第5話 回復魔法を使ってみた。
「怪我はないですか? 俺の名前はリョウです。」
”助けてくれてありがとう、私の名前はトルネ、こっちが娘のルシアだ。
行商の帰りの途中でね、普段はこの街道にモンスターが出ることはないんだがいきなりゴブリンに襲われて危なかったよ。
怪我は・・・娘を守っていたので、左腕をゴブリンに殴られてしまったよ・・・多分骨折していると思う。
リョウさんが通りかからなかったら、親子でやられていたと思う。
左腕の痛みで済んで本当に良かったよ、大事な娘を守れたんだから”
「治るかどうかわかりませんが、良ければ俺が治療しましょうか??一応、少し質問と条件はありますが。」
”治るのかい!? 一応、条件を聞かせてほしい。無理な条件だったら困るし。
いくら可愛いからって娘はやらんぞ!!”
「いやいや、娘さん何歳ですか!?そういうのではありません!(苦笑)
1つ目の質問は、回復魔法は使える人は多いんですか?
2つ目の質問は、その治療費用はどのくらいですか?」
(回復魔法が☆5、どのくらいの希少価値があるか確認しておかないと)
”回復魔法は大きな街の教会くらいでしか使われていない、寄付という名の名目で大金が必要だ。
貴族や大商人くらいしか払えないよ。俺たち平民は、薬師に頼んで治癒してもらうのが一般的だな”
「なるほど、そうしたらこれから簡単な条件です。俺の能力で ’契約’をしてもらうことを条件に治療します。
契約内容は、トルネの左腕の治療と俺の能力を広言しないこと
契約期間は、俺が能力の開示の許可を出すまで
罰則は、治療した左腕を元の状態に戻す。
要は、勝手に俺の能力を話さないで下さいってことです。これで問題なければ、契約と言ってもらって良いですか?」
”あー、そんなことで良いなら問題はないよ。リョウさんのことを秘密にしておけばよいだけだろ?契約に合意するよ。一体どんな治療をするつもりなんだい?”
「でわ、左腕を出して下さい。痛みが消えたら教えて下さい
女神ミューゼの名のもとに、’ヒール’ 」
俺の右手から青白い光がトルネの左腕を包み込む。一回のヒールで回復するのか?
3回目の回復魔法で、トルネの左腕から痛みが消えてなくなる。
”これは回復魔法ですか!? リョウさんは司祭様ですか!?”
困惑しているトルネの横で心配そうにしているルシアちゃん。
”リョウさん、本当にありがとうございます。この御礼はどのくらいお支払いをすればよいのでしょうか・・・
私はそんな大きな商いをしているものでもないので、大金のご用意はできませんが・・・”
腕の痛みが消えた途端に寄付の心配で青ざめるトルネ。
「寄付の方は大丈夫です。俺は司祭ではないので、特に寄付とか不要です。
財布を落としたみたいで一文なしなので、贅沢を言えば町へ同行させてもらって、今日の晩ごはんをご馳走してくれれば嬉しいです。
”そのくらいであれば問題ありません、是非とも我が家へ来て下さい!
しかし、司祭様でもないのに回復魔法を使えるのですね・・・これは秘密にしておかないと教会が黙っていませんし。
女神ミューゼって聞いたことのない神様の名前ですし・・・”
(あーこれは駄女神様への信仰を集めるの大変な予感がする・・・回復魔法の使い手は教会が独占している様子だし。
ひとまず、町と今晩の晩飯は確保出来たから良かった。やってて良かった人助け)
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