第2話 陸上部
総合グラウンドに到着した裕柊と仁那は、早速、部活の準備に取りかかった。
もう何度も練習はさせてもらってたので手順は完璧、ではないけど分かる範囲で進めた。
やはり名門校の部活となると、上下関係も厳しくなるようなイメージがあったが、ここの部活は先輩後輩共に仲が良い。分からないところを先輩に教えて貰いながら、準備を完了させ、顧問にあいさつをし、待ちに待った練習が始まった。
「んじゃぁ、後はペアストレッチを時間までして終わり!みんな初めてって」
と顧問が言った。ペアストレッチ?なんだそれ、ペアなんか決まってないぞ、という1年生の空気が伝わったのか、顧問は1年生は確認しに来てと指示を出した。
1年生たちは、わらわらと顧問が持つ印刷物を見に行った。裕柊は、あまのじゃくなせいでみんなが群がっているところを遠目から眺めていた。
ちっさい頃も流行りのゲームとかやりたかったけど絶対やらないとかキメてたな。頑固なのか、自分?まあ、あとから見に行こう。
そう考えていると、裕柊のもとへ小動物が走ってきた。いや、これは間違え。小動物のような奴が裕柊の目の前に座り込んだ。
嘘だろと言いたくなるくらい色素の薄い目で仁那とはまた違う種類のくりっと丸い目をしていた。
仁那はまつ毛の主張が激しい濃い目の目だが、この子の場合、主張が激しいのは目の玉と、そこまで距離も近くないところからでもわかる澄んだ白目だ。髪の毛の色も薄く、肌も焼けると赤くなるタイプの肌。ロシア人みたいだな。
だが体育座りしているせいか、元々なのか、首が全然ない。いや、ぷにぷにマシュマロボディに埋もれているだけだ。例えるなら、まん丸な白うさぎ、だ。
そんな裕柊の隈ない人間観察を一切気にすることなく、そのうさぎは
「ペアストレッチの相手がさぁ、どっちも合宿でいないんだよね。だから今日から1週間一緒にやろうね」
と、何も考えていないようなすっとんきょうな声色とリンゴのように赤いほっぺのくしゃっとした笑顔で裕柊にそう教えてくれた。
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