第21話お買い物①


 俺、舞ちゃん、迅君、一ノ瀬さんは土曜の新宿で待ち合わせていた。新しい新宿も親達が話してくれたように華やかな街だ。


「研君!」

「舞ちゃん」


 手を振りながら元気に走り寄ってくる。私服姿は初めて見た。可愛い。めっちゃ可愛い。格好はみんなが好きなふうに決めてくれ。


「研君。格好いいね。私服初めてかも」

「ありがとう。舞ちゃんも、似合ってるよ」

「ありがとう!」


 ラブラブ感。これが本気なのか舞ちゃんの距離感なのか。まるで分からない。


「ま、舞ちゃんは好きな人とか出来た?」

「え!? どうしたの?」

「ただの雑談だよ」


 俺は笑って誤魔化す。


「いないかな!」


 おっと。玉砕です。笑って下さい。


「研君は?」

「俺はいるけど、叶いそうにないな」

「萌香さん? 薫ちゃん?」


 もうやめて。嬉しそうに聞かないで。


「違うよ」

「あれ! 違うんだ。うーん」


 舞ちゃんが真剣に悩んでいる。どこかわざとらしさを感じるのは俺だけかな。


「あ! 私…」

「みんなぁ!」


 一ノ瀬さんが合流する。話が終わってホッとする俺。舞ちゃんの最後の方の言葉がよく聞き取れなかったな。そして舞ちゃんをみると何故か不機嫌になっていた。何があった。


 その後迅君も合流。


「みんなステータスはどんな感じになった?」

「私はね!」


名前:月野舞

種族:人間

Lv:40/100

HP:295/295

MP:295/295

攻撃力:205

防御力:355

俊敏:205

器用:205

運:40


SP:0


ギフト一覧 


騎士の盾:Lv1 ⭐︎⭐︎⭐︎

魅了:Lv2 ⭐︎⭐︎

HP強化:Lv1 ⭐︎

防御力強化:Lv10 ⭐︎

器用強化:Lv10 ⭐︎


「器用さを強化したんだ」

「うん。赤月さんが器用さは盾の操作に役に立つって教えてくれて。今からでも遅くないって言われたの」


 舞ちゃんは嬉しそうに微笑む。


「次は私ですね」


 一ノ瀬さんの番。


名前:一ノ瀬薫

種族:人間

Lv:38/100

HP:285/285

MP:425/425

攻撃力:195

防御力:195

俊敏:195

器用:195

運:38


SP:0


ギフト一覧 

逆行する時間:Lv1⭐︎⭐︎⭐︎

結界壁:Lv9 ⭐︎⭐︎

MP強化:Lv10 ⭐︎

HP強化:Lv1 ⭐︎

防御力強化:Lv1 ⭐︎


「より明確な書き方になったんだね」

「うん。逆行する時間バックワードタイムって言うんだ。あったはずの時をパッと消すの。傷も治せるんだよ」


 一ノ瀬さんが自慢げだ。


 本当に凄い能力だ。レア度で言えば、俺の【剣帝】よりも希少価値が高いだろう。


「おっしゃ! 俺だな!」


 拳を突き合わせて、気合を入れる迅君。


名前:綱紀迅

種族:人間

Lv:38/100

HP:285/285

MP:285/285

攻撃力:325

防御力:195

俊敏:234

器用:195

運:38


SP:0


ギフト一覧 

力の求道者:Lv1 ⭐︎⭐︎⭐︎

武道:Lv1 ⭐︎⭐︎

攻撃力強化:Lv10 ⭐︎

俊敏強化:Lv8 ⭐︎

MP強化:Lv1 ⭐︎


「力の求道者か」

「そうだぜ。進化の時に何を求めるか聞かれてよ。力って答えたらこうなったのよ。基本ステは+100されるが、攻撃力だけ+300される。レベルが上がるごとに効果は+5ってとこだ。すげーだろ!」


 求道者の進化系は複数あり、何を求めるかによって、強化されるものが違う。更に求道者がレアな力なのはそのステータスの向上力だ。異常とも言える高さを誇る。更に身体的なリスクはなく、いつまでも効果は続く。


「研君は?」


 舞ちゃんに聞かれる。


 自分は予感の力を上げたところ。ミックスアップの選択肢があった為に、実行したことを説明した。


「ミックスアップ…聞いたことあるけど本当にあるなんて。研君は更に強くなるね」


 迅君も一ノ瀬さんも驚いていた。


「まあどうなるか分からない。ミックスアップはよくなかったって話もある。これからだよ」

「そうだね!」

「店は近くだから、買い物に行こうか」


 舞ちゃんと並んで歩く。迅君も一ノ瀬さんもついてくる。


「あのよ。薫ちゃんよ」

「何?」

「あの2人、近すぎねぇか?」


 迅君が異様に近い2人を見ている。


「近い…ね」

「女ってのは、好きでもねぇ奴にあんなに近づけるもんなのか?」

「人によるんじゃないかな。私は無理」


 一ノ瀬もどう見てもカップルに見えると思っていた。あの2人は会った時から仲が良かったように見える。運命的な2人なのだ。


 ボーッとそんな風に2人を見ていたら、目的のお店に着いたようだった。一ノ瀬は慌てて店に入っていく2人を追いかけた。


__


「「おー!」」


 平和魔道具店東京本店と看板が掲げられた魔道具店の自動ドアをくぐり抜けると、そこは左右どちらを見ても光輝く魔道具。魔道具はダンジョンより見つかった装備や装飾品のこと。人工に作られたものより数段性能が良い剣や人工では再現できない属性を纏った物など多岐にわたる。


「どれだ! どれが一級品だ! 金ならあんぞ!」


 興奮した迅君が喚き散らす。


「おい! 迅君落ち着け! 他の客に笑われてんだろ!」


 ここには本当に第一線で働く探索者も多く来る。多分…俺達が一番金はない。


 ウガウガ吠えている迅君を3人で必死に抑え込む。きゃあきゃあやってるうちに楽しくなってしまって、店員に怒鳴られてやっと落ち着き、本格的な買い物を始めることにした。

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