈夫でしゅ。てんちゃんが奢ってあげるでしゅ」

「いいの」

「てんちゃん、このミッションが目的なのでいいでしゅ」

ベビーカステラ屋さんに行くと機械に生地を入れあっという間にポンポンカステラができるのを見てびっくりした。22個500円。うーんと悩んだがてんちゃんは、食べたかったので気前よく店のおじさんにお金を渡した。ベビーカステラをもらうと笑顔になる。

「わーい。楽しみでしゅね。ほかほかでしゅ。」

そうこう言っている間に、神様を待たせておいたので帰ってくると神様はお好み焼きの作り方を眺め結構面白いなーと思いながらお好み焼き屋に立っていた。

「てんちゃん戻ってきたでしゅ」

「まだ、順番待ちだよ」

女神様もたこ焼き買ってきてくれたのでみんなで、わいわいしながらお好み焼きを買うことにしたら神様が奢ってくれると言ったので喜んでいた。

みんなの分を買い求めて天界に帰り、さっそくお好み焼きを食べる。ホカホカのお好み焼きは美味だった。しばらくして、神様は気がついた。お好み焼きに気を取られ、神社で神様に会う約束をすっぽかしてしまったことに!

「しまった。お祭りにうつつを抜かしてお参り行くの忘れたわー」

そして、てんちゃんも気がついたお薬を飲むことを忘れ天使の輪と天使の羽がついたままお祭を楽しんでしまったことを、パニック状態だった。

「て、てんちゃん。天使のままでお買い物してたでしゅ。天使とばれたでしゅ」

ハロウィンなので子供がコスプレしながら歩いていたと思われるよと神様は思った。

神様は明日も行かないといけなくなった。

「女神様、神様はもう一度いってくるよ。」

「あー。今度は子供たちとは違う時間帯にして、お酒を飲めることにしませんか?」

「あー、わかる、わかる。お酒がすすむものばかり売っていたし・・」

女神様はちいさく、お酒をグイと飲むふりをする。何やともあれいい祭りだった。

                              

                                   おわり

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