わたくし、守られておりますわ・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
後日、わたくしはシーケン様エスコートのもと、
ボンバイエ王城へ呼ばれ、王様に謁見。
わたくしとシーケン様の婚約を、心から祝福してくださいましたわ。
ちなみに、ボンバイエ王にお会いするのは、
これが初めてではありません。
――数年前・・・わたくしがまだクソ王国の聖女だった頃、
あちらのクソ王様の命令で、クソ大人の方々に連れられてボンバイエ王国まで結界を張りに来たのです。
あのクソ王国の事ですから、
きっとたんまり見返りを求めたのでしょうね・・・。
ボンバイエ王は、
わたくしが四股踏みで結界を張ったのをご覧になっても、
驚かれてはいましたが、決して非難の目を向けられたりはしませんでした。
その後、王城でささやかですが、心のこもった歓迎パーティーを開いてくださり、
王様みずから、わたくしに感謝の言葉をくださったのですわ。
「そなたが故国で、結界の張り方を非難されているのは知っておる。
だが我々は、美しさとは真剣な所作に宿るものだと思っている・・・!」
その言葉がどれだけ嬉しかったことでしょう・・・。
その後、ボンバイエ王のお子様方、
さらには甥っ子・姪っ子さんとも楽しくお話しました。
あまりに子だくさんで、今となっては皆さんのお顔は思い出せませんが・・・。
あの頃から、ボンバイエ王国が好きでした。
――そして今回、シーケン様のような方と出会い、
シーケン様の治める土地の方々と出会い・・・、
わたくしは、ますますこの国が大好きになりましたわ!
王様との謁見の後、
わたくしは改めて、結界を張らせていただきました。
見返り?
今の日常がそれですわ。
それを聞いたボンバイエ王は、
「あい分かった。
この先、何度そなたの故国が『聖女』を返せと言ってこようと、
我がボンバイエは決して応じたりせず、そなたの今の生活を守る事を約束しよう・・・!」
そうおっしゃってくださいましたわ。
そして、わたくしの隣にいるシーケン様に向かって、
「シーケン。
フローレスを頼んだぞ」
そう言われました。
シーケン様も、
「一命を
と、こうですわ!
ああ・・・、
素敵ですわ、シーケン様・・・!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その後、何度かわたくし達の住む村へ、
クソ王国のクソ使者やらクソ騎士やらが来やがりましたが、
シーケン様がすべて突っぱねてくださいました。
中には、力づくでわたくしを連れ去ろうというクソ乱暴者もいましたが・・・、
実はわたくし、既にこの村に、
魔物よけとは別に、敵をはじき出す結界を張っていたのです。
たとえ深夜の就寝中に侵入してこようと、
悪意を持ってわたくし達に近づいた瞬間、
まるで、こん棒で打ったスライムのように、
はるかかなたへと吹っ飛んでいくのですわ。
ちなみに、王都へもクソ王族・クソ宰相共が交渉にやって来やがったそうですが、
どんな条件を突きつけられようと、ボンバイエ王は断固拒否してくださったとか。
最終的には、武力行使にも出ようとしたようですが、
その時には既に国境に、わたくしの『敵吹っ飛ばし結界』をしっかり張っておきましたので・・・。
その結果、
クソ王国はわたくしに、あくまでボンバイエ王国からの支援者として、
結界を張りに来てほしい、と泣きついてきました。
どうやら、あのヒルルとかいうクソ女は、
完全に『聖女の力』を失ったようです。
このままでは結界を失い、魔物の森と隣接しているクソ王国が、
その脅威にさらされるのは明らか・・・。
わたくしを散々馬鹿にしながら利用したあげく、家族まで巻き込んで追放したクソ王国のクソお偉方など知ったこっちゃねえ、ですわ。
ですがさすがに、民の皆さんを見捨てるわけにはいきませんわね・・・。
シーケン様・ボンバイエ王も同じ気持ちでした。
「フローレス、君が故国の王族を嫌う気持ちはよく解る。
でも・・・」
「民たちには何の罪もない。
彼らは、今そなたを慕っているシーケンの領民たちと何ら変わらぬ。
その民たちを守るために、故国へ行ってはくれぬか?」
そう言って二人とも、
わたくしに頭を下げられたのです・・・。
「ええ、もちろんですわ!」
そうわたくしが言うと、
王様は、感謝と敬意の意を示され、
そしてシーケン様は・・・、
「フローレス、僕も一緒に行くよ。
君を傷つけようとする全てのものから、
君を守る・・・!」
そう強く言ってくださいました・・・!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
出発当日、
シーケン様の領邸の庭園に、わたくし達は整列しました。
わたくしと一緒に来てくださるのは、
シーケン様・アントニーお兄様、
シーケン様の私兵が数十人、
さらには、ボンバイエ王が派遣してくださった屈強な騎士の方々・・・。
誰にも傷ついてほしくありませんわ・・・。
その気持ちが伝わったのか、
シーケン様が護衛の皆さんにおっしゃいました。
「全員が無事に戻れるように、
私なりに考えてみた。
その答えが・・・これだ!」
その声を合図に、
メイドの方々が庭園に並ぶテーブルに、
次々とパンとワインを運んでまいりました。
(え?あれってまさか・・・)
「これらはただのパンとワインではない。
ここにいるフローレスが『聖女の力』を持って生み出した、
いわば神の血肉だ!」
「おおぉ―――っ!!!!!」」」」」」
皆さん喜んで召し上がっておりますわ・・・。
確かに、あれはわたくしの、
ブドウ踏みと麦踏みで少々強化された
――あら、何か皆さんの様子が・・・。
【つづく、ですわ】
_________________
『君』は読み進める……。
(いよいよ次回は、分からせ回か・・・。
泣きついてくる追放サイドを、ゴミを見る目で袖にするのか、
それとも実力行使にきたところを、ボコボコの返り討ちにしてやるのか・・・。
とにかく、作者(多分女子)の中に眠るドSっぷりを遺憾なく発揮してほしい回だ。
頑張ってね、作者(多分女子)のジョセフィーネちゃん。
『応援ボタン』や『コメント』でしっかり応援するからね)
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