配信冒険者、配信活動のために姿を変える
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『家を追い出された!?』
俺の話を聞いて、
その冒険者は唖然とした。
ギルドで、
先日組んだパーティーのリーダー、シドに会ったので、
俺は事の次第を話したのだ。
『ええ。
こうなったら、本格的に配信活動で生計を立てようと思います。
なので、良かったらまた一緒にクエストに挑戦しませんか?』
と、俺は丁寧に誘ってみた。
先日のクエストでも、彼らとの連携は実にうまくいった。
それに、彼らは言葉遣いも丁寧で、
好感が持てる人物だと思ったからだ。
だが、シドは昨日とは打って変わって、
『おいおい・・・、何甘いこと言ってんだよ。
配信活動で稼ぐ?
そんなの無理に決まってんだろ。
そんな暇があったら、とっとと家に帰って、
親父さんに土下座して詫びたほうがいいぜ(笑)』
と、兄ハルトと同じ、
こちらを完全に馬鹿にしきった口調で言った。
そして、彼らパーティーは、
俺が愕然としているのを尻目に、
さっさと目の前から消えていったのである・・・。
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その夜、俺は荒れた。
行きつけの
浴びるほど酒を飲んだ。
シドに馬鹿にされた後も、俺はギルドで他の冒険者たちにも声をかけた。
だが、俺が冒険者の配信活動を親に認められず、
家を追い出された事を打ち明けると、
皆、手のひらを返したように馬鹿にするか、
『すみません、他を当たってください・・・』
と、逃げるように俺の前から消えていった。
その中には、
新人のF級冒険者すらいた。
「くそっ、何でだよ・・・。
俺は頑張ってるのに・・・」
酒場をを出た俺は、
そのままフラフラと宿屋に向かって歩き出した。
人通りはすっかり絶えていた。
だが、裏通りに入ると、
三人の
「おい、金あるんだろ?
大人しくよこせよ」
と、その一人が脅してきた。
どうやら、俺の今の状態を見て、
大したことのない奴と思っているようだ。
(こんな奴らにまで馬鹿にされて・・・)
自分の中に棲む
俺はその時、
一本のナイフを携帯していた。
俺は素早く、懐からそのナイフを取り出すと、
何の躊躇もなく相手の一人に突き立てた。
「あ・・・」
腹を刺されたその男は、
そのまま倒れた。
残り二人の男は、
慌てて逃走した。
追う気にもなれなかった。
俺は、倒れている男の腹からナイフを抜き取ると、
何事もなかったかのように、宿屋へと戻った。
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宿の部屋で俺は考えた。
どうすれば、冒険の配信で稼ぐ事が出来るか・・・。
まず、俺が家を出た事は伏せておいたほうがいい。
でないと、皆俺と組むのを避けるからだ。
このままソロでやってもいいが、
でかいクエストを達成するためには、
やはり仲間の力を必要とする時がある。
そしてもう一つは、
俺の外見を変える事だ。
同じ配信なら、男よりも可愛い女の子のほうが人気が出るのは間違いない。
実際、人気の配信者には、女の子の冒険者が多い。
幸い俺は、
外見や性別を変える事が出来る。
ただし、冒険者としての
またF級冒険者からやり直しとなってしまう。
俺が数年かけてやって来た事が、
全て消えてしまうのだ。
だが・・・、
「俺は、新しい人生を送るんだ・・・!」
家を出た時から、
冒険者として生まれ変わる事に決めた俺は、
ここで過去の自分をも捨て去る決心をした。
「さようなら、リュート・・・」
――目の前が光ったと思った次の瞬間、
そこには一人の女冒険者がいた・・・。
【次回の配信に続く】
_________________________
『君』は読み進める……。
(なんか、冒険者なのに常識人が多いな。
普通の異世界ファンタジーものなら、
冒険者なんて主人公のように家を出たキャラばかりだろうに……。
逆に、主人公のほうが異端扱いとは。
それとも、異端なのは家を出た事ではなく、
冒険を配信して稼ぐほうか?
それも、スキルで自分の外見や性別を、
変えてまで。
これ、文脈から見て、二度と元には戻れないんだよな。
ものすごい覚悟だな、主人公……
――それはともかく、
『盗賊』と書いて『チンピラ』って、初めて見たな。
次は、どんな当て字が出る事やら……。
――もう少し、続きを読むか。
その前に、このまま画面をスクロールして、
『応援ボタン』や『コメント』で、ちゃんと評価はしてやらないとな!)
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