第19話 遅刻魔
目が一重にならないように最善の注意をはらいながら過ごし、むかえた日曜日。
そう言えば私服で会うのは今日が初めてだ。
アイツはどんなスタイルで来るのだろう。案外ストリート系か、いやいやフリルがたくさんついたバチバチお嬢様系かもしれない。いや、それはないか。想像しがたい。
あいつの好みな服装ってどんなだろうか。考えたところで七海じゃないから答えは出るはずはないのだが。
自分で言うのもなんだが、結構服装には気を使っているほうだ。
いとこが大阪に住んでいるのもあり、年に一度はアメリカ村へ行き、いとこと共に古着屋巡りをするくらいだ。
去年買ったオーバーサイズのアウターも大阪で買った。今日着ていくには少し暑いだろうが。
大阪の店員さんは地元より断然個性的な人が多いし、気軽に話しかけてくれる。そういう気さくな人柄をしている関西人が大好きだし、自分もそうなりたいとも思う。
とりあえずはシンプルな白いロングTシャツを着てみる。これだけでも十分おしゃれできれいな形をしているのでいいかなとも思ったが雨も降っているし、少し寒いので落ち着いた色味のカーディガンを羽織った。
上はこんなもんでよさそうだ。
ズボンは黒のワークパンツでもいいかなとも思ったが淡色のジーンズを着たらばっちりカーディガンの色味とバランスがあったためジーンズに決定。
あとは顔周り。
あいつはメイクとか興味ありそうなタイプだし、もちろん休みの日に遊ぶとなったらばっちりキメてくるだろう。
それならこちらは、メイクしてるなと思うぐらいの濃さで目尻が少し赤みがかった、韓国の男性アイドルがやっていそうな感じにしよう。七海、韓国好きだしちょうどいいや。
肝心の髪型。いやショートカットでも色々セットの仕方はあるわけで。
最近は前髪が伸びてきて邪魔になってきたところだ。学校には面倒くさくてやっていかないセンターパートをしてみるか。
前に一度だけ学校にやっていったが田舎の爆風にはストレスがたまるだけだったのですぐやめた。
でもまあ、遊びに行く時ぐらいはいいかな。
寝癖を直し、ドライヤーで根もとを立たせながら乾かしていく。
ストレートアイロンに電源を入れ、毛の流れをつけていく。
おし、準備万端。いつでも出発できる。
と、時計に目をやるとすでに11時になろうとしているところだった。
まてよ、電車の時間も考えると…。
やばい遅刻だ。
急いで七海のラインを開く。
『ごめん、少しだけ遅れるわ!』
すぐに返信が来た。
『ちょっとーちゃんとしてよね』
『ななみちゃんは駅でゆっくりしときまーす』
『ほんとすまん!』
はあ、こういうとこだよな、自分。うかれすぎた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます