第2話 夜の公園にて
私の上司(以下Aさん)の話だ
Aさんは若い頃酒みんなが寝静まった夜に一人で自宅付近を散歩する趣味があった。謎の背徳感があって心地よかったといいう。
その日も夜に散歩していた。そのときに肝試しのつもりで近所の神社に参拝しに行ったという。その神社は鬱蒼と生い茂る木々で囲まれており、普段人の出入りが少ないのだという。
昼ですら不気味な雰囲気を漂わせているのに夜は更に不気味でスリルがあった。そして神社の本殿前までたどり着き参拝しようとすると本殿の片隅にぬいぐるみがあった。
可愛らしいくまのぬいぐるみでこの不気味な空間には似つかわしくなかった。
Aさんは子供の落とし物かな?と思いなんとなく拾い上げた。するとぬいぐるみの中に何かが入ってる感触があった。背中を見るとジッパーがある。Aさんは好奇心でジッパーを開けて中のものを取り出した。
幾多の紙で何かを巾着状に包んだものである。上の部分はテープで念入りに巻かれていた。まるで中のものを封印するかのように紙にはなにか文字が書かれていた。Aさんは月明かりを頼りにその文字を読んだ。
「あの人が憎い」、「返せ」、「恨みます」
等々不穏な言葉が書かれていた。
気味が悪くなったAさんは紙に包まれた何かをぬいぐるみの中に戻そうとした。すると
モゾモゾとまるで中に生物がいるかのように蠢き始めたのだ。思わずAさんはその何かを紙ごと落としてしまった。
落とした直前に包んでいた紙が破け
中にいた何かは素早い動きで木々の中へと姿を消した。
Aさんは呆気に取られながらも破けた紙を見た。
中には子供の乳歯と爪が大量に入っていた。
それ以来Aさんは夜間の散歩をやめたのだという。
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