配信冒険者、貴族の親と完全に決別する

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「リュート、もう気は済んだろう。

 冒険者として生活するなど、愚かな夢物語だと分かったはずだ。

 今までの事は水に流してやるから、家に戻ってこい」

 家の書斎で、父は俺にそう言った。


 ある日、俺の居場所を突き止めた家族がやってきて、

 なかば強引に帰還させられたのだ。


 相変わらず母は憐みの目を、

 兄は軽蔑の目を向けてくる。


 そして開口一番、父のこのセリフである。


 自分たちから人を追い出したくせに、

 何を今さら・・・と思った。


 それでも俺は努めて、言葉を選んで言った。


「悪いけど、戻る気はないよ。

 俺は今、冒険者として本当に毎日が充実しているんだ。

 確かに生活は楽ではないけど、でも、

 夢のない人生を送るよりは、ずっといいと思っている」


 それを聴いた父は激昂した。


「貴様、まだそんな寝ぼけた事を!

 冒険者だと!?

 頭にウジでも沸いているのか、この恩知らずが!!

 くだらん夢を見るのもいい加減にしろ!!

 兄のハルトと違って、親の期待をことごとく裏切りおって!」


 それを聞いて、

 俺はついカチンときて言い返してしまった。


「何で俺が、あんたらの期待通りに生きないといけないの?

 人を自分基準の優劣でしかものを見ない、そんな親の言う通りにして俺に何の得があるっていうの?

 ――だいたい恩って何?

 俺があんたらにもらったのは、常にあら探しをされて嫌味を言われ続ける毎日の記憶だけだよ。

『ハルトはもっとしっかりしていたぞ』、

『ハルトのように頑張りなさい』、

『同じ兄弟で、どうしてこうも違うんだ』・・・。

 もううんざりなんだよ!!」

 言いながらどんどん感情的になってきた俺は、

 最後には父に負けないくらいの怒声を上げてしまっていた。


「待てっ、リュート!

 まだ話は終わっていないぞ!!」

 そう怒鳴る父を無視して、

 俺はその家を飛び出した。


(まだ話は終わっていない・・・か)

 自分の話を聞かせてそれで終わり・・・、

 こっちの話なんか聞く気はなし・・・。


 昔からずっと、ずっと・・・。


「待ちなさいリュート!

 お願いだから、お父さんとちゃんと話を・・・」


「おいリュート!

 いいトシして、それが大人の態度か?

 甘ったれるのもいい加減に・・・」


 母と兄も何か言っていたが、

 全て無視して、俺は家の土地を離れた。


 ・・・もう二度と、ここに来る事はないだろう。


 この時完全に、貴族かちぐみの息子リュートは死んだ。


 そう、

 は女冒険者リュオ。


 自由と未知の世界を求めて、戦い続けるB級冒険者リュオだ!



「よし!

 今日も冒険と配信頑張るぞ!」


 そう言って、ボクはいつも通りギルドの扉を開いた・・・!



【次回の配信に続く】




 _________________________



『君』は読み進める……。


(……いやいや、主人公のお父さん。


 息子の冒険者活動を否定する前に、

 まずツッコむべきところがあるでしょう。


 ――主人公、女になったんだよ?


 息子が娘になってんだよ!?


 何スルーして説教し続けてんの!?


 ひょっとして、主人公の性別転換スキルは何度も使えて、

 家族たちも皆見慣れているのかしら。


 だったら、そういう一文が欲しいものだが……。


 そして、追放もので定番の、

『追放を取り消してやるから戻って来てもいいぞ』展開!


 ――やっぱり親の理解は得られず絶縁か。


 だけど、追放ものなのに追放サイドのヘイトが弱いな。


 もう少し面の皮が厚いほうが、ざまあしがいがあると思うが……。


 追放サイドがいきなり剣や魔法で攻撃してくるとか?



 ――とまあ、多少物足りない感はあるものの、

 読み切った以上、何もせず次にいくわけにはいかない。


 このまま画面をスクロールして、


『応援ボタン』と『コメント』だな)

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