第13話 天使のてんちゃん小悪魔に会う

天使のてんちゃん小悪魔に会う


いつものてんちゃんなら、お外で元気よく遊んでいるのだ。しかし、部屋の片隅でシクシク泣いていた。女神さまは心配して声をかけた。

「てんちゃん。どうして泣いているの?」

「神しゃまが、てんちゃんのうまい棒全部食べちゃったでしゅ」

「え?毎日、一本ずつくれる。おやつのうまい棒」

他の子がてんちゃんの代わりに説明してくれた。てんちゃんは毎日うまい棒を我慢して全部の種類を集めようとしていたのだが、神様がお腹すいたとやってきておやつない?と、てんちゃんが、宝箱といってうまい棒を隠した箱を、神様はこんなにうまい棒があるならもらっていくねと、てんちゃんに一言も言わずに持っていってバリバリ食べてしまったのである。あとで神様が謝ったのだがてんちゃんは大泣きしてしまった。神様はあとで全部買うから許してと言ったのだが、てんちゃんは怒って神様の資格なんてないと言ったらしい。女神さまは、それは神様が悪いといった。

翌日、てんちゃんはサスケと一緒に庭のお花を描く約束をしていた。サスケは水墨画が得意だった。てんちゃんはお花に何かいることに気がついた。

「天国の花の蜜は美味しいあるね。地獄はいつも曇りだから太陽と美しい花をみるとなんで小悪魔にされちゃったのか。さびしいあるよ。」

ひそひそと小悪魔が蜜をストローですすっている。

てんちゃんは、小悪魔をガッシと両手で捕まえた。

「お前、小悪魔でしゅか。追放しなければいけないでしゅ」

「ちがうあるよ。よい子にしか見えない花の妖精さんであるよ。普通天国に悪魔なんて入り込めないであるよ」

「それもそうでしゅね。でも角が二本あるでしゅ」

「触角であるよ」

てんちゃんは困った顔をした。すると小悪魔が提案した。

「よい子には、いいことをしてあげよう。わたしの羽についている粉をふりかけると透明人間になれるのだよ。なんでもできちゃうのだよ。二時間だけだがどうだ」

「サスケしゃんどうする」

「そうでござるな。試しにかけてみるか。てん殿」

実はこの粉をかけると悪いことをしてしまう。毒の粉だった。

早速粉を付けると透明人間になった。するとなんだか悪いことをしたくなった。

「どうであるか。本当であったろう。私を逃がしてくれぬか?」

「ダメでしゅ。こんないい粉を持っている妖精さんなら、ときどき使わしてもらうでしゅ虫かごで飼うでしゅ。ふふふ・・・。」

小悪魔は虫かごに入れられ、物置に保管された。

さっそく透明人間になれた二人は神様のもとに走った。たしかおやつが届けられることになっている。いままで我慢していた、うまい棒を食べてやる。

神様あてに届いている箱があった。許可なく開けてうまい棒を取り出す。

「やりましたな。てん殿」

「ふふふ・・。てんちゃんのお菓子の分まで食べるでしゅ」

そのときであった。女神さまが二人の手を叩いた。

「ダメでしょう。もう透明になっても私には見えるのよ。みんなが悲しい思いしちゃうでしょ。おやつはみんなで楽しむものよ」

「なんで、見えるんでしゅか」

「心がきれいな女神さまはわかるの。それに最近、小悪魔がいるって神様が言ってたのよ」

女神さまは、小悪魔の粉の効果をなくすスプレーをポケットから取り出し、てんちゃんとサスケにかけると元に戻った。

「てんちゃん、危なく悪いことしようとしました。ごめんなしゃい」

「大丈夫。これは小悪魔の粉を浴びたせいよ。最近天国にときどきでる害虫みたいなものだから、みんな心配してるの」

「てんちゃん。小悪魔捕まえたでしゅ」

「えー本当」

その後、虫かごに入れられていた小悪魔は退治され、てんちゃんとサスケの大手柄になった。神様はご褒美にてんちゃんとサスケにいっぱいお菓子をくれた。おてがらてんちゃん。

女神さまは、微笑んで二人を見つめた。

                                                           

                                  おわり

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