第4話 第一異世界人発見 テンプレならお姫様が良かった件


現在、異世界アナザー初日、1時間経過。


「ほんと異世界に来たんだな〜。海外に旅行したときと同じように空気の匂いが違う。とりあえず、運を天に任せて気長に歩くしかないか・・・」


ここはどこ?状態が続く・・・道はあるが、どの方向に町があるのかわからない。

とぼとぼと歩くこと1時間、一向に町は見えてこない。

食料もない、水もない・・・

一日くらいなら平気だがこのままだと空腹や水分不足に陥ってしまう。


”うわぁぁぁぁぁ” 


遠くの方から悲鳴と騒音が聞こえる。

誰かが襲われているのか!?俺は悲鳴の方向へ走って向かう。


悲鳴の先には荷馬車の前で、子供を抱きかかえて逃げ回っている男。

それを追い回してるモンスターが2匹いる。

小学生くらいの身長で醜悪な顔をしている、きっとゴブリンだな。


(お約束なら貴族や姫が乗った高級な馬車を颯爽と助けるのがテンプレだろ!と、心の葛藤。俺の能力やスキルじゃ助けられないんだけどね・・・セルフツッコミ付き)


あのくらいの身長差があるなら盾で殴ればやれるはずだ!

アイテムボックスから木の盾を取り出して両手で体の前に突き出す。


一応、保険をかけておこう。


”結界発動”


俺の体の周りに薄い透明の膜が構築される。

わざと攻撃食らうのは危険だがこれで防御面のテストもできる!


「行くぞ〜!! こっちだモンスター!!」


敵はギロリとした目で俺を睨む。なかなかに良いメンチを切ってくるわけで。

だが、しかし相手は身長130〜140cmくらい、こっちは180cmあるんじゃービビってたまるかぁ!!


盾を全面に出しながら、走り込んで行く。

近くにいるゴブリンに向かって


「喰らえ〜シールドバッシュ!!シールドバッシュ!!」


全力で盾を敵にぶつける、ゴブリン一匹を吹っ飛ばした。

気を失ってるのか起き上がってくる気配はない。


残り一匹と俺は対峙する。

残りのゴブリンが俺に向かって、木の棒で大きく振りかぶりながら襲いかかってくる。

意外に攻撃が早い!?使い慣れていない盾では防御が間に合わない!?


(やばい!攻撃を喰らってしまう・・・当たり具合が悪いと骨折する)


そう思った矢先、ゴブリンの攻撃は俺にあたった瞬間に跳ね返された。

俺には特に痛みもない、結界がきちんと発動したみたいだ。

透明の膜が俺の全身から消えてなくなっている。


(一度、攻撃を受けると結界は消えてしまうのか、連続して攻撃を受けることはできないのか)


唖然としているゴブリンを前にして、また両手で盾を体の前面に構える。

先程、倒したゴブリンも起き上がってきた。


睨み合う二匹のゴブリンと俺。

このままだと埒が明かない。無理やりシールドで殴り続けるしかないか?

そう考えている矢先に、荷馬車の影からゴブリンへ向けて、石が投げ込まれる。

先程、襲われていた男が援護してくれてるようだ。

これで数的不利も少しは改善された。


ジリジリと盾を前に出しながらゴブリンに歩み寄る。

数歩前に歩いたところで、二匹のゴブリンは逃げ出した。


初めての戦闘が終わった。


(人生初の喧嘩が、異世界でモンスターとの戦闘になるなんて・・・)

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