思い出は思い出のままで






『さぁ!!!』









確かに、そう呼んだ。





冷徹で、潔癖で、寝起きが悪くて、人に土下座させたり、無理難題押し付けたり、食べ物を蹴飛ばしたり、さっきだって怒っていたあの男が。






苦しそうに顔を歪ませて、沙耶を抱き起こす。




『大丈夫か?!』




似合わない表情だ、と思った。





いつも意地悪く、眼光鋭い石垣も、こんな顔をすると、少し幼く見えるもんだなと考えたら。







『…痛いか…』






その顔が、いつかの誰かとダブって見えた。







『…雨だよ、ばーか。こんなん擦り傷にもならないし。』






強がって見せた沙耶に、石垣は『…元気そうで何よりだ。』と返した。





皮肉な筈なのに、全然何よりと思っていない顔で、見つめるから。





反対にこっちが辛くなって。





ぼやけた視界のまま、目を閉じた。




そしたら、直ぐに暗闇が世界になった。




同時に、痺れるような痛みも、飛んで消えた。





-『さぁちゃん』





果たして気付かれただろうか。





あの時。





沙耶の視界がぼやけたのは。







痛みのせいじゃないってことに。




========================




「姉ちゃんさ…秘書かと思ってたけど、ボディガードの間違いだったの?」




「いてて…ってぇー。」





高校へ行く前の駿が、呆れたような顔で、消毒液を浸した綿を傷口にぽんぽんと置いていく。





「一応姉ちゃんだって女なんだからさ、そこらへんはきちんとしてもらいなよ。嫁入り前なのに顔まで傷つけちゃってさ。」





「一応って何よ、一応って。」




痛みに顔を顰めながら、沙耶は口を尖らせた。




昨日。




救急車で運ばれた後、沙耶は石垣家御用達の病院のベットで目を覚ました。



動こうとした途端、走る鈍い痛みに思わず肩を見ると、処置を終えた後だったようで、包帯が肩にぐるぐる巻かれていた。



詳しく検査する為にも、入院を勧められたが、頑なに断って、一人で勝手に家に帰ってきてしまった。




翌朝、やはり、というべきか。



熱を持った肩に、せめて湿布位もらってくればよかった、と反省を噛み締めた。




「はい、終わり。つーかそんなんで行くつもりなの?」




負傷した肩はジャケットに通すことができず、反対側に引っ掛ける形でスーツを着た沙耶は、駿の問いに「当たり前」と答えた。




そこへ、インターホンが来客を告げる。










「-外出禁止?」





客人を出迎える為玄関を出た直後、言われた言葉に、沙耶は固まった。





「あ、いえ。外出禁止、ではなくて、自宅待機です。」




坂月がお見舞いのお花と茶菓子を手に提げながら、首をふるふると横に振って、社長命令を言い直す。





「にしたって…話には聞いてましたけど…ひどいですね…、まさか秋元さん、、そんなんで出勤しようと思ったんですか?」




沙耶のスーツ姿に、坂月の下がっていた眉がさらに下がる。




「えっ…そりゃまぁ…だって大丈夫ですよ!全然ぴんぴんしてますから!ほら!」




と、言いつつも、左腕はちっとも動かせず、説得力はゼロだ。




「病院、、、ちょっと目を離した隙に逃げ出したって、社長が大層ご立腹でしたけど…ちゃんと検査した方が良いと思いますよ。なんなら私が連れて行きますから。。。」





「う。」






思い当たることが沢山ありすぎて、沙耶は目線をあらぬ方向へとずらす。





昨晩-。




沙耶が病室で目を覚ますと、あの後付き添ってくれたらしい石垣が、直ぐ傍の椅子に座り、うつらうつらしていたので、驚いた。



音を立てたり、声を掛けたりするのもなんとなくはばかられ、腕組みをして目を閉じている彼を息を呑んで見つめた。




そうして、遠い記憶に再び思いを馳せた。



そうこうしている内、様子を見に来た医者がたてた軽い足音で、石垣は直ぐに目を覚まし、慌てて目を逸らした沙耶に気付く。



同時に医者も沙耶が目を覚ました事を知り、診断結果を沙耶に細かく説明してくれた。



沙耶がばっくれたのは、その数分後。



医者の入院の進めと検査を、頑なに断った沙耶に呆れた石垣が、説得を試みて、言い合いになり、頭を冷やしてくる、と、途中席を外した。



その間ひとりきりになった沙耶は、しめしめと一人病院を抜け出してきたのだ。



幸い駅近だった為、助かった。



だが、石垣が腹を立てているに違いないことはわかっていた。



でも、仕事で会うんだし、大丈夫かななんて楽観的にも考えていた。





「心配してらっしゃるんですよ。その前もその後も、血相変えて私の所に連絡してきたりして、大変だったんですから。」






坂月は目をくるりと回して、肩を落とす。





「でも、、、申し訳ありません。…頼んだ私のせいですね。貴女にそんな大きな怪我をさせてしまうなんて…」





「いえ、そんな…」





「しかも顔にまで傷を…いやもう、、本当になんて謝ったら良いのか…」





「いや…」





「-いいんですって!姉ちゃんのセールスポイントは腕っ節の強さと身体の丈夫さ位しかないんですから!」





恐縮しきる坂月の手前、沙耶が謙遜になっていると、いつの間にか靴を履いた駿が、にこにこと会話に割って入ってくる。



「あんたっ、さっきまで言ってたことと違うでしょーが!あっ、こらっ!」




鞄を持った駿は、沙耶が支えているドアの隙間からするりと外へ出て、坂月の後ろに隠れると、頭だけ出して姉を見つめた。




「いや、身内としては思ったけど、、世間一般から言って、やっぱり姉ちゃんを女として見る、なんて無理な話だから、仕方ないのかなってね。」




んべ、と舌を出してから、にやりと笑う駿。






「しゅ~ん~!!!!??」




「じゃ、いってきまーす!坂月さん、ごゆっくりー!!」




「え?!あ、はぁ。。いってらっしゃい。。」





姉の怒りのボルテージが上昇した所で、駿はダッシュで沙耶達の前から消えた。





「…あ、えっと…そんな訳で、、、あの、暫く自宅で安静になさってください。。。今日はこれから私が社長を起こしに行きますから私もこれで…」




黒くなり始めた沙耶の空気を読み取った坂月は、言いながら手に持っていた花束と菓子折りを押し付ける。




「…坂月さん…」




「はい…」




踵を返す前に、沙耶の低い声に掴まれ、坂月は恐る恐る返事をした。





「ちょっと…訊きたいことがあるんですけど-」




沙耶の真剣な顔つきに、自然と坂月も構えた。




「昨日の、これ、、ですけど…事故じゃ、ないと思うんです。」




「-はい。私もそう考えています。ただ詳細は秋元さんの身体がもう少し良くなってから聴ければいいかと思っていたので、敢えて今日は話に出さないでいました。。でも気になりますよね。すみません。」




坂月の顔に申し訳なさが滲み出る。




「あ、いえ-、ただ、あの何点が引っかかることがあって…昨日、、一般向けのセレモニーには、社長は呼ばれていなかったと私は把握しているのですが、社長は誰かに顔を出すように言われていたようなんです。」




「本当ですか?」




「はい。最初は私もその場で急に頼まれたのかと思ったんですが、嫌な予感がして見回すと、ちょうど社長が居る辺りにわざわざ測ったようにライトがぐらついていて。。」





沙耶の話に坂月はうーんと考え込む仕草をした。




「確かに、それは、引っかかりますね。誰に声を掛けられたか、という事については、私も直接社長に確認してみます。今度からは不特定多数の会場に出入りする際は、警備ももっと厳重にします。これ以上-」




そこまで言うと、坂月はいっそう顔を苦しそうに歪め、沙耶を見つめる。




「貴女が傷付かなくて済むように。」





-あれ。




最近どこかで見たような気がするその表情に、沙耶ははっとする。




-やだ、全然似てないのに。




石垣と坂月の表情が、いつかのあの子にリンクするなんて。




-もしかして。




坂月に訊けば、何かわかるかもしれない。





「もうひとつ、訊きたいことがあるんですけど…全然コレとは関係ないんですけど…」




沙耶が言いながら負傷した腕を指せば、坂月がどうぞ、と先を促した。




「あの、、社長…、いやあいつが、、私の小さい頃のことを訊いてきたんです。」



事件とは別件と言った事で、幾分和らいでいた坂月の表情が、再び固くなった事に沙耶は気付かない。




「それで…坂月さんも引越しの時、私が昔なんて呼ばれてたか訊ねたって駿に聞いて…あいつ、、なんか探ってます?」




なんとなく、自分の事を人に訊くのは恥ずかしく、沙耶は俯きながらぽつぽつと話していたが、最終的には坂月を見上げた。




「…坂月さん?」




そこには、難しい顔をして黙る坂月の姿があって、慌てた沙耶は自由な方の手をぶんぶんと振った。



「す、すいませんっ!!変なこと訊いて!なんかちょっと自意識過剰ですよねっ!!!」




同時に、ばさり、花束と菓子折りが廊下に落ちる。



その音と沙耶の声で、坂月ははっとしたような顔をして。




「あ、そんなことっ」



坂月が咄嗟に首を横に振る。




「すみません、、ちょっと事件のことで色々考えてしまっていて-。」



にこり、微笑を取り戻した坂月に、沙耶は胸を撫で下ろした。



「ええと、何でしたっけ…そう、秋元さんの昔の事を探っているのか?っていうことですよね。社長が何を思って訊いたのかはわかりませんけど…」




「あれ、じゃ、坂月さんは…」




「私が弟さんに訊ねたのは、別に社長に頼まれたからではありません。ただの興味本位で訊きました。不快な思いをさせてしまったのなら謝ります。」




ぺこり、頭を下げる坂月に、沙耶は慌てた。




「あ、いえっ、別に嫌な思いなんてしてないから大丈夫です。あの、顔上げてくださいっ!」




そう言うと、坂月はまた笑って沙耶と目を合わせる。




「良かった。」




-ん、なんだ?




柔らかい笑みに、沙耶の胸がドキっと鳴った。




「訊きたいことは他にはありますか?」




言いながら、坂月は下に落ちた物を拾い上げ、沙耶に渡した。



「だ、大丈夫です!」




-おい、心臓、おかしいだろ!何、それ!




自分の中の『何か』に動揺しながら沙耶はかろうじて答える。




「じゃあ、私はそろそろ-」



「はいっ、すいません、ありがとうございました!」




小さく頭を下げて踵を返した坂月に、沙耶も深くお辞儀した。




「-秋元さんは-」




少し行った所で立ち止まった坂月が、背を向けたまま。




「小さい頃…社長と会った記憶はあるんですか?」




沙耶に訊ねるから。



坂月が一体どんな顔をしているのかは、沙耶からは見えなかった。




「いえ!ないです!」




はっきりきっぱり言い切った沙耶に、坂月が小さく笑った、ような気がした。



そうですか、と呟いて。




「あー…だる…」




坂月が帰った後、沙耶は部屋でひとり呟く。



のろのろとソファまで行くと、タオルケットにくるまって横になる。



もらった花束と手土産に、行き場所を与える余裕もないまま。





―本当に、へんなの。。




腕に当てた保冷材が、心地良い。




目を閉じれば、直ぐに浮かんでくる。




―なんで、今更。




遠い記憶は遠いままでいいのに。



そうすれば。



どんどん美化されて、自分を支えていってくれるから。




―なのに、なんで、今更。出てくるの?



あの幼いプロポーズ以外は、今まで思い出せなかったのに。



どうしてか、この頃。



夢の中に必ず、あの男の子が出てくる―。




本当なのか、それとも、記憶の断片が繋ぎ合わされただけの記憶なのか。




どちらなのかはわからないけれど。





―そういえば。。




幼すぎるプロポーズに対して、自分はなんて答えたんだろう。



自分の心の奥底にある感情に、沙耶は違和感を覚える。





―確か、最初はあの男の子のことが、大嫌いだった気がする。




なのに、いつから。


自分はあの思い出に、こんなに頼るようになってしまったんだろう。











ピン…ポーン…





どれ位、時間が経ったのだろう。




沙耶は、遠くで聞こえるインターホンの音に、かろうじて気付いた。





ピンポーン




無視しよう、という考えが浮かんだ瞬間、催促するかのように再びインターホンが鳴る。




「誰よぉ…あたしゃ怪我人だっつーの…いてっ」




当たり前だが、怪我は眠る前と同じ状態で、僅かに動かすだけで小さく悲鳴をあげたくなるような衝動に駆られる。




「うあ、、やば…」




何とか起き上ると、皺になったワイシャツとスカートに気付いて、やっちまった、と思った。



放ったジャケットは、ソファの背に掛かっていたのでまだ良かったのだが。




ピンポーン




「あー、新聞屋とかだったらマジ切れる…」




重たい身体をずるずる引き摺って、モニターの前まで行くと。




「んげ。」




鬼の形相をして。



いや、至極冷たい目をして、真っ直ぐにカメラを睨んでいる、石垣諒の姿があった。






数分後。




いつかのフェラーリに、沙耶は乗せられて。




「大体病院から逃げるなんて、前代未聞なんだぞ。しかも俺を置いてとか、考えられない。」




甚くご立腹の石垣に、説教を受けていた。




「そういうのを放っておくとだな、後から色んな後遺症に悩まされることになるんだ。」




「…仕方ないじゃない。」




「はっ!まだ口答えする元気があるのか!本当にお前は減らず口だよな!はいって言えないのか、はいって。」





沙耶は窓の外へぷいっと顔を向ける。





「あ!おい!今舌打ちしたろ!?舌打ち!女の癖に舌打ちとか!」




「ちょっと!女の癖にって何よ!あんただって男の癖にみみっちいことでいつまでもくどくど言ってんじゃないわよ!」




「仕方ないだろう!!!!」




予想外に大きかった石垣の声に、沙耶はビクリと肩を振るわせた。



赤信号で停まった車の中で、石垣は沙耶を見つめる。




「お前がそんなになったのは俺のせいなんだぞ!?」




―なんで。




なんでまた。




―そんな苦しそうな顔するの。





「―あんたを守るのが、私の仕事でしょうよ。」





かろうじて放った言葉に、石垣は露骨に顔を顰めた。





「俺は、そんなこと、頼んでない。」




石垣が視線を前に戻し、車が発進すると、沙耶は首を傾げた。




「―だってあんた、私に仕返しする為に雇ったんでしょ?東京湾に沈められることに比べれば、こんな怪我ぐらいかわいいもんですけど。」





「…俺が手を出した訳じゃない。」





「そうだけど…あんたは私の身体のことなんて心配しなくていいじゃない。それよりも早く仕返しを完了させてクビにしなさいよ。今のままだと私雇われる前より良い生活してるんですけどー。」




それは以前から感じていた疑問だった。





「それは、秘書としての仕事をお前がしてるからだろ。俺とは関係ない。」




なのに、石垣はきっぱりと言い放ち、益々沙耶の頭の中はこんがらがる。





「―意味わかんない。」




「着いたぞ。降りろ。」




呟きと共に、重なった石垣の声に、辺りを見回すと、昨晩抜け出した病院の裏口だった。





「あんた、仕事はいいの?」




「終わらせなきゃいけないことは終わらせたし、後は坂月に頼んだ。」




車から降りた所で、もう逃がさないと言わんばかりに、石垣ががっちりと、沙耶の手首を掴む。




「え、やだ。放しなさいよ!」



「逃げるから。」



「ここまで来て逃げないし!」



「よく言うぜ。」




石垣は、呆れたような顔をして、掴む力そのままに自動ドアをくぐった。





再び様々な検査を余儀なくされ、沙耶は今度ばかりは大人しく医者の指示に従った。



ハタチ過ぎだというのに、昨晩トンズラした自分。



刑事に連行された犯人よろしくしょんぼりと医師達の前に顔を出した時の恥ずかしさと言ったらなかった。






元来病院というものが余り好きではない沙耶。





小さい頃からそうだったが、怪我したって自分で何とかしてきたし、風邪なんてものもほとんどひいた事がないし、節約する事なども考えると、自然と病院から足は遠退く。





何よりも、あの何をされるのかわからない恐怖と、それに逆らうことのできない威圧感のような、病院という中に漂う独特の雰囲気が苦手だった。





ついでに言えば、注射なんか以っての外だ。




―なのに。





「肩鎖関節脱臼だとよ。」




一通りの検査が終わって、ベットの上に寝かされた沙耶は、悔しい面持ちで石垣を見上げた。




医師から告げられたのは、暫くの入院と、そして手術。





「せいぜい、頑張れよ。」




―入院だけならまだしも、手術とか。




あの切ったり貼ったり縫ったり繋げたりすることを、人間の身体でするなんて。




信じられない。




石垣の他人行儀な物言いにも腹が立つ。




完全個室のこの病院。



部屋なんかホテルのようで、病院という概念を飛び越えてしまっている。




「費用は心配すんなよ、労災だから。」




安心させるように言う石垣の後ろの大きな窓からは、都心の夜景が一望できた。




「……やっぱり、、おかしい」




「はあ?」




むしゃくしゃする沙耶は上半身だけを起こして、石垣を睨んだ。




「絶対変だと思う!だってさ、事の発端は私があんたにワインをぶっかけたことなんだよ!?その仕返しにってあんたは私から仕事や住む家を奪ったけど、代わりに別の仕事や家をくれた。しかも今までとは比べ物にならない位の。。。私はあんたにとって憎い相手でしょ?!私だってあんたが嫌い!だから敵同士でしょ!?なのに今回だってこんな立派な病院で…」




働いたこの一ヶ月。



変だと思った。



いや、もっと前からずっとおかしいと思ってた。



幾ら石垣の面子に関わることだったとしても、こんな小娘一人に対して、やることがおかしい。




もし。



もしも、それが。



いや、もしも、石垣が。




あの、男の子だったとしたら―。



もしくはそれに関わる人物で、そこに発端があるのだとしたら。



思い出は、思い出ではなくなってしまうのか。




―そんなのは嫌だ。




現実という黒に塗り潰されるのは嫌だ。



何があったって、あれが誰であろうと別にいいのだ。



再会の喜びよりも、さよならの悲しみの方が勝る。





「嫌い?」




前から燻っていた原因が、事故の時の泪の理由。



そして、今沙耶を煽って石垣に文句を捲し立てさせている感情も同じだ。






「そうよ、あんたなんか嫌いなのよ!だから、早く海に沈めるなりなんなりして仕返しを完了させてさよならさせなさいよ!」





石垣が繰り返した沙耶の言葉を、沙耶ももう一度言った。




半年、と坂月は言った。



だが、石垣が何かにつけて沙耶に優しく接する度に、苦しくなる。




どこかしらに、あの子の面影を見つけてしまう。



大嫌いなあの家と結びついたあの子の記憶は。



崩れたらいけない。




「…だったら」




そう呟いた石垣の影が沙耶を覆う。





「!!!!」





一瞬の出来事だった。





「…ふ…」




重なった唇の、合間から零れた吐息。




バッチーン!!




「なっ!!!???にっ、、、するっ…!!!!」




反射的に出た右手で、相手の頬を思い切り叩いたが、動揺し過ぎて力が思うように入らない。





「もっと、嫌いになればいい。」






無表情に近い、顔で言い放ち。



石垣は部屋を出て行った。




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病院の裏口を出ると、駐車した黒のフェラーリの隣に、白のベンツが並んでいた。





「―坂月」




その脇に寄りかかって、恐らく自分を待っていたであろう男の名前を呼べば、坂月はにこりと笑って、姿勢を正した。




「お疲れ様です。少々確認したいことがございまして、一旦抜け出してきました。それが分かり次第直ぐ戻ります。」




「―なら俺も一緒に戻る。」




月明かりはある筈なのに、病院から、街灯から放たれる光が眩しくてよくわからなくなってしまっている。



石垣は軽く手を上げて、車に乗り込もうとした。





「―あ」





坂月がそんな石垣を視線で追う。





「何。」




「…秋元さん、どうでした?一緒じゃない所を見るとやっぱりひどかったんですか?」





今まさに苛々の矛先である名前を出され、石垣は動揺を隠すように無意味に咳をした。





「入院、手術が必要だと。リハビリも入れると、全治三ヶ月って所か。痛みや違和感なんかが取れるまでは半年位かかるらしい。」




「重症じゃないですか。」




坂月は驚いた声を上げた。





「よくそれで、昨日一人で帰れましたね。相当な痛みだった筈なのに。」




「呆れるよな。」




はは、と石垣も乾いた笑いで返す。




「彼女の事だから、費用とか心配してるんじゃないですか。」




「だろうと思ったから、先回りして、労災だって言った。」





石垣の答えに、坂月が噴き出した。




「労災!?そんなの出す気なんですか?」



「ばーか、出さねぇよ。そう言っとけば気ぃ遣わずに済むかと思ってな。」



理由を聞いて、坂月は成程と頷く。




「そうですね。。。」




「そろそろ行かねぇとまずいな。」




石垣は腕時計に目をやり、再び運転席のドアを開ける。




「なぁ、坂月…」




「はい?」




てっきりもうこれで会話は終了かと思っていた坂月は、ベンツに手を掛けたまま振り返った。





「時間って…厄介だな。」





「…はぁ…?」





「…なんでもない。…先行くぞ。」






惚ける坂月を置いて、石垣はさっさと車に乗り込み、エンジンをかけるとあっという間に消えた。





一人残った坂月は、溜め息をひとつ地面に落としてから、沙耶がいるであろう病室の辺りに視線を走らせる。






「時間…」





石垣がどんな意味を籠めてそう言ったのかは知らない。




ただ、同じ事を自分も思った。




だから。






「戻れなくてもいいから、進まないで欲しいって願うのは、我儘なのかな…」






誰に言うでもなく、一人言ちた。





秋の風が、冬の始まりを知らせていた。



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ドタタタタタタタタタタタ



ガララッ




「姉ちゃん!!!!」




50メートル6秒02の足を持つ駿が、病院の廊下を駆けて沙耶の病室の扉を開けた。




「無事だったのかぁー!!姉ちゃん!!!!目覚ましたって聞いて俺今コンビニから即帰って来たよ!」




息一つ乱さずに、駿は沙耶の右手を取って目を潤ませる。



その手首には週刊漫画の入ったビニル袋がかけられていて、立ち読みしていた事実を裏付けている。





「あっ…あきっ、秋元さんっ!困り…ます!!!廊下はっ、走ってはいけませんっ!!!!」





暫くしてやっと追いついた看護師が、息絶え絶えに駿を叱るが。





「申し訳ありません…」




恥ずかしさで縮こまりながら、謝ったのは沙耶である。




「あんたって奴は…ほんとに…」




昨日無事に手術を終え、麻酔から目を覚ました沙耶は、激しい痛みに耐えつつ、処置室で一晩を過ごした。



つまり。



今は個室に戻され、痛みの余り睡眠薬を飲んで眠っていた所で。





「いやー、もしかしたら全身麻酔でそのままさよならかと思ってたけど、目覚ましてくれて良かったぜ。」





―昨日聞くべき台詞だと思うけど。




ぼんやりとしただるい身体をベットに横たえたまま、沙耶はふざけた愚弟に呆れる。





―手術の日、ちゃんと教えたと思うけど、勘違いしてるのかしら。





どうしてだろう。本気で心配してくれてはいるようなのだが、つくづく腹の立つ男である。




「なんか、安心したら腹減ったぜ!ちょっと外行って腹の足しになるもん食ってくる!」



「はぁ?」




弾けるように駿は立ち上がって、また元来た道を戻っていく。




―無駄遣い…阿呆だわ。つーか、それ、どうよ。怪我人の姉を置いて、そんなの。顔見るのも数秒だし。




がくりと項垂れ。




「元気な弟さんですね。。」




もう追うことすら諦めた看護師の呟きに、沙耶はすいません、と再度謝った。




看護師が点滴をいじって出て行った後。





「いったーぃ…」




全身を襲う痛みに、沙耶はベッドの上で身体を丸めた。



痛い、なんてもんじゃない。



痛すぎて眠ることもほとんどできやしない。



それなのに、あの夜のことばかりがフラッシュバックしてきて沙耶の思考を更に邪魔する。





あれから。



石垣は、沙耶の前に現れない。


坂月の方は、たまにふらりと顔を出すが、大抵いつも時間が無く、その上駿の面倒も見てくれているようなので、直ぐに帰ってしまう。




来客はそんな程度だ。




だから、余計に考える時間が増えてしまう。





「はぁー…」





思わず出た溜め息。



あいつの事で、ここまで頭がいっぱいになってしまうのが、癪だ。



石垣のことだ。


単なる嫌がらせに過ぎないのだろう。




―あいつはあんなの日常茶飯事なんだろうけど…




ぎゅっと目を瞑れば、自然と浮かぶ石垣の顔。




―こちとら免疫ついてないんだっつーの!




驚いて目を見張っていた自分を、石垣はじっと見ていた。


沙耶の阿呆面を見てさぞかし笑えたに違いない。




―悔しい悔しい悔しい。




今頃、笑い話の種にされているのだろう。





ごしごしと何度も擦った唇は、ついに切れてひりひりするわで沙耶に良いことなんて何一つありはしない。



退院まではあと三日。


あとは自宅療養に入る。


リハビリなんかで通院は余儀なくされるが、仕事復帰はその前にするつもりだ。




となると、石垣と顔を合わせる迄にあと二週間程。





「何事もなかったかのようにふるまってやるんだから…」




相手に動揺を見抜かれてはいけない。



あんなのは、事故だ。




―気にしない、気にしない。




痛みに冷や汗をかきながら。



沙耶は必死に自分に言い聞かせる。




―気にしたら、負けだ。





そう思っていた矢先だった。




五月蝿い弟も家に帰って、少しだけ眠れた後。




薄らと目を覚ました沙耶は、部屋の暗さに驚き、ベット脇に置いてある時計を見た。



そして、大分日が短くなったな、と思った。




―あれからそんな眠れてないのか。




夜中までぐっすり眠れたのかと期待したのに。




コン。




そこへ、一度だけノックの音がして、沙耶は首を傾げた。



医師や看護師ならば、ノックしながら「秋元さ~ん、入りますよー」と言う筈だ。



―誰だろ…?



もしかしたら気のせいかもしれない。



まだ電気を点けていない病室は暗く、沙耶はじっと耳を澄ませる。




すると。




カチャ…



ゆっくりとドアノブが回された音がして。



―え?!マジ!?返事を待たずに開けちゃう?




慌てた沙耶はとりあえず目を瞑って、寝たふりをすることにした。




―本当は目を開けて確かめたいけど、白目が光っちゃうとバレるから、、ええぃ、我慢!




カツ、カツ、起こさないよう気を配るような靴音。




―男、か。。



咄嗟に浮かんだ顔に、沙耶はどうかそうではないように!と心底願った。



静かな足音は、沙耶の直ぐ傍まで来て、ベット脇の椅子に腰を下ろす。




―な、なんか、見られてる…気がする。




自然な寝顔を取り繕いつつ、沙耶は相手の視線を感じていた。




ふわりと動かされた空気に微かに香る―金木犀。





「寝てるのか?」




掠れるような、小さな声に、沙耶の心臓は締め付けられる。




相手からふー、と小さく溜め息が零れ落ちる。




「どうすればいい?」





どこか、痛い場所でもあるのかという程。





「俺、どうしたらいい?」






いつものとはかけ離れた、悲しげな声。




―な、なにコイツ…。何をこんなに問いかけてくんの?私が起きてるのバレてんのかしら。どうもしなくていいって答えるべきなのかな。




内心沙耶は戸惑いながら、冷や汗をかいていた。



だが。



「お前はもう…忘れたの?」




次の問いかけに、頭が真っ白になった。




「約束」





金木犀の香りが、強くなった気がした。



閉じた目の前を、赤と黄色の枯れ葉が覆う。


















『居なくなっちゃうんでしょ?』








カラカラカラ。



葉っぱが、道を駆けていく音が不愉快だ、と思った。





『いなくなる、わけじゃないよ。遠くに行くだけ。』






幼い沙耶は、男の子に背中を向けて、集められていた葉を蹴散らす。





『一緒じゃん。会えなくなるんでしょ。』




『…寂しい?』




『!ばっかじゃないの。そんな訳ないじゃん。』




心の中を言い当てられたかのようで、沙耶の頬がかっと赤くなる。





『迎えに行くから』





『―え?』





予想していなかった言葉に、沙耶は思わず振り返った。





『約束だよ』





小さな小指に、少しだけ大きい小指が絡み合う。




はにかむように笑うと、男の子は優しく名前を呼ぶ。





『さぁちゃん。』





茶色い目が、沙耶の目を捉えると。





『大きくなったら、僕のお嫁さんになって。』





あんなに耳障りだった周囲の音が、一瞬にして遮断された。





待っていなかった訳じゃない。



けれど、期待することができるほど、自分は夢見る少女じゃなかった。




現実はいつも残酷だった。




男の子が迎えに来てくれなくても、それが現実だといつしか自分に言い聞かせるようになっていた。




自分を取り巻くしがらみは、突然現れてかっらさっていってくれるヒーローに託せるような単純なものじゃない。




だが、思い出は支えとなっていた。





「―っく…」




誰も居なくなった病室で、沙耶の嗚咽が響く。




昔から、沙耶は強いね、と言われてきた。



実際自分はそこまで強くない。



こんなことで、泣けてきてしまう位、本当は弱い。



弱くて、誰かに頼りたくて仕方ない。



だけど、頼り方を知らない。



頼っても、誰も助けてくれない。





ひとりでかろうじて立っている。




石垣の言った『約束』がもしも、沙耶の記憶と同じものだとしたら。




今更、迎えに来てくれた所でどうして飛び込むことが出来るだろう。




時間は、間違いなく経過したのだ。




それは、今。




沙耶と相手との間に確実に線を引いた。




許すことの出来ない境を。






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自転車を漕ぐには、そろそろマフラーが必要になる頃。






「おはようございます!秋元様!」





感極まった様子で中村が玄関に飛び出してきた。






「ご無沙汰しています。中村さん。」




相変わらずなオーバーっぷりに、沙耶は苦笑しつつ、ぺこりと頭を下げた。




「この度は、本当にお辛かったでしょう!私共もお聞きした瞬間から心配で心配で…」




中村がよよよとべそをかいている傍から、わらわらわらとメイド達が出てきて沙耶を囲む。




「大丈夫ですか?」



「肩お貸ししましょうか?」



「車椅子お持ちしましょうか?」




「わわわ…いえ、だいじょ、、はい…その、、」




最終的には執事の佐武さんまでもが出てきて、労わりの言葉を掛ける始末。





「あ、の、えっと…大丈夫ですから!ご心配なく!」




そんな取り巻きの隙間を縫って、なんとか屋敷の中に入り込む。



ちらりと振り返ると、メイド達は沙耶が輪の中に居ないことにすら気付いておらず、ひたすら中央へ向かって口々声を掛けている。




「時間、ないから。ごめんなさいねー」




小さな声でそう呟くと、沙耶は、駆け足で階段を上った。






カチャリ-




アールグレイの香り漂う部屋に侵入すると、沙耶は中央に置かれているベッドの真ん中に居る主に目をやった。




-しまった、メイドに動揺してフライパンを忘れてきちゃった。




しっかりと目を閉じている石垣を見つめ。




-どうやって起こそう…




うーんと考え込む。





真っ暗な病室で、苦しげな声だった石垣。




一体何を考え、何を思っていたのか。




沙耶には知る術がない。




だが、わかった所で、どうするつもりもない。






「―目、覚ましなよ。」






ヒールを脱いで、いつもの定位置まで行って、眠る石垣の寝顔を見つめながら。





兵器のない沙耶は、声を掛ける。





-目を、覚まして。もう、あの頃じゃない。





沙耶の髪が、サラ、と流れ。





「社長、朝です。」





さっきよりも強めに、石垣の肩を叩いた。




薄ら、覗いた彼の目に、内心驚く。





-あれ、意外と普通に起きる-






と思った途端。





ベッドに着いていた手を、取られた。




「!!!!」




気付けば、石垣の腕の中に捕らわれ。




「はっ、はなし―」




ばくばくする鼓動に動転しながら身を捩るも。





「!!」





ぎゅうっと回された腕は微動だにしない。




―え、ちょ、何々これー!?!?




ばたばた暴れてみても、ガッチリホールド。





「い、石垣っ!!」




―寝惚けてんのか、こんにゃろうー!!!!




「おっ…きろっ!」




目覚めさせようと試みるが、益々締め付けられていく。





「く、苦しっ…」




バンバン叩いてみても、石垣は一向に目を覚ます気配すらない。




―こいつーー性質悪い…



押し付けられた胸から、なんとか顔を上げれば。





「!!!」




しっかりと沙耶を捉える瞳があった。




「え…」




―起きてる…




ドクン、と一際大きく心臓が跳ねる。




「ひゃ…」




その顔が更にぐっと近づいて、思わず沙耶は目を瞑った。






「おかえり。」





息がかかる程の距離で囁かれた言葉に、沙耶の目がぱっちりと開いた。





「は?」




―あんた、そういうこと言うキャラじゃないだろう!




そう、言いたかったのだが。






―わ、笑ってる。





貼り付けたものじゃない、石垣の笑顔に、言葉を失う。





「おかえり、沙耶。」






―なんの冗談だ…




そのまま沙耶は固まって、自分の思考回路すらもよく把握できなくなっていた。




鈍い痛みは残るものの、大分よくなった肩。


医者からの許可も出て、今日から久々の出勤。



石垣とは、病室に訪れたあの日から顔も合わせていなければ、電話もしていなかった。




なんなら言葉を交わすのは、あのキス事故以来だ。




出勤する旨も、坂月経由で伝え、スケジュール帳もまた、沙耶の元に戻ってきた。



そこには几帳面な坂月の文字がつらつらと行儀よく並んでいる。



沙耶は何事もなかったかのように、いつも通りを心がけ、石垣に秘書として接するつもりだった。





なのに、何故。





自分に向けられたこの極上の笑みの意味する所は一体何なのか。





―しかも名前呼び捨てとか。




出会ってから今まで、大体『お前』としか呼ばれていないのに。





「ねぇ。あんた頭がおかしくなったの?」





「………」





「ねぇってば!聞いてんの…」





一度逸らしてしまった目を、再び石垣に戻すと。





「―ですよね…」




すぅすぅと穏やかな寝息が聞こえてきて、思わず沙耶は脱力した。






―やっぱり寝惚けてただけか。損した…





無駄に跳ね上がった心音に、少し肩を落とす沙耶。




「はっ!いやいや、損とかないし。」




力が抜けた石垣の腕は、今や簡単に解けた。




身を起こして、石垣の寝顔を見つめる。





―もしも。




激レアな石垣のスマイルを思い浮かべながら。




―もしも、あんたがあの子だったとしても。




思い出の中の男の子に、それを重ねた。





―もしも万が一、あの約束を守ろうとしてくれていたとしても。





沙耶は自分の鞄を石垣の顔の前に構える。





―もしも、私が『さぁちゃん』だと気付いているとしても。




おもむろに携帯を持ち、番号を表示すると通話ボタンを押した。




直ぐに石垣の脇にあるスマホが騒がしくなる。





予定通り、石垣の眉間に皺が寄り手がスマホへと伸びていく。





ヒュッ



バン



ガッ




石垣の手から発射したスマホは、沙耶の構えた鞄に跳ね返って、主の顎に直撃した。






「うっ…」






顔を顰めて今度こそ目を覚ました石垣に、沙耶はにっこりと笑顔を貼り付けた。





―思い出は、思い出のままで。




現実は、子供の頃考えていたような、簡単なものじゃない。




敢えて答え合わせはしない。




だって金持ちとは相容れない。





「おはようございます、社長。やっぱり飛距離はフライパンの方が断然良いですね。」






―私はあんたとは逢ってない。






だから。





用が済んだら、今度こそ。





二度と交わらないように、生きていく。






―あんたと私は、違い過ぎる。








あの頃はそんな事。






考えてもみなかったけれど。







人生初めてのプロポーズをされたあの日。




しっかりと向き合ったあの子の目は真っ直ぐだった。




絡められた沙耶の小指からはとっくに力が抜けていた。






『およめ…さん???』






言葉の意味を理解するかしないかの内に。






『そしたら僕がさぁちゃんを守ってあげる。』






続けられた約束。






『いつも傍に居て、さぁちゃんを泣かせたりしないよ』





唯一弱さを曝け出しても許される場所。



それが今まさに無くなろうとしていた。




だからこそ、彼の言う約束は、沙耶にとっての希望となった。





『でも…でも…もしも会えなかったら?』





将来への不安を口にした沙耶に。





あの子は少しも迷うことなく。





『大丈夫。絶対に見つけてみせるから。』






自信満々に言い放った。







『だから』








絡まった小指に力が籠もる。









『硝子の靴の片方を、失くさないでね。』








どうか、僕が迎えにくるまで、持っていてね。







そうすれば僕が跪いて、君に靴を履かせるから。









君にぴったりの、シンデレラの硝子の靴を。




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