死者殺しのメメント・モリア
夢見里 龍/メディアワークス文庫
『死者殺しのメメント・モリア』第1巻試し読み大増量
プロローグ
死は等しく青かった。
崩れた神殿のなかで青が、燃えていた。折り重なるように横たわった人々が青い
青ざめた
想いかえせば、娘の側には絶えず死があった。
「願いをいってごらん」
焰がゆらめき、誘うように娘へと
娘の
故人を想う哀悼の涙も、熱がかよわなくなった死者の頰も、一族の喪服も棺も、墓から燃えたつ
死は青い。
ならばいま、娘の瞳に映る人
「ふうん、いい瞳だ。気にいったよ。あんたの願いならば、なんだってかなえてやろう。
娘は渇いた唇を震わせ、願いを紡いだ。
焰のなかに浮かびあがる青き双眸がぐにゃりと歪む。死神が笑ったのだ。
「あんたは愉快だねえ」
ぱちんと娘を磔にしていた
「契約を結ぼう。望みを遂げるまで俺はあんたの従僕だ」
娘は契約の
「それでは、
魔法をかけられたように娘の意識が緩やかに落ちていく。それから娘は死んだように眠り続けた。五十年にも及ぶ長き眠りを経て、彼女は時を渡り死を巡る永遠の旅人となる。
すべては、たったひとつの望みを遂げるために。
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