第11話 トリオパーティー
「へー、ジューダスって元勇者なんだ」
「そうそう、あくまで元な」
「ですが私としてはジューダス殿には是非勇者に返り咲いてもらいたい」
術者達の魔力を追えるジューダスを真ん中に三人は並び、険しい山道を歩く。
賢者のアルアはエリスやジューダスほどの体力は無いが、長旅に耐えられるよう、レイド学園の術者達は長距離歩行訓練を受けているし、授業の中には山登りもあるので問題は無い。
「でもさー、今思ったんだけど今回の作戦で邪神やっつけちゃったらそれこそ勇者ってお役御免じゃないの?
二人は今回の作戦が成功しちゃったらどうするの?」
言われて、エリスは言葉を詰まらせる。
「えーっと、それは……」
「魔王や邪神がいなくてもモンスターや盗賊退治に要人護衛、勇者の仕事なんていくらでもあるだろ」
「そ、そうですよね! そうだアルア、私は邪神がいなくてもそういう仕事で世界の平和を守るぞ」
慌てて言い繕うエリスをジト目で見るアルア。
考えて無かったのかよ、視線でそう語ってくる。
「うぅ……」
「おい、向こうに兵士が倒れているぞ」
「なんですと!? それはうちの隊に違いありません! 今すぐ行きましょう!」
全力で走り逃げるエリス、アルアが頬を含ませて後を追う。
「これは……」
それは、地震で気を失っているわけでは無かった。
地面に転がる三〇体近い鎧兵は全員鎧ごと体を引き裂かれ死んでいた。
誰か一人でも生きている者はいないかとエリスが必死に探し、そして僅かな呻き声を頼りにしてようやく一人だけ生存者を見つけたが全身血まみれで、もう回復呪文でも助からないありさまだった。
それでも、ソレとコレとは話が別だとエリスは兵士の裂けた胸に手を当てて全力で回復魔法をかける。
「しっかりしてください! 一体何があったのですか!?」
必死の呼びかけに、虫の息の兵士はかすれた声で、
「ま、魔族が……」
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