第5話 ゴブリン狩り

「ジャック!『スクラッチ!』」


俺の掛け声に合わせ、ジャックの鋭い爪がゴブリンの防御の為かクロスした腕をを容赦なく切り裂く。


そして、腕が使い物にならなくなってガラ空きになったゴブリンの胴体に、ジャックの凄まじい蹴りが炸裂する。 


これまた鋭く尖った後脚の爪がゴブリンの腹に深々と突き刺さり、それがトドメとなり十匹目のゴブリンはカードとなり消えた。


「よし、クエスト達成っと!」


俺は地面に落ちたカードを拾い初めてのクエスト成功に達成感を感じた。


カードにはうっすらと⭐︎マークが一つ浮かんでいる。


これは⭐︎一つ分の力を持ったカードということで、⭐︎一つ分のモンスターをテイムするのに使える。


他にも⭐︎一つ分のスキルカードにすることもできる。⭐︎一つ分のスキルと言えば、まぁ大体懐中電灯を不意に向けられたくらいの光を一瞬だすフラッシュの魔法や、焚き火の火種、まぁ大体ライター程度の火を出せるティンダーの魔法が使えるくらいらしい。


まぁ使い方次第ではあるが、そうたいしたものではないということだ。


ゴブリンをテイムすることも考えたが、モンスターはカード化できる魔力で構成されているとはいえ、生き物には違いない。


生きるためには少なからず魔力を消費するから、それをどこかから補給する必要がある。


そのための言うなれば餌、魔石だとか魔水だとかもただじゃない。


だから人間以下のステータスのゴブリンをテイムするのは勿体無い。 


ここはゲームのような世界ではあるが、現実なのだから、とりあえず一杯捕まえるだけ捕まえとく、なんてことはできない。


テイムするモンスターは費用対効果ってやつをよく考えて厳選しなくてはならない。


ゴブリン十匹駆除のクエストの成功報酬では宿代とジャックの餌代でトントンってところだ。


こうなると、暫くはジャック一体に任せるしかないだろう。


「それにしても」


ゴブリン駆除の依頼を受けて、今成功したわけだが、午前中に始めたにも関わらずもう日が傾きかけている。


理由はゴブリンを探すのに手間取ったからに他ならない。


ジャックに乗ってそのスピードで森の中をかなり走り回ってそれだ。


目的外のモンスターとの遭遇も多かった。


ギルドに戻ったら、図書館か何かを探して森のモンスターを効率よく探して狩る方法を考えた方がいいか。


もしくは、あまり気が進まないが、先輩冒険者に聞くとか。


師匠にはランドランナーに一目惚れしたテンションで弟子入りを懇願出来たが、俺は基本的にはコミュニケーションは苦手だし、なんか冒険者って粗暴そうだし……やっぱり気がひけるんだよなぁ……。


図書館とか、頼むからあって欲しい。そう願いながら、俺は冒険者ギルドへと依頼達成の報告をするため、街への道を進んだ。

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