第2話 幼馴染との再会①
「ねぇ、あなた、トーシロじゃない?」
突然、女子から声をかけられて、俺はあからさまにきょどってしまった。大学の構内。サボり気味であまり来ないからとはいえ、知り合いはいる。だから、声をかけられたこと自体に驚いたりはしない。
だが、こんな美人から声をかけられたら話は別だ。
「そう、だけど」
「あ! やっぱりそうだ! 久しぶり!」
美女は、大人っぽい見た目とは
「あの、誰?」
「え? わかんない? 私だよ、私!」
何だろう。オレオレ詐欺の一種だろうか。
「宗教とかに興味ないんで」
「怪しい勧誘じゃないから!」
「マルチ商法とかやめた方がいいっすよ」
「違法な稼ぎ方を紹介するわけでもないから! ほら、
「あー」
「あ、思い出した?」
「いや、個人情報がダダ
「やめなさいよ! スマホ叩き折るわよ!」
「うわっ、暴力まで。俺が言うことじゃないけど、これ以上、罪を重ねない方がよくない?」
「いや、何も罪を
何だ、その頭の悪そうな罪名は? というか、もしもそんな罪があったら世の大半の者が罰せられるだろう。大学生になって、同じ中学の奴の顔と名前なんて覚えているわけもない。いや、俺に友達が少なかったとか、そういうわけでなく、一般的にさ。
しかし、何だろう。彼女について、まったくのノーアイディアなのだけれども、どことなく
「あ、もしかして隣のクラスだったえっちゃん?」
「誰よ、それ。違う。同じクラスだった」
「まさか、
「何で? 何で同じクラスに
「女の子?」
「そこは流していいから。大学生を女の子と呼ぶことにひっかかりを覚えなくていいから」
「は! じゃ、中二の秋ごろに教室に迷い込んできた柴犬?」
「そんなファンタジーなやつじゃないから」
「いや、でも
「ないから。というか、クラスメイトよりも一回だけ迷い込んできた犬の方を覚えているとか、どうなの? いや、確かに私も覚えているけど」
「捕まえようとして大騒ぎになったからな」
「そうそう。私も追いかけたもん。犬好きなのに吠えられるタイプだから。って、そんな話してないし!」
「んー、じゃ、隣の町の」
「同中だって言ってんでしょ!」
ほんとノリはいいな。こんなノリのいい美女がいれば、忘れないはずだが。やはり何かしらの詐欺だろうか。
ん? 犬を追いかけた? あのとき、確かにそういう奴らがいた。俺は授業を進めてほしかったのだが、そうもいかず、クラスのヤンキーが大騒ぎして、犬に飛びかかって。
え? もしかして?
「
「そう! だけど覚え方!」
もう、とあざとく怒ったふうに腰に手を当てて、元中学のクラスメイト、
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