わたしはこの時を待っていた・・・!

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


『聖女』を追放した王城の敷地・・・、

 その牢獄の奥にある地下の死体遺棄空間・・・。




 ・・・・・・


 ・・・あれから、どれだけの時が流れたのだろうか。



 わたしの名はカテラ。


 かつてわたしは『聖女』として、

 この国のために尽くしていた。


 平民上がりとののしられようと、『結界』を張り続けた。


 寝る間もなく毎日、人を治していた。


 婚約者の王子が堂々と、沢山の女性と関係を持とうと、

 必死で次期女王となるための教養を身に着けた。



 ――だが結局、

 最後までわたしは認められなかった。


 理由はただ一つ、

 わたしが美しくないから・・・。


 歴代の『聖女』と違って、

 わたしの『力』は祈る姿勢では発現できなかった。


『結界』も祈りではなく、張っていた。


 そう、わたしは、

 


 王家も国教の信徒たちも、白い目でわたしを見続けた。


 婚約者の王子は特にわたしをののしった。


「美しくない」


「野蛮だ」


「聖女にふさわしくない」


「手がごつい」


 ひたすら『駄目聖女』と言われ続けた・・・。



 ――そして、わたしは殺された。


 王子の放った刺客によって。


 この国では代々、

『聖女』と次期国王が結ばれるのが習わしだった。


 だが、王子は別の美しい女性を正妻として迎えるために、

『聖女』のわたしを秘密裏に排除したのだ。


 わたしを刺した刺客は、

「王子の命令だ。

 悪く思うなよ」

 と言った。


 死の瞬間、わたしは全てを呪った。


 許せない・・・。


 王子も王家も、司教も信徒も、

 この国の全てが憎い・・・。


 わたしの死体は、

 牢獄の地下深くに捨てられた・・・。



 ――わたしは


 肉体は朽ち果て魂だけになっても、

 わたしはこの世にとどまり続けた。


 わたしの『力』は憎しみによって、

『聖』から『邪の力』へと反転した。


 だが、その邪気を感じた司教たちが、

 聖女候補を集めて、わたしを封印した。


 即席の封印が解けた時には、既に新たな『聖女』が見つかり、

 その後とぎれる事なく、代々の『聖女』たちが『結界』を張り続けたことにより、

 わたしの魂はずっと、暗い闇の中で押さえ続けられていたのだ・・・。



 ――だが、ついに『聖女』の『結界』が消えた。


 今こそ、この国への復讐の時だ・・・!


 わたしの魂は地上へと抜け出し、

 憑依ひょういできる身体を求めた。


 それはすぐに見つかった。


 城内の豪奢な一室に。


 よこしまな心を持つ若い少女・・・。


「何よ、あのクソ王子・・・。

 さんざんわたしを王女にしてくれると言っていたのに、

『聖女の力』がなくなったくらいで捨てるって言うの・・・?」


 何やらブツブツ言っている。


「しかも、あのフローレスとよりを戻そうだなんて・・・。

 わたしより、あの下級貴族だった小娘のほうが上だとでも?

 王家の連中も急に手のひらを返して・・・、

 ふざけんじゃないわよ!」



 ――わたしは、この少女に憑依した。


 名前はヒルルというらしい。


 乗り移った瞬間、

 ヒルルは悲鳴をあげたが、誰も駆けつけては来なかった・・・。



 ――憑依から数日後、

 隣国から来たフローレスという『聖女』によって、新たに国に『結界』が張られた。


 なんという強大な『聖女の力』・・・!


『邪の力』で相殺しなければ、

 かき消されていたかもしれない・・・。


 この国への復讐は、

 あの『聖女』が隣国へと戻ってからだ・・・。


【つづく、ですわ】



 _____________



『君』は読み進める……。


(憑依展開か……。


 追放ざまぁではよくあるが、婚約破棄ものでは珍しいかもしれないな。


 疲れているから、あまり激しいバトルシーンとかは見たくないんだが……


 まあ、ここまで読んでしまったし、ざまぁが味わえるならいいか……。


 だから心配しないでね、作者(多分女子)のジョセフィーネちゃん。


 ちゃんと『応援ボタン』や『コメント』で評価するからね)




















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