一人がはぐれて三人になった(上)
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ニコルの呪い・・・。
ライラのその言葉に、
『
「馬鹿なことを言うな、ライラ」
リーダーのウーゴがそう言ってたしなめるが、
恐怖の波紋は広がっていく。
「ニコル・・・、そしてリリアンの握っていた焼け焦げた人形・・・」
「まさか、本当に死んだニコルが俺たちを・・・?」
「そうです・・・、
あの時リリアンは
「いい加減にしろっ!!」
慌てて大声でどなりつけるウーゴ。
「呪いだ何だのとくだらない!
・・・確かに俺たちは、ドラゴンとの戦いでニコルを死なせてしまった。
その事は、リーダーの俺も責任を感じている。
だが、そういった悲劇は、冒険者ならば誰でも覚悟している事。
死んだニコルだってそうだ。
逆恨みで俺たちを呪い殺そうなどと・・・、あいつはそんな事をする奴じゃない!」
と、まくしたてるウーゴ。
まるで、自分たちは潔白だと説明するように・・・。
しばらくして、モリアードが言った。
「つまり、二人の死は不幸な事故と言いたいのかい?」
その顔は、とても納得がいっているようには見えない。
「馬鹿言ってんじゃねえよ!
だったらあの人形は?
二人が握っていたドワーフの人形は、どう説明するんだよ!?」
ギースも至極もっともな疑問を口にする。
「こう考えてみてはどうだろう。
リリアンの握っていたドワーフの人形は、ノックのものを持ってきたのだ、と」
ウーゴは自分の推理を展開した。
「ノックの握っていた人形を?
確かに見た目は同じようだけど・・・」
モリアードが、手に持った人形を掲げて聞いた。
「そうだ。
あの時俺たちは、死んだノックをそのままにしてきた。
もちろん、あいつが握っていた人形もその手に返してだ。
だが、もしリリアンがあの人形に目を付け、俺たちに気づかないようくすねて・・・いや、
もらってきたのだとしたら・・・」
言われて、手元の人形に目をやるモリアード。
「確かに・・・、なかなか精巧な人形だ。
値段もそれなりにつくのかもしれない。
リリアンが欲しくなるのも無理はない・・・か」
「人形が焦げていたのも、リリアンが階段から落ちた時、思わず持っていた手に魔力をこめたからだと説明できないか?
人は身の危険を感じた時、思わず力をこめてしまうものだろう」
「・・・・・・」
皆、黙り込んだ。
ウーゴの推理は、細かい点は気になるものの一応筋が通っている。
少なくとも、これが呪いだなどと言うよりは。
「分かったよウーゴ。
確かにそう考えれば納得がいく」
モリアードがウーゴの推理に同意の意を示すと、
ギースも安堵の表情になる。
「でも・・・、さすがに引き返すしかありませんよね?
二人も仲間を失ったのですから・・・」
と、ライラ。
彼女だけはいまだに、得も言われぬ不安の中にいるようだ。
「でもよ、ミノタウロスはもうすぐだぜ?
確か、地下四階の奥に生息しているんだろう?」
とギース。
死んだリリアンとは男女の仲だったはずだが、
既にその表情に、悲しみのかげりは見えない。
「行こうウーゴ。
ミノタウロスなら、この四人だけでも何とかなる」
金に汚いモリアードも、やはり先へ進もうとしている。
「それに、このまま戻ったら、
我々『金色の六翼』の名は地に落ちてしまうぞ。
何しろ依頼失敗だけでなく、単なる事故で二人も仲間を失っているんだ」
パーティーの名声を失う・・・。
リーダーとして、その事を誰より恐れているのはウーゴだ。
「・・・分かった、先へ進もう」
そう言って、階段を降り始める。
ギースにモリアードもそれに続く。
最後までためらっていたライラも、
やがて後を追いかける。
おそらく、置いていかれて一人になるのが怖いのだろう。
仲間とはぐれるのが・・・。
まるで呪詛のように、
あの詩の続きをつぶやき続けるライラ。
「『四人のドワーフが道に迷った・・・
一人がはぐれて三人になった・・・』」
【つづく】
_________________________
『君』は読み進める……。
(オイオイオイ、死んだわこいつら……多分。
死んだ女をあっさり切り捨てる
金の亡者の支援術師。
一度手に入れた名誉にしがみつくリーダーの剣士。
童謡殺人によく出てくる、歌詞に取りつかれた
死亡フラグ全開だな。
さてと、次の回に行く前に、
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頑張れよ、作者の
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