最後はみんなで大泣きした(上)
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私の名はシオン。
ニコルの腹違いの弟だ。
兄のほうが一回り上にもかかわらず、
見た目には私のほうが年上に見えた。
それは、父の亡き前妻であるニコルの母親が、
長命種の
私たち人間からは十代半ばの少年にしか見えなかった。
私たち兄弟は、ある
代々、優秀な
貴族の覚えもめでたい一族だ。
神経の図太い貴族の中には、
珍しい魔物を飼いたいという者が多いのだ。
そのため、
一族でも肩身の狭い思いをする事になる・・・。
兄のニコルは、動物に好かれた。
犬や猫だけでなく、
家畜の馬や牛まで、彼になついていた。
ニコルも優しい笑顔で、そんな動物たちをかわいがった。
私は、そんな兄を素直に慕っていた。
だが、成人を過ぎてもニコルは、
あの時、兄がドラゴンと出遭えていれば・・・。
一族の兄に対する目も、どんどん冷たくなっていった。
――だから彼は家を出て、冒険者となる道を選んだ。
そして、遠く離れた街で
あるパーティーの一員となった。
それが『
――一方、私は
一族の中での地位も上がり、貴族とのコネも出来た。
兄からはたまに手紙が来ていたが、
忙しさにかまけて段々返事も出さなくなった。
だから、しばらくしてプッツリと兄からの便りが途切れた時も、
寂しい反面、仕方ないと思ってしまったのだ。
私は今でも後悔している。
何故、一度でも会いに行かなかったのだろうか、と・・・。
何故、兄が家を出るとき、
私は付いていかなかったのか、と・・・。
――それから数か月後、
その街の冒険者ギルドから手紙が来た。
兄ニコルの訃報だった・・・。
冒険者というものは基本、
素性の分からない連中の集まりである。
ギルド登録時に、職員が聞く事もない。
だから本来なら冒険者は、
死んでもそのまま無縁墓地に埋葬される事になる。
だが、ニコルのいた『金色の六翼』は、
ドラゴンを倒したパーティーという事で、
ギルドでも下にも置けない立場となっていた。
そのドラゴン討伐中に彼らの一員が死んだという事で、
ギルドは血眼になって、その縁者を探し回ったという。
そして、ようやく私たちの元へたどり着いた、という事だった。
手紙の内容は、
ぜひギルドへ来て、ニコルの仲間達『金色の六翼』と共に、彼をしのんであげてほしいというものだった。
だが、父は行かなかった。
私が代理で行こうとしても、
父はそれを許さなかった。
「冒険者などという馬の骨共と接触して、
一族の名を利用されたりしてはかなわん。
あいつの事は忘れろ」
そう言って・・・。
父だけでなく、一族の誰一人として腰を上げる者はなかった。
愚かにも私は、その時ようやく気付いたのだ。
才能の有無で簡単に家族を切り捨てられる、
我々一族の冷徹さに。
そして、兄ニコルが私に向けてくれた優しさに。
兄の手紙には常に、
我々家族を気遣う気持ちが表れていた。
『父さんは元気にしているか』、
『
傷だらけの金貨と共に・・・。
――私は、街に行く事を決心した。
兄の亡骸は、今もなおダンジョンの中にあるらしい。
せめて、私の手で埋葬して、
その魂に安らぎを与えてあげたい・・・。
一族の家宝である、
あらゆるものを収納できるアイテムボックスを持って、
冒険者ギルドの門を叩いた。
冒険者たちの話から、情報はすぐに揃った。
ダンジョンの場所・・・、ドラゴンのいる階層・・・。
――私はダンジョンに潜った。
・・・謙遜などする気はない。
私は、超一流の
私に近づく魔物は片っ端から
先へと進んだ。
ゴブリンの群れ・・・。
ミノタウロス・・・。
その他、数えきれないほどの魔物たち・・・。
そしてようやく、
ドラゴンのいる地下五階へと進んだ。
ここまで来ると、
魔物達も知能が高い種類が多くなる。
私は、たまたま出遭ったオークの群れを
彼らに道案内をさせた。
オークは鼻が利く。
私と同じ匂いを持つ人間を見つけるのなど、
朝飯前だったろう。
たとえ、それが死体でも・・・。
――私はニコルを発見した。
その亡骸は、皮肉なほどにそのままだった・・・。
【つづく】
_________________________
『君』は読み進める……。
(いきなり過去話?
というか……、誰だよお前?
ニコルの弟だってのは分かるけど、
シオンって……。
パーティーの誰かが、偽名を使っていたって事か?
文脈からすると、
その可能性があるのは、
後からパーティーに入ったノックだけだが……。
う~ん分からん……。
ああもう!
さっさと続きを見よう!
次の回に行く前に、
画面をスクロールして、
『応援ボタン』や『コメント』は入れてから!!)
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