一番は、会話。これが本当に秀逸です。
会話だけでしばらく進行することもあることから、脚本に近い感覚になることも。
特別な心情描写がなくても、会話だけで雰囲気や心情について読み手の想像力を膨らませてくれます。
主人公が発達障害を抱えているためそれについて色々悩んだり苦しんだりしますが、根っこは普通の女の子が人間関係と共に夢に向かって懸命に生きようとしている姿(ヒロイン)があるだけです。
醜い感情も素直な心もありのまま見せてくれるので、情緒不安定で極端な考えにも至りがちですが、どこかしら共感できる部分が誰にでもある気がします。
主人公だけでなくとも、会話メインな部分もあるので、他の関わる登場人物全てにも感じるかもしれません。脇役含めて各キャラクターが特徴を持って生き生きとしているので、久しぶりに登場しても誰だっけ状態になりません。
あと別作も読んでるので作品の特徴というより作風なのかも知れませんが、主人公視点を利用した謎が見え隠れしており、そこが作品として面白く魅力的なところでもあります。
個人的に好きなのは、WEB小説ならではを活かして、文章なのに視覚的にも描写性を感じる部分です。それは構成も含まれますが、例えば、空白を用いた間や、繰り返される思考や言葉であったり。
それが時に冗長すぎる文ともなっていますが、それが面白さの一部でありユニークな表現方法のひとつでもあり、物語に惹き込まれたり感情移入をしやすくしているので、3章くらいまでは一気に読み進めて見て欲しいです。