第10話 合流

「ジューダスさん、私と一緒に作戦に加わりませんか?」

「なに?」


「私は、諦めるのは早いと思います。

 ジューダスさんは私よりも強い、その力で今回の作戦に力を貸してください。

 この作戦で大天使を召喚させることができれば世界は救われます。私達でその手助けをするのです。

 地震の影響で隊は今人手不足のはず、隊長もきっと貴方の参戦を認めるはずです」


 ジューダスは振り返る。


「だけどお前、俺は――」

「貴方は世界を救いたくないのですか!?」


 思わず大きな声を出してしまったが、それだけにエリスの気持ちが伝わったのか、先程までの暗い表情が消え、ジューダスはため息をついた。


「強引な譲ちゃんだな、それじゃあ久しぶりに頑張ってみるかなと」

「ハイ!」


 はじけるような笑顔でエリスにジューダスが思わず魅入る。


 普段は厳格なエリスだが、時折見せる可愛らしい笑顔はそれほどに魅力的で、アルア曰く魔王も落ちるヒーロースマイルとの事。


 逆にエリス曰く、笑顔で魔王が倒せれば勇者はいらない、エリスは空気の読めない娘なのだ。


「ん? あれは」


 空気の読めない娘エリスの視線の先には、白いローブを着た小柄な女の子、それは間違いなくアルアである。


「無事だったのかアルア!」


 斜面を一人登っていたアルアはこちらを振り向くと跳び上がり、全力疾走で迫って、


「エリスはっけーん! ぐばはっ!」


 胸に手が触れる寸前で叩き落とされるアルア。


 地面に顔がめり込み、手足を痙攣させている。


「何するのさ!」


 土だらけの顔を上げて抗議するアルア、だがエリスも負けない。


「会ってそうそう何故胸に飛び込む? んん?」


 拳を振るわせるエリスの足にすり寄り、


「だって、もう何時間も揉んでないんだもん、そろそろエネルギー切れだよー」

「そいつは誰だ?」

「ああ、こいつは私のパートナーで賢者のアルアです」

「って、エリス、誰そのイケメン!」


 普通の女子なら見惚れそうな顔を指差し、アルアはむしろ憎らしげに睨みつける。


「ああ、俺はジューダスって言って――」


「ははーん、さてはあんたエリスちゃんの爆乳狙ってるでしょう!

 エリスちゃんに優しく近づき隙を見て特盛りおっぱいで(自主規制)や(自主規制)や(自主規制)して(自主規制)するつもりなんだ!

 そうなんでしょ! そうに決まってる! でもそれはあたしの野望! 誰にも邪魔はさせなぐるぼぉおおおおおおおおおお!!」


 エリスのヒザが深く腹に食い込んだ。


「ジューダス殿を君と一緒にするな!」


「ぐ、ぐぬぉおおお……でもまっとうな人間ならエリスを見ると同時にそのたわわな果実を揉んで吸ってつついて持ち上げ挟まれ埋もれたいと思うはず。

否、思わない奴は人間じゃない……」


「ジューダス殿、彼女を悪として斬っていいですか?」

「ギリで駄目だ」


 舌打ちをして抜きかけた剣を収めるエリス。

 その目は実に残念そうである。


「エリス、こいつは賢者なんだよな?」

「ええ、残念ながら」


「何さあんた、あたしを疑ってるの? これでも一度読んだ経典と魔導書は一字一句暗記してるし、一度目にした美少女計五千人のスリーサイズ覚えてるんだから!」

「そんなもの目にしただけじゃわからないだろ」


「バカにしないでよ! あたしは服の上からでも美少女のスリーサイズは見ただけで分かるんだから!

 エリスちゃんは上から――」

「言うな!」

 

 エリスの跳び蹴りがアルアの延髄を打ち抜く。


「がは! エ、エリスちゃん、ちょっと相談あるんだけどいいかな?」


 うつぶせに倒れながら震えるアルアにエリスはゴミを見る目を向ける。


「なんだ?」

「最近エリスちゃんの攻撃が気持ち良くなってきちゃったんだけど、あたしどうすればいいのかな?」


 エリスのローキックがアルアの顔面をふっ飛ばした。


「お前ら仲いいなあ」

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