第16話 激闘のあとで
「この度は俺のせいでほんとにすいませんでしたぁぁ!!」
ジャックに運んでもらってラガリア付近に着き、俺がまず最初にしたことは土下座だった。
俺が3羽のブラッククロウの契約を解いて逃していなければ、今回の事態は起きなかったのだ。
俺の軽い気持ちで起こしたミスでパーティを危険に晒してしまった。
謝っても謝りきれない。
「まぁまぁ、そう謝るな」
土下座を維持している俺の肩に、ぽんっとランガさんの手のひらがのる。
「今日のクエストがノルマ以上の成果を上げられたのはお前のお陰だし、思わぬ大物も討伐できた。ブラッククロウの進化種なんて大物あの森で倒したなんて聞いたらギルドの連中ひっくり返るぜ。
ヤツに目をつけられたのがお前のミスなら、奴を倒したのはお前の功績だ。
自分のミスの尻拭いを自分でしたなら、そんなに改まって謝る必要はない。
それになぁ、そのミスをお前一人のの責任にするなら、功績もお前一人のものにしなきゃなんない。
ヤツの討伐報酬も山分けにしようなんて言いづらいだろ?」
と言って、ランガさんはケラケラと笑った。
「まぁジャックが進化したおかげでこれからのクエストもよりやりやすくなったわけだしね。私も文句なんてちっともないわよ」
と、テュースさん。
「そうですね。第一声が謝罪の言葉なら、今回一番の功労者でもある貴方を責めるなんてできませんね」
ミラさんもそう言ってくれて、俺は立ち上がってこんどはお礼をいった。
「ありがとうございました!」
そうして、ブラッククロウ・ドン襲来からのあれこれはギルドからの報酬を四人で山分けして終わったのであった。
俺の全財産は大体金貨一枚と銀貨70枚と銅貨がいっぱい。
金貨一枚は銀貨100枚分の価値があるので、何もしなくても無駄遣いしなければ半年近くは宿に泊まれる計算だ。
◇◇◇
次の日。
「とりあえずあれだ、明日は休みにするぞ!」
と、ランガさんの鶴の一声で、今日はお休みだ。
俺は、はじめてのラガリアの街を見て回ることにした。
ラガリアは王国でも王都に次ぐくらいの大都市で、ラガリアにないものはこの国にはない、と呼ばれるほどの都市だ。
結構な広さもあるので、1日じゃ周りきれないだろう。
「とりあえずは、服から探すか」
俺は最初に服屋を探すことにした。
特にファッションにこだわりはないが、流石に師匠にもらった厩舎員の服は、丈夫な分冒険にも耐えられるが、この街では流石に浮く。恥ずかしので古着で構わないからとりあえず街を歩ける服が欲しい。
俺は宿屋で買ったラガリアのマップを見ながら古着屋を探す。
「一度街の真ん中の噴水を目指して、それから古着屋のありそうな北西の商店街を目指すか」
そうしてブラブラとウインドウショッピングをしながら歩いて、ようやく古着屋へと辿り着いた。
そこで俺は男用の服を物色したが、なかなか決まらない。
元々日本でもファッションなどこだわったことなかったのに異世界のファッションなどよくわからないからだ。
俺は大人しく店員におすすめを見繕ってもらおうと辺りを見回す。
だが、レジ以外に店員は見当たらなかった。
仕方なくレジの店員におすすめを聞くが、レジから離れられないと一蹴される。
それなら上へ行け、と。
この古着屋は二階建てで上の階にはそう言うコーディネートもしてくれる店員がいるらしい。
俺は仕方なく階段を登り上に上がる。
「うわぁ」
そこには、煌びやかなドレスや紳士服が並び、とてもじゃないな一般人が気軽に着る服はない。
コーディネートも金持ち用だろう。
レジの店員に若干の苛立ちを覚えながら階段を降りようとした俺の視界に、一瞬奇妙なものが映る。
それを確かめると、俺は違和感の正体に気がついた。
それは服の一式を着た女性型の木の人形。
その一色の服とは、
『俺の通っていたの学校の女子の制服』
だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます