そしてパーティーは全滅した


 ~~~~~~~~~~~~~


 ダンジョンの闇に浮かぶ薄明りの前で、

 ライラの告白は終わった。


 そして、過去の罪に向けていた意識を再び今の状況に向けたのか、

 再び周囲を見回しながら震えだす。


「ウーゴの言った事は、ほとんど正しかったのかもしれない・・・。

 ノックは生きていた・・・。

 そして、彼は・・・ニコルの弟だった・・・!

 死んだフリで、わたし達の注意から外れたノックは、

 従属化テイムの力を使って、闇の中から次々に皆を殺していった・・・。

 それも、ただ殺すだけじゃない・・・。

 童謡の歌詞と、傷つけたドワーフの人形を使って、

 わたし達に恐怖と絶望を与えて・・・!」

 

 先ほどの過去の懺悔ざんげの時よりも、

 さらに恐怖に顔をゆがめるライラ。


 

 突然、ライラは立ち上がると、

 周りの暗闇に向かって叫んだ。


「ノック、近くにいるんでしょう!?

 お願い、わたしの話を聴いてほしいの!

 あなたが、わたし達を憎む気持ちはよく解るわ!

 お兄さんのニコルを殺されたんだもの、

 当然よね・・・。


 でもね、わたしは違うの!

 わたしとニコルは恋人だったのよ!!

 あの時、わたしはただ、ニコルを止めたかっただけなのよ!!

 だって、ドラゴンにわたし達を攻撃させようとするんだもの・・・!

 彼を刺した傷だって、ほんの軽いものだった・・・。

 そのまま皆が、彼を抑えてくれると信じて・・・。


 なのに皆は、ニコルを抑えるどころか、武器を向けたのよ!

 わたしは弱かった・・・。

 皆を止められなかったの・・・。

 そう・・・、わたしの罪は、あの時皆を止められなかった事・・・」

 

 先ほどの告白に、さらに自分に都合よく変化を加えて、

 ライラは懺悔ざんげの言葉をつらねた。


 

 暗闇から返事は聞こえない。


 その事に焦りを覚えたのか、

 ライラはさらにまくしたてる。


「ノック、分かったでしょう!?

 わたしは、ニコルを殺したりしていない!

 殺したのはウーゴ達なのよ!!

 だから、お願い・・・助けて・・・。

 あなたが、ウーゴ達を殺した事は、絶対に誰にも言わないから!

 ううん、それだけじゃない!

 戻ったら、わたしは今度こそ、ニコルの死の真相を告白する・・・。

 あなたのお兄さんを殺したのはウーゴ達だって、ギルドで証言するから・・・!

 ね!?

 お兄さんの名誉のためにも、わたしの証言は必要なはずよ!!

 ここでわたしを殺すのは、あなたにとって損でしかないのよ!?」


「・・・黙れ」


 その声に、ライラは

「え・・・?」

 と、振り返った。


 そして、自分のほうに放られたモノを、

 彼女は両手で受け止める。


 

 が、

 ライラが受け取ったものを映し出す。


 ――ドワーフの人形だ。


 今までの傷に加え、

 さらに背中に穴の開いたその人形を凝視するライラ。


 やがて、彼女は言った。


「そんな・・・、

 まさか、・・・」


 次の瞬間、

 、足元のカンテラをつかみ、

 彼女に向かって投げつけた。


「ああっ!!!!」

 ローブに火が燃え移り、

 ライラは全身火だるまとなった。


 まるで地獄の舞のように、

 その炎は、暴れまわりながらダンジョンを照らす。


 彼女の断末魔の叫びと共に・・・。


 

 ――やがて、炎は消え、

 ライラはそのまま死んだ・・・。


 ダンジョンは元の通り、

 漆黒しっこく静寂せいじゃくに包まれた。


 ――その闇の中で、

 つぶやいた。


「『一人のドワーフのが消えた

 辺りは真っ暗になり


 そしてパーティーは全滅した』・・・」


【つづく】




 


 _________________________




『君』は読み進める……。


(え、誰これ?


 ライラは誰に殺されたの?


 あ、ひょっとしてノックか?


 文章が分かりにくいけれど、

 ノックが出てきて、攻撃したって事か?


 いや、しかし、ライラの反応を見ると別の人物のような……。


 ……駄目だ、分からない。


 さっさと続きを見よう!


 だが、次の回に行く前に、

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