第3話 ラガリア
『ラガリア』に着くのは簡単だった。
師匠の牧場は森を拓いた道の直ぐそばにある。
魔獣はそれなりに頭がいいから人間が頻繁に通る道にはあまり近づかない。
だから道に沿って歩けばそう大きな危険はないと師匠は言っていた。
そしてラガリアには本当にあっさりと着いた。
街の門番に銅貨を数枚渡し、ジャックにはカードになってもらう。(便利だ)
そして、師匠にもらった旅の地図を頼りに宿屋を探した。
「あった。ここが師匠のよく泊まる宿か」
俺がドアを開けるとカラランとベルがなり、
「いらっしゃい!」
と、俺と同じくらいの歳の娘さんがこちらに向かって挨拶してきた。
「すいません、近くのランドランナー牧場のドルカさんから紹介してもらって……ここに泊めてほしいんですが……」
「あら、ドルカさんの?……あぁ、貴方がドルカさんの言ってた弟子ね。ここは銀貨1枚で一泊できるわ」
「はい、じゃあとりあえず二泊でお願いします」
そう言って俺はとりあえず銀貨を二枚娘さんに渡した。
「あいよ、じゃあ部屋へ案内するから着いてきて」
そう言われた俺は素直に娘さんについて階段を上がる。
宿泊用の部屋として案内されたのは、ベッドのひとつある屋根裏部屋よりはだいぶ住み心地の良さそうな部屋だった。
「じゃ、鍵渡しとくから無くさないようにね。あと、あんたが期限を二日過ぎて帰ってこなかったら部屋はこっちで開けるし中の物もこっちで処分するから悪しからず。ではごゆっくり」
そう言って娘さんは下に降りて行った。
「ふぅ、なんとか宿には来れたな……さて、ここからが本番だ」
俺はベットに倒れ込み、ジャックのカードを持ち上げて眺める。
(なんというか、ゲームっぽい世界に来たなぁ……『あっち』は俺が居なくなってどうなってるだろ……ほかのクラスメイトもこっちに来てたするのかな……)
と、『こちら』に来てから何度となく頭をよぎった考えに浸ってしまう。
「あー、だめだだめだ!どうせ戻り方なんか分かんないんだ、まずはこの世界で足場を固めないと!『あっち』のことはそれから考える!」
さて、一度切り替えて、ラガリアへ着いてからやるべきことがまず二つある。
それは簡単、お金稼ぎと戦力の増強だ。
『ジャック』は俺よりもはるかに強いステータスを持つモンスターだが、一体だけでは冒険には危険が大きい。
ラガリアの近くには大きな森があるんだから、そこでモンスターを探して仲間にしよう。ジャックの実戦でのレベリングも並行して行う。モンスターの討伐はお金になるとも聞いた。だからそっちも同時に行える。
とりあえずは宿代。銀貨1枚を1日で稼げるようにならないと。
俺は宿で一息入れてから地図を片手に『冒険者ギルド』という組織の施設に向かった。
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