最後はみんなで大泣きした(中5)
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私が、『
利用する相手としてノックを選んだのには、
三つの理由がある。
一つは、
扱いやすい小者だった事。
次に、
彼らと一緒に殺しても問題ないクズだった事。
そして、
童顔で、私の兄ニコルと同じ髪の色をしていた事・・・。
――ノックの剣とドワーフの人形によって、
ウーゴは、ノックが自分達に復讐していると考えた。
――『兄ニコルの仇として』・・・。
見た目は年上、髪の色も全く違う私のほうが、
実はニコルの弟だとは、
夢にも思わなかったようだ・・・。
さらにドワーフの人形によって、
ウーゴは、自分と共に残った最後のメンバーライラが、
ノックの共犯だと結論を下した。
次第に増えていった人形の傷は、
ニコルの死の真相を知っている者にしか付けられないからだ。
ウーゴは、容赦なくライラを問い詰めた。
抵抗する彼女を殴りつけ、
今度は身動きもできないように縛り、
ゴツゴツした固いダンジョンの床に転がした。
自身の推理を展開するウーゴだが、
ライラがあくまで否定の態度を取るのを見て、
やがて激昂した。
怒りと恐怖で、完全に余裕をなくしたウーゴは、
ライラの首に剣を押し付けながら罵倒し続けた。
「そのカラダを使って、ノックをたらしこんだんだな!?
ニコルから俺に乗り換え、今度はそこから
そうウーゴは叫んでいた。
あれは、本当だったのだろうか?
ウーゴがニコルを殺したのは、
そういった理由もあったのだろうか?
(――馬鹿野郎・・・)
私は、それ以上見るに堪えなかった。
早くアイテムボックスに収納していたハンマーで、
背後からウーゴを殴り殺してやるのだ。
――ドワーフの歌詞の通りに。
目の前のライラには、さすがに私の正体がバレるだろうが、
ここまで来れば、もうそれでもよかろうという気になっていた。
もはや恐怖は十分に味合わせてやったのだから・・・。
――だが、その時、
予想外の事が起きた。
私と、そして二人を照らすカンテラの灯りに影が落ちたのだ。
ウーゴと共に私は背後を振り向いた。
そこには、いつの間に現れたのか、
巨大な
一頭のミノタウロスが立っていた。
(――何だ、こいつは・・・!?)
私は、驚愕した。
そのミノタウロスは、
私が
一回り以上も大きい
戦槌を持ってたたずむその姿は、
魔物でありながら、ある種の威厳をも感じさせた。
凶暴なミノタウロスを束ねる、彼らの王・・・、
(ミノタウロス・・・
そう私は悟った。
そして、恐怖した。
――
絶対的な力を前に。
だが、そのミノタウロスは、
私にはまったく関心がないのか、
そのまま横を通り過ぎ、
そして・・・、
唖然とするウーゴの前に立ちふさがった。
ウーゴが我に返る間もなく、
その頭上から、ミノタウロスの戦槌が振り下ろされた。
ウーゴはその頭をつぶされて死んだ・・・。
――まるで、ドワーフの詩に合わせたように・・・。
「ひぃっ・・・」
と、縛られているライラは、
芋虫のように這って逃げようとした。
そのミノタウロスは、
ウーゴを殺してすぐに去っていった。
そこで私はようやく我に返り、
ウーゴの死にざまが、ドワーフの詩の通りだと判断すると、
急いでその手に五体目の人形を握らせた。
――今さらという気がしないでもなかったが・・・。
その後、私はライラを追いかけ、
彼女を縛っていた布を切ってやった。
ミノタウロスの脅威が去ったのを知ると、
ライラはフラフラとウーゴの死体に近づいていき、
その手を確認した。
新しく胴に斜めの傷をつけた人形を見て、
ライラは静かにつぶやいた。
「『二人のドワーフがケンカを始めた
一人が金づちで叩かれ一人になった』・・・」
私としてもやり切れないウーゴの最期だった・・・。
【つづく】
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『君』は読み進める。
ほんの少し意外な展開があったにもかかわらず、
考察もせず、ひたすらラストスパートとばかりに読み進める。
――それでも、もちろん『君』は、
次の回に行く前に画面を下にスクロールして、
『応援』や『コメント』を入れる事を決して忘れる事はない……。
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