第13話 首領烏の襲来

少し休憩した後、俺たちはつつがなくゴブリンの巣を壊滅させ、そろそろ帰ろうか、と言う話になった。


「いやー、今日はジャックとタクミのお陰で儲けた儲けた!この調子だとここいら一帯からゴブリンは消えちまうんじゃねぇか?」


ワハハ!と、ランガさんが豪快に笑う。

俺とミラさん、テュースさんも同様に笑った。


そのくらい、狩りは順調だったのだ。


しかし、


「カーッ」


俺たちのすぐ真上から聞こえたブラッククロウ独特の鳴き声と共に、パーティに緊張が走る。


俺が空を見上げると、俺たちを囲むように三匹のブラッククロウが上空を旋回していた。


「あのブラッククロウは───」


というミラさんに


「多分、俺が契約してたやつです」


と、俺は感じたままに答えた。

テイマーと契約モンスターの独自の繋がりは消えているが、それでも曲がりなりにも半日付き合ったわけだから、それはほぼ確信できる。


「餌のお礼って雰囲気ではないわね……」


と言うテュースさんに、


「どっちかっつーと、復讐って感じの雰囲気だな」


と、ランガさんが答えた。


「もう!貴方がしっかりしてないから、なんか怪しげな感じになってきましたよ!」


ミラさんに言われ、俺は素直に謝った。


「すいません!」


『『『カーッ!!!』』』


それとほぼ同時に、三匹のブラッククロウが大きく鳴き声を上げた!


『ガァァア!!』


そして上空に現れた通常のブラッククロウの三倍近い体躯を持つ烏型モンスター。


「あれは!進化種!!」


と、ランガさんが驚きの声を上げる。

進化種とは、幾つもの経験の果てに新しく強靭な姿に生まれ変わったモンスターのことだ。

三羽烏は自分達の大ボスを呼び寄せたらしい。


「ブラッククロウ・ドン、てところか。まずいな。こっちはただでさえアイテムなんかも切れかけてるってのに……いや、それを待ってたのかね?」


ランガさんは言いながら剣を構える。


テュースさんとミラさんも同様に杖を両手に持って油断なく進化種を見つめる。


構えてはいるものの、こちらは地上、あちらは上空。こちらから攻撃できる手段がほとんどない。


ブラッククロウ・ドンは翼に風を纏わせ、それを羽撃きと共に打ち出してきた!


「【ブラスト!】」


直後にミラさんが風の魔法で相殺する。


ミラさんもゴブリン狩りでかなりの魔力を消費している。そう何度もは相殺できないだろう。


ランガさんが近くにあった石を狙いすまして蹴り上げるが、ブラッククロウ・ドンはその巨体に似合わない軽やかな動きでその石をかわした。


『グァッグァッ!』


ブラッククロウ・ドンのバカにしたような鳴き声が日が沈みかけた夕暮れの空に木霊する。


「どうやら、逃してはくれないみたいだな……」


ランガさんは苦笑いを浮かべながらそう言った。

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