新たな仲間
「おい人間!お前良い物作ったじゃないか!へへへ、寄越せよそれ」
そう言ってやって来た一体のゴブリン
「……デーク、これは人間が頑張って作った物だ。それをいきなり寄越せとはあんまりじゃないか」
仲良くなってきたミッシュは僕の味方をしてくれる。だけど……
「うるせぇな!ミッシュお前、まさかこの奴隷の味方してるのか?」
そう、この村では人間である僕はゴブリン達の奴隷。それが僕が殺されない為の条件
「おー、人間。ミッシュ。今帰ったぜー」
「あ、あれ?デークじゃないか?どうしたんだこんな所に?」
「………何か、あった?」
そこにこの日の獲物を獲ってきたイッチ達が帰ってきた…………
…………僕はこの時、また頭を何かがよぎる感覚がした……
「デークくん、君も一緒に食べないかい?」
僕にはまだまだやりたい事があるんだ!こんな所で止まる訳にはいかない
「こ…これ、は………」
結果として、デークくんも僕達の仲間になった
ただ、デークくんも狩りに参加すると思ったら、デークくんは僕の住処に興味があるようで
「人間、お前からこれはもう取らない。だけど俺もこんな住処が欲しい」
デークくんが住処に興味を持ったのは予想外だったけど、これは嬉しい出来事だった
「……この住処は大変だからすぐには出来ないけれど、もう一つの方法を使えば今よりもっと頑丈で、雨も風も入ってこない寝床を作れるよ?」
「なに⁉ほんとか?作れ!今すぐ作れ!」
「でも非力な人間の僕には力が足りないんだ……僕より力の強い…そう、ゴブリンが協力してくれるなら今からでも作れるかもしれないなぁ……」
「んだよそれ!俺が協力するに決まってるじゃねえか!」
フフフフフ………やっぱりこの村のゴブリン達は皆優しい者達ばかりだ
場所を移して僕の寝床から村長のいる岩山に近い場所に移動する
この辺りがデークくんがよく使っている場所らしい
僕は頑丈な住処を作る時に考えた、もう一つの方法を取る
先ずはまたまた穴を掘る。だけど掘るのは三つだけで、大きさも僕の膝くらいの高さ
掘り終わったら木を三つ、穴に刺す。木の高さはデークくんよりも少し高いくらい
そうしたら三つの木を倒していって三つの木をぶつける。その場所ですばやくツタを使い繋ぎ合わせる
後は立てた木の中の方に土を盛って周りより高くして、僕の住処と同じようにツタを、立てた木に繋いでいって葉っぱのついた木の枝をたくさんぶら下げていけば…………
「完成!どう?簡単でしょ?」
「……確かに…簡単なのに………うん、いつもの寝床より頑丈だ」
デークくんの住処が出来たと言うのに、何故かあまり嬉しくなさそうなデークくん
「人間……お前はいいよな…人間てやつはこう言う物を作ったりだとか、手先が器用だ…俺はゴブリンだからよ……お前より力は有ってもツタをあんなふうには繋げられねぇ…」
………全く………デークくんは何を言っているのやら…
「僕も最初は出来ませんでしたよ?」
「…なんだと?うそつけ!人間は器用なんだ!お前も出来るからそう言っているだけだ!」
「本当ですよ?でも、いつもいつも、皆の寝床を直しているうちに少しずつ早くなっていきました」
僕は言いながらボロボロの手をデークに見せる
指先は皮がめくれ、今も血が滲んでいる
手のひらは所々ボコボコとなっていて、さっきまでの作業でまた皮が破れてやはりこちらも血が流れている
「………………」
デークくんは自身の手と僕の手を何度も見ながら、何度かうなずき、そして………
「……おい人間!この頑丈な住処は、明日から俺様が作ってやる!お前は寝床直しの時は俺様が作っている住処作りを見ていろ。そしてダメな所があったら言え」
「明日?」
「…次の光が昇った時って事だ!それくらい覚えろ」
………僕に新しい言葉を教えてくれたデークくん
僕にまた、協力してくれるゴブリンが増えました
明日になった日から、デークくんは村にあの頑丈な住処を作っていきました
僕は捨て物をすばやく終わらせると、デークくんの作る住処作りを手伝います
「手ぇだすんじゃねぇ!お前はそこで見てろ!」
………どうやら手は出さずに指示だけ欲しいみたいです
そんな僕等を、周りのゴブリン達は不思議そうに見ていきます
当然です。奴隷である僕が、ゴブリンに作業をさせているのだから
………少しくらいなら……
「手ぇ出すなって言ってんだろ!」
……デークくんは怒ると怖いです。でもデークくん、僕はこの今の状況の方が怖いんです……
僕等を見る周りのゴブリン達の目が……
「だからお前は見てろって!」
「うぇ⁉」
しつこい僕を殴るデークくん…
デークくん……何で村の中心から作り始めたのさ………
ほら…村長も見てるよ……
デークくん?デークくん!
なんだろう……お腹が痛い気がする………
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