第15話 まだ、

『ねえ、りょーう。聞いてくれます?』


部活が終わるとすぐ、涼にLINEをした。こういう時、一番頼りになるのは涼だ。


『どした、どした』

やはり既読の速さは一流。頼りになります、いつもいつも。


『私の恋、終わったわ!!笑』


本当は、笑、とかつけれるほど元気ではないが、あえて重い文面にならないように付け足す。自分からそういう雰囲気にしているわけだから、最初ぐらいは明るく行かないと先が続かない気がした。


『うそ、なにがあったん』


『好きな人が他の男と結ばれそうです〜』


文面を打って、やっとのことで今起きていることを冷静に受け取ることができた。


七海、好きな人、いたんだ。


『え、好きな人、に好きな人居たってこと?』


『そー、みたい、笑』

確かに、何も言ってくれなかったな。なんか報告ぐらいしてくれてもいいのにな。


いや、まだ付き合ってないからこれが報告のようなものか。応援してくれとでも言うかのように。


文字を打つ事に何故か悲しみが溢れ、漏れ出してくる。


何度も何度も強く目を瞑り、何かを必死に堪えようとした。


……ブー、ブー、ブー……


いきなりスマホが振動し、電話が来ていることを伝えた。涼だ。


慌てて電話に出るか迷い、3、4コール目でやっと受話器マークをスライドさせた。


「……もしもし?」


「お前大丈夫なんか?」

唐突にそう訪ねてきた涼の声はいつもより重みが増して聞こえた。


「ん、そりゃちょっとは落ち込んでるけど。あいつの気持ちなんて操作できる訳じゃないし?しょうがないかな、と。幸せになってくれるなら…」


そうだ。もうここまで来てしまったら、近くにいる最高の友達として応援するしかないのだ。


「……お前それでいいのか?」


「え?」

涼の聞いたことも無い鋭い声に、少し驚く。


「お前は、もう諦めるのか?」


「え、だって、…」


「正直に言うぞ。俺はまだ諦めきれてない。………お前のことを」


ここまで一気に沢山の言葉が交わされ情報を処理するのに少し時間がかかった。


「てことは、」



「そうだよ。お前のことが、まだ好きなんだよ、俺は」


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