第4話 静粛の書斎

私の知り合いは特殊清掃の仕事をしていた時期があった。あるとき自殺した高齢者の家を1人担当することになった。その家はゴミ屋敷でこれを一人でやるのかとため息を付きながらも部屋を順々に見ることにした。殆どの部屋が汚かったがある部屋だけ異質だった。


書斎だ。

部屋の真ん中には大きな机が

そして机の後ろには大きな窓とカーテンがあった。

その部屋だけ塵一つもなく掃除する必要がないくらいだった。そして防音対策してるせいか外からの音が聞こえなかった。


机の上には日記帳があった。仕事したくない彼はその日記を読んだ。日記にははやく死にたいだの

アイツが憎いといった恨み言が書かれていた。

まあ自殺したしなあと思いながら読み進めると突然ページが途切れてこの日に自殺したんだなあと思いペラペラページを捲った。すると


赤いボールペンで大きく


すぐにこの部屋から出ろ 振り向くな


と書いてあった。


その直後

後ろから人の気配を感じた。自分以外いるはずないのに


彼は大急ぎで窓から飛び出し外に出た。

その瞬間鳥のさえずりや外を走る車の音、近くで遊ぶ子供の声が聞こえた。

後ろを振り向くと窓は閉められカーテンがシャッと閉まった。

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