配信冒険者、配信活動のために姿を変える


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『家を追い出された!?』

 俺の話を聞いて、

 その冒険者は唖然とした。


 ギルドで、

 先日組んだパーティーのリーダー、シドに会ったので、

 俺は事の次第を話したのだ。


『ええ。

 こうなったら、本格的に配信活動で生計を立てようと思います。

 なので、良かったらまた一緒にクエストに挑戦しませんか?』

 と、俺は丁寧に誘ってみた。


 先日のクエストでも、彼らとの連携は実にうまくいった。


 それに、彼らは言葉遣いも丁寧で、

 好感が持てる人物だと思ったからだ。


 だが、シドは昨日とは打って変わって、


『おいおい・・・、何甘いこと言ってんだよ。

 配信活動で稼ぐ?

 そんなの無理に決まってんだろ。

 そんな暇があったら、とっとと家に帰って、

 親父さんに土下座して詫びたほうがいいぜ(笑)』

 と、兄ハルトと同じ、

 こちらを完全に馬鹿にしきった口調で言った。


 そして、彼らパーティーは、

 俺が愕然としているのを尻目に、

 さっさと目の前から消えていったのである・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~


 その夜、俺は荒れた。


 行きつけの酒場みせで、

 浴びるほど酒を飲んだ。


 シドに馬鹿にされた後も、俺はギルドで他の冒険者たちにも声をかけた。


 だが、俺が冒険者の配信活動を親に認められず、

 家を追い出された事を打ち明けると、

 皆、手のひらを返したように馬鹿にするか、


『すみません、他を当たってください・・・』

 と、逃げるように俺の前から消えていった。


 その中には、

 新人のF級冒険者すらいた。


「くそっ、何でだよ・・・。

 俺は頑張ってるのに・・・」


 酒場をを出た俺は、

 そのままフラフラと宿屋に向かって歩き出した。


 人通りはすっかり絶えていた。


 だが、裏通りに入ると、

 三人の盗賊チンピラに出くわした。


「おい、金あるんだろ?

 大人しくよこせよ」

 と、その一人が脅してきた。


 どうやら、俺の今の状態を見て、

 大したことのない奴と思っているようだ。


(こんな奴らにまで馬鹿にされて・・・)

 自分の中に棲む凶暴な獣モンスターがうごめくのを、俺は感じた。


 俺はその時、

 一本のナイフを携帯していた。


 俺は素早く、懐からそのナイフを取り出すと、

 何の躊躇もなく相手の一人に突き立てた。


「あ・・・」

 腹を刺されたその男は、

 そのまま倒れた。


 残り二人の男は、

 慌てて逃走した。


 追う気にもなれなかった。


 俺は、倒れている男の腹からナイフを抜き取ると、

 何事もなかったかのように、宿屋へと戻った。



 ~~~~~~~~~~~~~


 宿の部屋で俺は考えた。


 どうすれば、冒険の配信で稼ぐ事が出来るか・・・。


 まず、俺が家を出た事は伏せておいたほうがいい。


 でないと、皆俺と組むのを避けるからだ。


 このままソロでやってもいいが、

 でかいクエストを達成するためには、

 やはり仲間の力を必要とする時がある。


 そしてもう一つは、

 俺の外見を変える事だ。


 同じ配信なら、男よりも可愛い女の子のほうが人気が出るのは間違いない。


 実際、人気の配信者には、女の子の冒険者が多い。


 幸い俺は、能力ステータスをそのままに、

 外見や性別を変える事が出来る。


 ただし、冒険者としての経歴プロフィールは抹消され、

 またF級冒険者からやり直しとなってしまう。


 俺が数年かけてやって来た事が、

 全て消えてしまうのだ。


 だが・・・、


「俺は、新しい人生を送るんだ・・・!」


 家を出た時から、

 冒険者として生まれ変わる事に決めた俺は、

 ここで過去の自分をも捨て去る決心をした。


「さようなら、リュート・・・」



 ――目の前が光ったと思った次の瞬間、

 そこには一人の女冒険者がいた・・・。



【次回の配信に続く】



 _________________________


『君』は読み進める……。


(なんか、冒険者なのに常識人が多いな。


 普通の異世界ファンタジーものなら、

 冒険者なんて主人公のように家を出たキャラばかりだろうに……。


 逆に、主人公のほうが異端扱いとは。


 それとも、異端なのは家を出た事ではなく、

 冒険を配信して稼ぐほうか?


 それも、スキルで自分の外見や性別を、

 変えてまで。


 これ、文脈から見て、二度と元には戻れないんだよな。


 ものすごい覚悟だな、主人公……



 ――それはともかく、

『盗賊』と書いて『チンピラ』って、初めて見たな。


 次は、どんな当て字が出る事やら……。



 ――もう少し、続きを読むか。


 その前に、このまま画面をスクロールして、

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