配信冒険者、最強ボスと戦う


 ~~~~~~~~~~~~


『いよいよラストバトルだ!

 準備はいいか!?』

 北の国はずれにあるSランクダンジョンの居城、

 その最奥、ラスボスの待つ部屋の扉、

 その前でボクは、仲間たちに向かって言った。


『はい、リュオさん!

 オーケー、やってやるぜ!です(笑)』


『いよいよラスボスと対決か。

 頼りにしているぞ、リュオ!』


『ラストバトル楽しみだね~。

 でも、これに勝ったらゲームクリアか~。

 ま、すぐに違うボスが生まれるんだろうけどw』


 頼もしい仲間たちだ。


 そして全員可愛い・・・。


 パーティーを組んでからますます配信の人気も上がり、

 今も多くの声と課金が来ている。


『おおリュオちゃん、

 いよいよラストバトルっスね!』


『頑張ってください!

 ラスボスの属性チェンジに気を付けて。』


『ソロの時から、リュオちゃんのファンでした!

 今夜もバッチリ課金させて頂きます。』


『デュフフ・・・、

 リュオたんチームみんな可愛ユス・・・。

 聖女のコのコス、破きたいニャンニャン♡』


『リュオちゃん達にキモいコメ送っちゃ駄目(死)!!!!』



 ――こんな風に、冒険者のボクは大勢の声援を受けるほどになったのだ。


 彼ら視聴者の応援と仲間たちのおかげで、

 ボクはここまで来られた。


 そしてこれからも・・・。


『よし!

 行こうよ!!』


『おう!!』』』』』』


 ボクたちは扉を開けた・・・!



 目の前には、凶悪さと知性を兼ねそろえたような、

 一匹の魔族が台座に座っていた。


『よく来たな選ばれし英雄たちよ。

 我こそは全知全能の王ヘルディオス。

 脆弱な人間でありながらあらゆる敵を退け、ここにたどり着いた偉業をたたえて、

 褒美を与えよう。

 英雄たちよ、貴様らは我に何を望む?』


 

 ここで選択肢だ。


『武器』か『防具』か、『アイテム』か。


 そして、もちろん・・・


『戦いだ!』

 リーダーであるボクが答えた。


 

 ラスボスが不気味な笑みを浮かべる。


『その答え、嬉しいぞ。

 全ての生物の頂点に立った我は、久しく強者との対決に飢えていた・・・。

 我はずっと、対等な敵との邂逅かいこうを待ち望んでいたのだ!』

 そう言って、漆黒のマントから両腕を広げた。


『さあ、来るがいい英雄たちよ!

 その命でもって、我に無上の喜びを味合わせてみせよ!!』



 そして、最後の戦いが始まった・・・!


 戦闘中、視聴者の声は途切れる事なく、

 ボクの背中を押してくれた。


『リュオちゃん頑張れ!』


『あ、ラスボスが属性チェンジ!

 きっと炎属性になるよ!』


『聖女さん、今のうちに回復だ!』


『デュフフ・・・、

 女剣士たんが剣を振るたびお尻がプリプリ・・・』


『皆、負けないで!

 あと少しだよ!!』



(皆、ありがとう・・・)


 戦いながら流れてくる、そのメッセージの数々がボクに勇気を与えてくれる。


 冒険者をやめないで良かった。


 配信を続けてきて良かった。


 諦めないで、本当に良かった・・・!


「これで・・・終わりだ!!」


 ボクの渾身のスラッシュがクリティカルヒットとなり、

 遂にラスボスは倒れた!



『アブロボァーーーッ!!!!』

 ラスボスの断末魔の叫びと同時に、


『やったーっ!!!!』』』』』


『おめでとーーーーっ!!!!!』』』』』

 と、視聴者の歓喜のメッセージがボクの目の前をしめた。


 そして、


『見事だ、英雄たちよ・・・』

 と、消滅し始めたラスボスがボクたちに向かって語り掛ける。


『だが、これで全てが終わったと思うな。

 いずれ世界は、我を超える者を創造するであろう。

 その時を楽しみに、決して歩みを止めるな英雄たちよ・・・!』

 そう言ってラスボスは消えた。


 その後には、

 僕たちパーティー人数分の宝箱が現れて・・・。


 箱を開けた仲間たちは、

 中身を見て皆、歓喜の言葉を上げた。


『やったーッ!

 最強剣ゲット!!』


『ラストエリクサー×10!

 本当は武器か防具のほうが良かったけれど、

 ま、こういうのはランダム性だし仕方ないか。』


『うちは新しいスキルを覚えました!

 早く試してみたいです!』



 そしてボクは・・・、

 ボクが開けた宝箱には・・・、


「新しい衣装コスだ・・・!」

 そう、目の前に表れたのは体操着とブルマの絵。


 ラスボス討伐の戦利品としてボクが手に入れたのは、

 新しいコスチュームチェンジという機能だ。


 これで、これからボクは装備はそのままで、

 見た目だけ体操着とブルマという格好になる事ができるのだ!


『うおおーっ!

 リュオちゃん、やったーっ!!』


『デュフフ・・・、ブルマ姿のリュオたん、

 早く見たいニャン。』


『リュオちゃん、さっそく使って見せてよ!』


 と、早くも視聴者たちから催促のメッセージが・・・。


(やれやれ・・・、仕方ないな)

 と、さっそく手に入れた機能を使おうとしたその時、



 ヴヴヴヴ・・・!



 と、胸元のポケットの中が激しく振動した。


(くそっ、今大事なところなのに・・・)


 俺は無視して、コスチェンジした。


 視聴者たちから、ラスボスに勝利した瞬間以上の歓喜の声が沸き上がった。


『うおおおおおおおーーーーーーーっ!!!!!!!!!!』』』


『すげえ!!!!ハイレグブルマーーーーーーっ!!!!!!!』』』』


『リュオちゃんエチチチチチチ!!!!!』』』』』



 ――その後も、王様への報告やギルドへの凱旋などのイベントを経て、

 今日の配信は終わった。


 最後にパーティーの仲間たちと、


『今日は本当にありがとうございました!』


『今回のラスボスは本当に強かったですね!

 倒せた人がほとんどいないっていうのも納得です。』


『それじゃ、また明日。

 お疲れ様でした。』


 と、別れの挨拶を済ませると、

 今日の冒険者活動は終了した。


 そこで俺は、


(そういえば・・・)

 と、先ほどの着信を思い出し、

 スマホを取り出した。


 履歴を見ると、あれから何度も着信があったようだ。


 全部母からだ。


(・・・)

 俺は仕方なくリダイヤルした。


 すると、母がすぐに出て、


「リュート!

 良かった、出てくれて・・・!

 ――今どこにいるの!?」

 と、慌てふためいた口調で言ってきた。


 俺は不愛想に、


「どこでもいいだろ。

 で、何?」

 と聞くと、母は


「お願い、すぐに帰ってきて・・・!」

 と、すがるように言ってきた。


(何を今さら・・・)

 と、さらに鼻白む俺に母は言った。



「お父さんが倒れたの・・・。

 今、病院の集中治療室で・・・」



【次回に続く】




 _________________________



『君』は読み進める……。


(スマホって……、

 そりゃファンタジーとはいえ配信機能まである文明レベルなのだから、

 そういったものも存在するのだろうけれど。


 そこは世界観に合わせて、もっとそれっぽい名前にするべきだろう。


『携帯型通信魔道具』とか……。



 ――どうもこの作品は、

 文章や名称に世界観をぶち壊しかねない描写が目立つな。


 病院の集中治療室って……。



 まあ、しょせんはアマチュアの作品だからな。


 そういった未熟さも込みで、

 プロとは違う面白さと思って楽しめばいい、か。



 ――さてと、次の回に行く前に、


 このまま画面をスクロールして、

『応援ボタン』と『コメント』だな)















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