第14話 三嶋和泉1-6
ダンジョン生成に巻き込まれてから4日目。本日はダンジョンでの活動自粛日である。そもそも、和泉は3日も続けて外をうろうろするなど本来不可能。恐ろしくまずい回復薬を1日2回から3回も飲むことで実現する活動を連日続けるのは負担が大きかった。
今日から日課となる畑の手入れを終えたら、自宅近くのスペースに腰を下ろす。
《『調合』関連クエストを進行します》
【はじめての調合(準備)】
『下級調合台』
調合初心者の調合用作業台。調合に必要な道具が最低限揃っている。
調合行為に補正(微)
まず、促されるままに設置。まだ回復薬の在庫はたっぷりあるが使い潰し続けるわけにはいかない。体力と傷の回復はできても痛みは消えない。クエスト報酬等で材料系も溜まっているのだから、早いうちから始めて、様々な種類の薬を備蓄したかった。
《“♪”『調合台』を入手しました》
【蒸留水を作ろう】
即座に開かれるレシピウィンドウ。以前後で確認しようと考えた図鑑機能と連動していて、開かれた蒸留水のページは蒸留水の作り方が道具の使い方から書いてある親切設計。興味本位でページを戻せば、この調合台で作れるもののレシピ一覧がでてくる。ただし、?マークが大量に踊る。完成品がわからないものの、材料の欄が幾つか埋まっているレシピが幾つか。
材料を採取できていないと虫食いレシピになるらしい。材料を手に入れてしまえば解放されるなら親切な設計である。研究者よろしく、様々な素材で実験なんて勿体ない真似はしたくなかった。
そう思いながら、こぽこぽと蒸留水を作り出す。普通に飲める飲料水を使ったらダメなんだろうか?そういうところは応用として実験したらできたりするんだろうか。そもそも、火を使うのは料理用の焚き火で調合台の意味はなどと思いながら見守る。
で、暫くすれば蒸留水が完成。因みに、調合台の設置クエストクリア報酬は調合の消耗品セットとやらで、箱にドンっと太っ腹だったため、蒸留水はその容器へ入れて完成。
蒸留水の完成報酬は薬草だ。
【はじめての回復薬】
次のクエストが立ち上がれば、当然のようにレシピが開き、???だった見出しのところが下級回復薬と変わった。指定される薬草と蒸留水を使って手順通りに作っていく。各種薬草を洗ったり分けたりするところからで、すり潰したり混ぜたり。煮込んでみれば出来上がり。
『最下級回復薬』
低品質の回復薬。
クエストで手に入っていたのは『初級回復薬』そして普通の『回復薬』だったが、やはり出来は関係するのだろう。低品質だとどう効きが違うのかも後で確認しておかなければ危ない。数値を示されるわけでないため、重要な検証だ。5本分の最下級を前に息を吐く。
「(薬草の鮮度とか、手際か)」
ふと、開けてみたクエストでもらった薬草。ほんの少しだけ水を探した探索中に見つけてむしった薬草も持っている。鑑定などは持っていないが、『箱庭』の音声補助があり、ストレージに入れれば完璧に状態がわかる。採取で状態が変わることはもちろん、保存方法なども関わる。
ということで、実験すること暫く。
『下級回復薬(上質)』
限界まで品質を高めた下級回復薬。
ということです。すり潰し方から火にかける時間他、微調整を重ねた結果出来上がった最上級。薬草だけでやれる限界がこれなのだろう。没頭している間にクエストをいくつかクリアしてまた調合関連の素材等を手に入れた。
「ん?ああ、スキルも手に入ってたんだ」
と、メニュー画面を確認していて気づいた。『調合』スキルを途中で入手したことで手際や品質に影響が出ていたらしい。スキル取得が早い気がするが、それは相性が良かったのだろう。すり潰す加減やら火を入れる加減などの勘が終盤冴えていたのは恐らくこれのおかげだ。
納得しつつ存在を主張する納品クエストを確認する。在庫があることと、下級回復薬は材料があればトントンで最高品質を量産できるようになったため、納品を数回こなしておく。EPを得て、納品数と回数で素材と消耗品をまたわずかに補充する。
「よし、回復薬の不安が解消されたから、後は種類」
用途別で色々揃えたい。クエストの影響でレシピに出てきているのはなぜか毒薬。まあ、確かに調合である。あと、簡単な虫除けと等も作れるらしい。回復薬以外には劇的にファンタジーなものは見当たらない。クエストの報酬で材料が揃っているのもあれば、材料収集のクエストが出ているものもある。
とりあえず、作れるものは作ってしまいたいが、没頭した結果少し昼が過ぎている。
《休憩を挟み、午後は予定通り罠の製作を推奨します》
「だよね」
優先順位は其方だ。鉄でできた釘などを使わずに木工を行うことになる。一応、簡単で小さな物であれば学校で習ったが、兎を捕まえる罠の規模を思えば不安が大きい。しっかり食べて、お昼寝の後集中して取り組もう。そう切り替えて、薬関係のメニューを閉じた。
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