第5話 涼
ベッドの上で西沢涼はスマホゲームをしながら、寝そべっていた。
『ラァイン!』
陽気な声でLINEが通知を知らせる。誰だよ今いいとこなのに。涼は面倒くさそうに通知の方に目をやった。
「っうわっ!」
裕柊からだ。
「お前はいっつもいっつも突然すぎるんだよ!」
とLINE通知の声になのか裕柊になのか分からないが、怒鳴った。内心、浮き足立ってるってことは置いといて。
話の流れ的に、どうやら裕柊にも好きな人が出来たようだ。好きになった時の気持ちを尋ねてくるやつが、恋をしてないはずがない。
去年のクリスマス前の、裕柊とのブルーな会話を思い出しながら苦笑する。
「なんだよ。どんなやつだよ。裕柊の心を射止めるなんてよ。」
少し悔しそうに涼は嘆いた。
『まだ、わかんないんだって!』
裕柊から返信が来た。わかんないわけないだろ。お前のそれは、好きってやつだ。
『だって、笑いかけられただけだよ笑』
裕柊からのLINEにまた、何故か胸が痛くなる。あれ、もうこの気持ちは去年のクリスマス、置いてきたはずだけどな。
「あぁ、そうか。まだだったのか。」
涼は、裕柊への気持ちを思ったよりも素直に受け入れることが出来たことに少し驚いた。
『だって、その子女の子だし』
・・・ん?どういうことだ?
勝手にセンター分けした今どきの男子高校生なんだろうと頭の中で想像していた人物が雲のようにふわふわと消えていった。
代わりに現れたのはスカートを履いたブレザー姿の、横から触覚を垂らした女子高生だった。
涼の脳内に、突然あの出来事がフラッシュバックした。
学校の帰り、教室で少し待ってて欲しいと伝えられた。文化祭も近かったため、なんかの発表に付き合わされるんじゃないかと、勝手に想像していた。
だが、話は全くの別物だった。
「涼、お前が、好きなんだ。気持ち悪いって思うかもしれないけど、分かって欲しい。」
それは、告白だった。予想をはるかに上回ってしまった要因としては、
相手が男だったからだ。
『裕柊。言ってなかったけど、俺は男に告白されたことがある。だから俺はこう伝えたよ、』
『俺をもっとキュンキュンさせてくれたならお前と付き合うぜ。だけど俺をそうさせた人は今までで1人しかいなかったけどな。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます