第6話仮想ダンジョン①


 中間試験が開け、毎日訓練と雑学の繰り返し。相変わらず仲が良いのは舞ちゃん、萌香、冷児の3人。冷児達は特進ですでにインターンでギルドの仕事を手伝っている。なので最近は会えていない。舞ちゃんと仲良く飯を食う。


「仮免の模擬訓練もうすぐですね」

「ああ。天明の名物だもんね」


 天明の広大な敷地を掘り、わざわざ仮想ダンジョンを作り上げた。


 仮免は攻略された魔物がポップしないダンジョンに弱い魔物を解き放ち、撃破したポイントが一定数を超えれば合格となる。


 模擬訓練はそれのシュミレーションというわけだ。


 模擬訓練も同様にパーティを即席で組み、ホログラムで作られたモンスター達を撃破する。中々最先端の技術が投入されている。


「噂では本当の魔物もいるみたいです。本番と違って逃げても良いみたいですけど」

「それ出す意味あるの?」

「魔物に慣れろって感じですかね」


 その後も模擬訓練の話をしながら、昼ごはんを一緒に食べていた。


__


 天明高校 校長室


「これはこれは。月野グループの方とか」


 校長が丁寧に対応している。月野ダンジョン開発は毎年多額の支援金を天明に寄付している。理事長ですら頭が上がらない額である。


「どうも。今年も模擬訓練はされるんですよね?」


 黒いスーツを着た男性がいきなり本題に入る。


「ええ。今週実施の予定です」

「今年はこのモンスターを配備したいのです」


 男は校長に赤く光る宝石のような石を渡す。


「これは…モンスターストーンですか」

「私が捉えたモンスターでして、支配権は私にある。生徒に無茶はしません。お約束します」


 校長は胸騒ぎがした。このモンスターストーンに何が眠るのか。それは支配権があるものにしか分からないからだ。


 校長はモンスターストーンを相手に返す。


「何故わざわざ?」

「毎年同じではつまらないでしょう。ほんの余興です」

「分かりました」


 相手が相手。校長は頷くしかなかった。


__


 仮想ダンジョン模擬体験当日。


「おー! これが仮想ダンジョン! 本格的!」

「本当ですねえ」


 俺と舞ちゃんはダンジョンの入り口に立つと、大きな穴を見る。これが本物のダンジョンならもっと禍々しいものなのだろうか。


「おい! 目許! 月野! パーティ発表するから、こっち来い!」

「「はい!」」


 急いでDクラスの輪の中へと入る。正直舞ちゃんと常にいるので、男子は敵だらけ。女子は無関心。仲のいいやついねえ。誰になろうと気まずいなぁ。


 次々と名前が呼ばれる。人は少なくなっていく。


「目許! お前チームリーダーな」

「あ、はい!」


 チームリーダーかよ。4人編成とはいえ、初めましての人に命令すんのもな。


「パーティは月野、一ノ瀬、綱紀」


 舞ちゃんはラッキーだけど、あとは顔と名前が一致しない。


「メンバー集まって!」


 ぞろぞろと集まってくるメンバー。舞ちゃんだけ駆け足だった。


「同じで良かったぁ」

「そうだね。他の皆さん。あの初めまして。名前とステータスを教えてもらえますか?」

一ノ瀬薫いちのせかおるです」 


 ボソボソと自己紹介する一ノ瀬さん。ステータスを見せてもらう。


名前:一ノ瀬薫

種族:人間

Lv:1/100

HP:100/100

MP:100/100

攻撃力:10

防御力:10

俊敏:10

器用:10

運:1


SP:0


ギフト一覧 

逆行:Lv1 ⭐︎⭐︎

結界術:Lv1 ⭐︎

MP強化:Lv1 ⭐︎

HP強化:Lv1 ⭐︎

防御力強化:Lv1 ⭐︎


「逆行ってめちゃレアな能力だよね。凄いよ」


 一ノ瀬は恥ずかしそうに微笑む。身長は低めで、髪は長い髪を三つ編みにして流している。眼鏡っ子で、その手の人に人気ありそうな感じだ。


 親が戦闘を経験しておらず、才能開花することがなかったとんでもない能力というのは数多くある。逆行の力の持ち主も戦争によって死んでいて、記録だけが残っている。他にもいたんだ。


「えー。綱紀さんもお願いします」

綱紀迅こうきじんだ。迅君でいい」


 え? なんて? 記憶が一部飛んだ。まあいい。


 イメージの説明に入ろう。凄いストイックな感じ。坊主頭に眉毛ないし。この人。身体テストでDだったの?


「テストはサボった」


 心を読まれた!


「俺のステータスだ」


名前:綱紀迅

種族:人間

Lv:1/100

HP:100/100

MP:100/100

攻撃力:10

防御力:10

俊敏:10

器用:10

運:1


SP:0


ギフト一覧 

求道者:Lv1 ⭐︎⭐︎

体術:Lv1 ⭐︎

攻撃力強化:Lv1 ⭐︎

俊敏強化:Lv1 ⭐︎

MP強化:Lv1 ⭐︎


「求道者か。ステータス向上系だ。星2なら運を除くステータス+50とか? 凄い能力」


 俺の周りは強い奴ばかり集まるな。俺や、舞ちゃんの能力も開示した。


「前衛は月野さん。攻撃は俺と綱紀君。補助は一ノ瀬。これで行く。良いかな?」


 みんなが頷いたので、ダンジョンの階段を降りていく。新しいパーティの初めての戦闘。どうなるか胸が高鳴っていた。


名前:月野舞

種族:人間

Lv:1/100

HP:100/100

MP:100/100

攻撃力:10

防御力:10

俊敏:10

器用:10

運:1


SP:0


ギフト一覧 


大楯:Lv1 ⭐︎⭐︎

挑発:Lv1 ⭐︎

HP強化:Lv1 ⭐︎

防御力強化:Lv1 ⭐︎

器用強化:Lv1 ⭐︎

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