第5話 世界で一番臆病な剥製【2/3】

 目日田が生きていたとき、日本は戦争をしていた。戦争に行くのは名誉なことだと皆が言っていたし、目日田ももちろんそう思っていた。それが絶対に生きて帰ってこれない特攻であったとしてもだ。だから目日田は特攻のための訓練だと知っていても、手を抜くこともなかった。要領の良いほうではない目日田が零戦に搭乗することになったのが、その証明だろう。


 最後の出撃の前に家族と過ごせ。その命令と共に、目日田に二日日間の休暇が与えられた。この休暇が終われば、ついに特攻作戦へ出撃することになるのだ。目日田は生まれ故郷である鳴葦≪なるあし≫へと汽車で向かった。鳴葦は泉の近くにある小さな集落で、段畑が面積のほとんどを占めている戦禍とは無縁の場所だ。目日田は戦前から何ひとつ変わらない農道を下り、実家の前へと立った。


 生垣に囲まれた広さだけはある目日田の実家も、やはり変わりなく建っている。目日田はそれだけ確認すると、家の前を離れた。汽車を降りたときから家族に会うつもりはなかったのだ。


 命令に自ら背くなど、人生で初めてのことだった。目日田は命令を破ってでも守ることを一つ、心に決めていた。


「家族に……心配などかけてたまるものか」


 目日田は声に出して確認した。そうしなければ、命令違反の罪悪感に耐え切れなかったのだ。目日田の手はひどく震えていた。強くにぎり、震えを抑え込もうとしたが、無理だった。これも罪悪感によるものだったら、目日田は自分を誇っただろう。


 だが違った。目日田は自分をひどくけなした。目日田は特攻を恐れていたのだ。家族に会っていたら、間違いなく泣き言を言っていただろう。そんな情けない姿を家族に見せるわけにはいかない。


 目日田の足は自然と泉のほとりへと向かっていた。日課としていた走り込みの道順を今だに足が覚えていたのだろう。行くあてがあるわけではない。だが目日田の頭もゆっくりと働きだし、『人のいない場所に行かなければ』と思い始めていた。鳴葦は小さな集落だ。誰か一人に見つかれば、すぐ家族に自分のことが知れるだろう。それだけは避けなければと。


 目日田は鳴葦に来たことを後悔した。今日はもう汽車が来ない。鳴葦を出るには小山を越えなければならないが、東の空が赤みを帯び始めている。今からでは山中で日が暮れてしまうだろう。夜の山越えは危険すぎる。


「軍人さん?」


 突然声をかけられ、考え事で狭くなっていた視界が開けた。視界の中にあったのは、見慣れた泉だった。だが一つだけ、見慣れないものがある。


「宍色の……髪?」


 それは一つの感動だった。見慣れない髪色は敵である異人を思わせたが、そんなことはどうでもよくなるぐらい、目日田の心は震えた。それほどまでに美しく長い宍色の髪をなびかせた女が、泉のほとりにたたずんでいた。


「ここは戦争と無縁の場所と聞いたけど?」


 女は無垢な瞳で、目日田の顔ではなく着衣を見ていた。目日田は自分の着ている詰襟の制服に触れた。


「戦いに来たわけではない。休暇に来たのだ。君こそ、集落の者ではないようだが?」


 女の装いはドレスという洋風の礼服で、目日田の制服と同じ漆黒色をしていた。背はそこまで高くないのだが、装いと異人的な容姿のせいか、大人びて見える。


 女は小さく笑った。


「わたしもここには休みにきたの。あそこに別荘を建ててね」


 女は西側の岸に目を向けた。そこには目日田の実家を二階建てにしたような大きさの、ちょっとした屋敷が建っていた。白く塗られた壁は美しく、遠目でも新築の立派な建物だとわかる。


「優雅なものではないか。国は戦争で疲弊し、物資も不足しているというのに」


 まるで皮肉だったが、目日田にそのつもりはなかった。目日田にそんな器用さなどない。普段であれば直情的に怒りをぶつけているところだったが、この女相手には怒り一つすら浮んでこなかったのだ。


 だが女はそれがわかるほど目日田を知らない。


「ごめんなさいね。でも、わたしは戦争なんてどうでもいいの。わたしにはもっと、大切なものがあるから」


「大切なものを守るために、国を守り戦わなければならないのだ」


 目日田は語尾を強めた。悪びれない女に怒りを覚えたのではない。女の言葉に流れそうになった自分を叱咤したのだ。目日田が命令よりも優先した『家族に心配をかけない』という決意。それを理由に戦争から逃げられるのではないか。一瞬だけそんな考えがよぎってしまったのだ。


 一瞬でも『逃げる』と思ってしまったせいか、特攻への恐怖心がぶり返し、制服に触れる手が震えていた。女は驚いたように目を見開いた。だがすぐに穏やかな笑みを見せ、目日田の震える手を握った。


「あなたは立派ね。こんなに怖がっているのに、戦場に赴こうとしている。知ってるわ。『特攻』というのでしょう?」


「な、なぜ自分が特攻兵だと……!?」


 女は首を横に振った。


「わたしがそれしか知らないだけ。ラジオを聞けば空襲警報か特攻した人への賛美ばかりなんですもの。退屈だと思わない?」


「異人の君にはそうだろう」


「どうなかまつり」


 女の声ははっきりと聞こえたが、目日田には意味がとれなかった。


「すまない。今なんと?」


「童中纏。わたしの名前よ。こんな見た目だけど、生粋の日本人なんだから」


 目日田は耳を疑った。纏のぱっちり開いた瞳や、黒からほど遠い髪色は聞き及んでいる異人のそれだ。少なくとも似た特徴を持つ者を国内で見たことなどなかった。


 女は目日田の手を握る力を少しだけ強めた。


「そんなに驚かなくてもいいじゃない。軍人さん、お名前は?」


「め、目日田……菅泰≪すがたい≫家家の目日田だ」


 纏は笑った。今まで見せていた口元だけの小さな笑みではなく、顔いっぱいを使った満面の笑みだ。


 目日田の心臓が強く波打った。血が顔に集まり、熱くなる。人前で挨拶したときの緊張に似ていたが、今の熱さに不快なところはなかった。むしろ心地よいくらいだ。それが恋心に近いものだと気づくのに、いくら目日田であっても時間はかからなかった。


「ところで目日田。今日の宿は決まっているのかしら?」


「決まっていないが……」


「ならわたしの別荘に来なさい。そこらの宿よりかは過ごしやすいはずよ」


 願ってもない言葉だった。


 だが目日田は首を横に振った。


「あ、ありがたい話だが、今日出会ったばかりの君の世話になるわけにはいかない」


 平常通りに対応したつもりだったが、声は上ずり、早口になっていた。意識すればするほど鼓動が速まる。纏が魅力的だと気づいた途端に、過去に克服したはずのあがり症が再発してしまったのだ。


 纏は口に手をあててクスクスと笑った。


「真面目なのね。でも気にしなくていいわ。部屋は余っているし、使用人がたくさんいるから二人きりというわけでもないから。それとも、二人きりのほうがよかったかしら?」


「そ、そんなわけ……! 自分は見ず知らずの者を信用するべきでないと――」


「はいはい。話は別荘で聞くから。早く来なさい」


 纏は目日田の手を握ったまま、岸を別荘に向かって歩き出した。


「ま、待ちたまえ……!」


 目日田は言葉では抵抗しながらも、手を振り払うことはなく纏についていった。逆らえない何かを纏から感じていたのだ。そもそも逆らう理由もない。宿に困っているのは事実だし、平然と集落内を歩いているということは纏は悪い人間ではないのだろう。鳴葦のような小さな集落では、悪い噂が立てばすぐに追い出されてしまう。


 別荘で二人を出迎えたのは初老の執事だった。日本人のようだったが、綺麗にまとめられた白髪と口髭は洋装の黒服にとても合ってる。唯一の荷物である肩掛け鞄を執事に預けると、目日田は風呂場へと案内された。鯉でも飼えそうな大型の湯船には湯がなみなみと張られている。


「国は燃料も不足しているというのに、この家はどうなっているのだ……」


 普段なら贅沢をするなと怒りを覚えるところだったが、今は不思議と怒りなど湧いてこなかった。だが自分まで贅沢に与るのは気が引け、目日田は湯にはつからず、軽く体を流す程度で風呂から出た。脱衣所に用意されていた衣服は意外にも黒の浴衣だった。


 浴衣を身にまとい廊下に出ると、先ほどの執事が待っていた。執事は目日田を二階の一室に案内し「この部屋をご自由にお使いください」とだけ言って扉をしめた。寝台と洋椅子と机が置かれた、十二畳の洋室に目日田は一人取り残されたのだ。


 目日田の家には広さだけなら同程度の部屋があったが、士官学校の狭い部屋に慣れたせいか広すぎるように思えた。慣れない洋室であるのもあいまって、くつろげる気がしない。


 目日田の鞄は机の上にあった。疑うようで気が引けたが、一応中を確認する。


(水筒に財布。着替えも全てそろっているか。このような屋敷に住める者にとってはゴミに等しい物ばかりだからな。当然といえば当然か)


 最後に鞄を閉めるとき、違和感に気づいた。肩ひもにくくりつけ、鞄に入れていた御守りがなくなっていたのだ。もう一度、鞄をあさってみるが見つからない。


(どこかで落としたのだろうか。今の今まで確認しなかったからわからんな)


 御守りは母親が持たせてくれた大切なものだった。すぐ近くの窓から外を見ると、湖が闇に染まって大穴のようになっている。今から外を探すのは無謀そのものだ。


(いや、これでいいのかもしれんな)


 目日田はもう死ぬ運命なのだ。もう御守りなど必要ない。自分の代わりに鳴葦に御守りを残すのも乙なものだ。


 そう思うと同時に扉が叩かれ食事に呼ばれた。


 食事室は目日田に与えられた部屋よりもわずかに広かった。数本しかないろうそくの明りはこの部屋には足りないかもしれない。だが先に卓についていた纏の姿はよく見えた。薄手の黒い一枚着に白い羽織と、先ほどより軽装になっている。


「どうぞ。そこに座って」


 纏が正面の席を示すと、執事が椅子を引いた。目日田は軽く頭を下げ、席に座る。立って手を伸ばせば纏に届きそうだ。黒いドレスに白い前掛けをした給仕が蓋の載った皿を持ってきた。給仕は若い少女で青い髪と赤い瞳は異人を思わせたが、纏の件もあるので決めつけることはできない。


「そんなにメリクシアのことをじっと見て、そんなにメリクシアのことが気に入った?」


 纏はにやりと笑った。給仕は異人で間違いないようだ。だがそんなことよりも、なぜかこみ上げてきた後ろめたさのほうが重要だった。


「い、いや、黒い服ばかりだと思ってな。ここでは黒の着衣を着る決まりでもあるのだろうか」


「西洋では使用人が黒い服を着るのは当然のことよ」


 そう答えた纏も黒い着衣を身につけている。


「君も使用人ということだろうか?」


「そんなわけないでしょ。わたしは喪に服す決まりなの。そんなことより料理を食べましょう。冷めてしまってはもったいないわ」


 纏が視線を向けると、給仕は目日田と纏の前に皿を置き、蓋をとった。タレのかかった分厚い炙り肉が姿を見せる。


「ナイフとフォークは使えるかしら?」


「いや、使ったことがないな」


 纏の話も気になったが、喪に服しているということは親族か知人に不幸があったのだろう。これ以上聞くのは野暮というものだ。


 給仕が目日田に箸を手渡し、刃物と串を使って炙り肉を切り分けた。纏はそれが終わるのを見ると、刃物と串に似た食器を手に取った。


「さぁ、食べましょう。いただきます」


 纏は手を合わせると、食器を炙り肉に突き立てた。目日田も手を合わせて、箸で肉をつかんだ。肉を食べるのなんていつ振りだろうか。この時世にこんな大きな肉を食べられるとは夢にも思わなかった。


 肉を口に入れて一番に感じたのは果実を思わせるタレの香りだった。塩味はあまりなく、脂の甘みがわずかに舌を刺激する。軽く噛んだだけで肉はほぐれ、赤身の味が広がった。


 肉にしては食べ応えがなかったが、そんなことがどうでもよくなるぐらいうまかった。だが目日田は一口食べただけで箸を置いた。


 そんな目日田を観察していた纏は、口に運ぼうとしていた肉を皿に戻した。


「口に合わなかったかしら?」


「そうではないのだ。こんなにうまいものは食べたことがない。だが国が苦しい状況で、自分だけがこんな贅沢をするわけにはいかないのだ」


「あなただけじゃないわ。わたしも目日田と同じものを食べているもの」


 纏は皿の肉を口へと運んだ。一口サイズに切ってはいるものの、少し大き目なそれを、纏は大口を開いて頬張った。男を幻滅させかねない動作だったが、うまそうに物を食べる纏の姿は目日田からすると魅力的だった。それを責めるつもりなど、目日田には一切ない。


「君の生活が悪だといってるわけではない。自分の考え方の問題で――」


「纏」


 突然、纏が目日田の言葉をさえぎった。


「せっかく名前を知ってるのだから、名前で呼んで。『君』って呼び方はなんだか偉そうで嫌」


「あ、ああ……すまない」


 目日田は少し顔を伏せた。確かに年齢も家柄も財産も、全てが纏の方が上だろう。それを『君』と呼ぶのはふさわしくない。だが名前で呼ぶのにも抵抗があった。女性を名前で呼んだ経験がないのだ。しかも纏は今まで目日田が見てきて中で最も魅力的な女性で、正面で向き合っているだけでも緊張してしまう。


「……」


 会話をしない。それが目日田の選択だった。


「なに? 黙ってるつもり? まだ話は終わってないはずだけど」


 纏は一瞬で目日田の心の内を見抜いた。目日田は観念して、ため息をつくように深呼吸した。


「ま、纏さん……」


 絞り出した声は小さかったが、勢いをつけるのには十分だった。


「纏さんの生活に文句を言うわけではないのだ。だが『贅沢は敵』と教え込まれてきた自分には抵抗がある。それだけは理解してもらいたい」


 纏は嬉しそうに笑った。


「よくできました。でもその考えは直してもらわないと困るわ」


「なぜだ? 食事を出してもらってこう言うのも失礼ではあると思うが、自分が食事をしなくても、纏さんが困ることはないはずではないか」


「そうね。でも、あなたがそれを食べたからって、誰かが困るの?」


「それは……」


 困る者などいない。そんなことは目日田にもわかっていた。


「だがそういう問題ではないのだ。国が苦しんでいるときに一人で贅沢をするのは、国を裏切るに等しい行為だ」


「そんなことよりも、どうすれば国のみんなが目日田のいう贅沢な暮らしができるようになるのか考えるべきじゃない?」


「一理あるが……」


 目日田は言葉に詰まった。しばらくそれが続いても、纏は何も言わなかった。まるで目日田が何か言うまで待っているかのようだ。目日田もこのままでは言い負かされたようで釈然としない。


「皆がいい暮らしをできるよう考えるのと、贅沢を自粛するのは別ではないか」


「でもみんながみんな自粛してたら、いつまでたっても生活は変わらないじゃない。変えれる人から変えていかないと、それが当たり前の世界になんてならないわ」


「それは自分でなくてもよいではないか」


「つまり、あなたはわたしの足を引っ張るのね。わたしの生活を拒むってことは、この生活が当たり前の世界になるのをひとり分遅らせるってことだもの」


「そ、そんなつもりはない!」


 目日田は思わず立ち上がった。自分が大声を出してしまったことに気づき、口を右手で覆う。


「す、すまない……」


「気にしないで。あなたの気持ちはわかってるつもりだから」


 纏は余裕の笑みを見せる。目日田は顔を赤らめた。


「な、何を突然……! べつに自分は、纏さんに惚れてなど――」


「あと数日もしたら死ににいかないといけないんだもの。感情的にならない方がおかしいわ」


「え……?」


 思っていたのとは全く別な纏の言葉に、目日田は固まった。纏はそんな目日田をチラリと見上げた。


「今、何か言ったかしら?」


「いや、なんでもない! なんでもないのだ!」


 自爆を聞かれていなかったようだと、目日田は胸を撫で下ろし椅子に腰を落とした。だが同時に、忘れかけていた事実を思い出した。


「そうだ。自分はあと数日でこの世を去る身だ。そんな男一人が贅沢を拒んだところで、纏さんの望む世界への障害にはならないだろう」


 目日田は自然と手を握りしめた。そこまで強く握っていないのに、手は震えている。手は机の下にあり、纏から見えていないのが唯一の救いだ。


「本当に、死ぬつもりなのね?」


「当然だ。特攻は死ぬまで続けるものだからな」


 目日田は顔を上げて纏を見返した。強い視線で決意のほどを纏に伝えたかったが、目日田の瞳孔は開いてしまった。


 纏が手のひらで小さな紫色の巾着袋を弄んでいたからだ。暗くてよく見えなかったが、見覚えのある『守』文字の刺繍ははっきりと見えた。


「纏さんが……どうしてそれを?」


「あなたの鞄からこぼれてるのが見えたから、頂いたの。宿代かわりにでもしようかしらね。どうせ、死にに行くあなたには必要のないものでしょ?」


 やはり目日田の御守りだった。


「そうかもしれないが……自分としてはこの土地に還してしまいたいと思っている。返してもらえないだろうか」


「土地に還す? そんなことをして何になるの?」


「今まで自分を守ってくれた御守りだ。自分の代わりに故郷に残ってもらいたいのだ」


「そう。なら返さない」


 纏は御守りを手のひらに握った。目日田は思わず立ち上がる。


「な、なぜだ? 纏さんには理解できないことかもしれないが、自分には大切なことなのだ。それにその御守りは、纏さんが持っていても仕方のないものではないか」


「そうかしら? 自らの安全を祈らない目日田が持ってるのよりも、目日田に生きて帰って欲しいと思ってるわたしが持っていたほうが、御守りも嬉しいんじゃない?」


「じ、自分の生還を……?」


 目日田は顔を赤らめた。だがすぐに、罪悪感が目日田の顔を下に向けた。


「そう思ってもらえるのはうれしいが……自分が生還することなどありえないのだ」


「今のままではそうでしょうね」


 纏が右手を上げる。すると執事が目日田の横に立ち、机の上に紙を置いた。一度だけ折りたたまれていて、手のひら程度の大きさになっている。


「これは?」


「お土産も持たせずにお客さまを帰すのは失礼でしょ? まだ帰りには早いけど、今のうちに渡しておくわ」


 答えになっていなかった。目日田は紙を開いて中を確認する。紙には東京を中心とした日本の略地図が描かれていた。房総半島の付け根あたりから矢印がでており、房総半島の西中頃まで伸びている。


「矢印の始まりは香取基地だな。終わりは知らない場所だ」


「金裾町よ。わたしの家があるの。少し事情があって、ここよりも戦争と無縁の場所。兵隊さんが入ってくることなんてまずないわ」


「安全な場所というわけか。だが自分は逃げるような、恥知らずなことはできない」


「『恥』っていうものは扱いづらい代物ね。成熟した集団の中ではお互いを高め合う素晴らしいものだけど、未熟な集団の中では足を引っ張り合うだけのものになってしまうんだもの」


「何がいいたい?」


 纏は頬杖をついた。


「わたしの足を引っ張るこの国のために、目日田が死ぬのが気にくわないのよ」


「また生活を変える話だろうか? それは自分の問題であって、国は関係ないだろう」


「関係あるわ。国のせいで目日田はわたしの出した食事を摂らないんだもの。わたしの足を引っ張る目日田の足を、国が更に引っ張ってる感じかしら? 目日田が国を振り払ってくれないと、わたしも巻き添えを食うのよ」


「纏さんはいつでも自分を蹴り落とせるだろう」


「わざわざ招いたのに、そんなことしないわ。目日田の命は国のためなんかじゃなく、もっと大切な他のために使うべきよ」


「他……か」


 目日田は宍色の髪の女をあらためて見直した。この女は国と何を天秤にかけさせようというのだろうか。それを尋ねればきっと、国を捨てたくなるような何かを提示してくるのだろう。


「承知した。今このときだけでも、纏さんのために動こう」


 目日田は肉を箸でつかみ、口へと放り込んだ。肉を完食すれば、纏はきっと満足する。これ以上の揺さぶりをかけてくることはないだろう。このまま纏と会話を続けていたら、考えが変わってしまう自信があった。


 目日田は味わうふりをしてまぶたを下ろした。纏が顔いっぱいを使った笑顔でこっちを見ている気がしたからだ。目日田の心を大きく動かすあの笑顔を見てはいけないと、理性が警鐘を鳴らしている。


 だが本能はそうではなかった。あの魅力的な笑顔を少しでも長く見ていたいと、まぶたを持ち上げようとしている。それをこらえるため、眉間にしわを寄せている目日田の表情は旨い物を食べている者のそれではなかった。実際、目日田は肉の味など一切感じていない。


「おいしくなくなってしまったかしら?」


「いや! 決してそんなことは――」


 思わず目を開けてしまった。纏は目日田の思っていたような笑顔ではなく、様子をうかがうようにやや上目づかいで目日田を見ていた。笑顔とはまた違った魅力が目日田の心を震わせる。思わず呆けた目日田の口に、肉の旨味が広がった。


 美人を前にして旨い物を食べる。これ以上の贅沢はそうそうないだろう。だが似た幸福を目日田は感じたことがあった。自宅でのことだ。家庭での食卓がまさにそれだった。目日田の家族はお世辞にも魅力的な人物がいるとはいえないし、食事も芋を煮てかさを誤魔化した質素なものばかりだ。それでも食事は十分にうまかったし、食卓は楽しかった。十五になるまではそれを当然のように享受していたのだ。


 それを奪ったのは召集という名の徴兵だった。異国と戦うために目日田は家を離れ、軍学校で学ぶことになった。友人はできたが語らう自由はなく、規律に固められた状態で摂る食事は不味かった。国のため、皆が我慢しているからと思っていたからこそ耐えられたことだ。

 

 そう。皆が同じ苦しみを負っているのだ。戦争が終われば皆がそれから解放される。


「一つ……聞いてもいいだろうか?」


「ええ。何でもどうぞ」


「自分が特攻をすれば、戦争は終わるだろうか?」


「そんなこと――」


 纏なら全ての疑問を解決してくれる。なぜかそんな気がしていた。


「わたしにはわからないわ。戦争は素人だもの。それに関してはあなたの方が詳しいんじゃない?」


「そうか……そうだったな」


 纏は戦争を知らない。そんなことさえも忘れていた。自分で考えるのを半ば放棄していたのだ。自分の行動にどんな意味があるのか。自分が何をするべきなのか。それは自分で考えなければならない。軍学校では習わない――いや、忘れさせれられることだ。


「大切なことを思い出させてもらったようだ。何か礼をしたいが、自分に君を満足させる礼ができるとは思えない」


「ならこの一日だけでも、わたしが与えた生活をしなさい」


「そうか。それで纏さんの望む世界に一歩近づくのだったな」


 目日田は箸を動かし、肉を一つ一つ口へと運んだ。纏のもてなしを無駄にしないよう、肉の旨味をじっくり味わった。纏はそれを満足気に眺めていた。


 翌朝、目日田は太陽よりも早く起きた。纏も使用人もまだ起きていないようで、屋敷内は静まりかえっている。目日田は身支度を済ませ、寝台を整えると、誰にも会わずに屋敷を出た。扉に鍵がかかっていなかったのは、鳴葦の習慣を真似てのことだろうか。


 西の空は白み始めていた。そろそろ鳴葦の住人が活動を始める時間だ。


(急がなければ……)


 目日田は足を早めた。少し駆け足になっているが、息は切れなかった。軍学校での朝の走り込みに比べれば楽なものだ。周囲への注意力を失わないよう気をつけながら走ったが、畑や道での人影どころか、明りのついている家すら一軒も見当たらなかった。


(心配のしすぎだったろうか)


 目日田は駅の待ち合い椅子に座った。汽車を使って集落の外に出るものなどほとんどいない。案の定、空が明るくなり朝一番の汽車が来るまで誰一人姿を現さなかった。


 汽車は日が傾く前に千葉に着いた。近くの軍学校から明日、車で香取基地へと向かう。しかし目日田は明日など待てなかった。汽車を乗り継ぎ、香取へと向かう。


 これで二度目の命令違反だ。だがもう抵抗は少なかった。自分で考えた末の行動だからだ。


 香取基地には訓練で何度か来たことがあった。守衛兵が知った顔だったらと不安に思いながら門前をうかがってみると、知らない二人が立っていた。目日田は深呼吸をし、胸を張って門へと歩み寄る。


 面長の守衛兵が目日田に気がついた。目日田は背筋を伸ばし、敬礼をする。面長の守衛兵が敬礼を返すと、その横に立つ眠そうな顔をした守衛兵も目日田に気づいた。


「ハの四伍。召集学徒兵の世森であります!」


 目日田は別人を名乗った。実家がここに近く、明日の集合場所が香取基地である学徒兵の名だ。


「ご苦労! しばし待たれよ!」


 面長の守衛兵がそう言うと、眠そうな守衛兵が記帳をめくり始めた。それは名簿であり、外見に関する記載がないことを目日田は知っていた。


「ハの四伍。世森召集学徒兵、確認。明日、巻雲作戦に出撃」


「確認! 明日、巻雲作戦に出撃!」


「よし。作戦時間まで学徒寮にて待機。正門より十時方向へ」


 眠たそうな守衛兵は門をひとり分だけ開け、目日田を中に入れた。


「待て!」


 目日田を呼び止めたのは面長の守衛兵の声だった。目日田は心臓を潰しそうになりながら、振り向いた。


「はっ! なんでありましょう!」


「明日の出撃にしては早い到着であるな」


「はっ! 作戦開始が待て切れず、家を飛び出してきた次第であります! 今にでも出撃したい心持ちであります!」


 目日田は泳ぐ目で面長の守衛兵を見た。面長の守衛兵は顔をしかめる。目日田は思わず目をそらした。


「家族には会えたのか?」


「は……?」


 一瞬だけ、何を聞かれたのかわからなかった。


「家族に会えたのかと聞いているのだ」


「はっ! おかげさまで家族と大事な時間を過ごせました!」


「そうか。ならいい。行ってよし!」


 面長の守衛兵は十時の方向にある建物を示す。目日田は敬礼を返し、その方向へと足を進めた。だが学徒寮を見上げる場所で足を止めた。辺りを見回してみるが、人の気配はない。目日田は学徒寮に入る気などさらさらなかった。


 目日田は学徒寮の横を通り抜け、基地の裏側にある格納庫へと向かう。格納庫では明日の作戦に備え、機材の搬入作業が行われていた。どうにかして紛れ込みたかったが、顔を見られればすぐに余所者だとばれてしまうだろう。


 目日田は搬入作業に使っているのとは逆側の出入り口から、中の様子をうかがった。左側には木箱が大量に積まれており、右側には零戦などの兵器が並んでいる。


(ここにあいつがいれば……お、いるではないか)


 零戦の足元に、見知った顔を見つけた。上官らしき男と話をしている。しばらく観察していると、上官が見知った顔から離れた。


(今だ……!)


 目日田は格納庫へと入り、早足で見知った者のもとへと向かった。格納庫内で作業している者はたくさんいる。それに少しでも馴染むように堂々と胸を張って歩いた。その成果だろうか。その顔なじみすら目日田の接近に気がつかなかった。


「曽々木≪そそぎ≫技術三曹、少しよろしいだろうか?」


 目日田は長めの髪を撫でつけた男に声をかけた。


「ん?」


 振り向いた男は機嫌の悪そうなキツネ目だった。曽々木そそぎ沢東さわがしという名の技術兵だ。懲役逃れのために機械技術について学んだのだが、逆に技術兵として招集されてしまったのだという。目日田の一つ年下だが、目日田よりも長く軍役している。


「目日田か。なぜこんなところにいる」


 曽々木はつまらなそうに言った。階級をつけずに呼ぶのは曽々木なりの友情の証らしい。目日田は訓練で香取基地を訪れたときに曽々木が士官を呼び捨てにしているところを目撃し、それを密告しなかったというだけで曽々木に気に入られた。不真面目な曽々木の第一印象は最悪だったのだが、香取基地にいる間に話せる数少ない相手だった。


「頼みたいことがあるのだが」


「俺が暇そうに見えるのか? いや、ちょうどいい。先に俺を手伝え」


「すまない。自分も急いでいるのだ。手が空いていないのなら他を当たるとしよう」


 目日田は曽々木に背を向け、周囲を見渡した。すぐにその場を離れるつもりだったのだが、肩をつかまれ、それは叶わなかった。


「つれないこと言うなよ。こっちは整備途中の零戦を戦艦に入れろって言われて困ってんだ」


「整備中のだと? 上は自分たちを整備されていない零戦で出撃させようとしているのか?」


「そうじゃない。俺にも戦艦に乗って、航行中に整備しろって言うんだよ。友が散っていくとこなんか見たくねぇってのに……いや、それはいい。とにかくゼロ戦を移動させる人手が足りないんだ。目日田は零戦を操縦できただろ? 零戦を走らせて、搬入してくれ」


「零戦に乗れということだろうか?」


 曽々木は頷く。目日田はこれはチャンスだと気づいた。


「いいだろう。そういうことなら手伝おう」


 目日田は零戦に乗り込んだ。曽々木の合図に合わせ動力機関を回す。回転数を調整して、零戦を前に動かした。誘導する曽々木を追って、格納庫の中を進んでいく。前に格納庫の大きな出入り口が見えた。外には滑走路が広がっており、それを横切った先の港で戦艦が待っている。距離はあまりなかったはずだ。


「すまない……」


 目日田は小さくつぶやき、回転桿を引いた。動力機関の回転数が一気に上がる。


「曽々木殿! どいてくれ!」


 目日田の叫び声が動力機関の音に勝てたのかはわからない。曽々木が両手を大きく振って何か叫んでいたが、目日田は風防を閉めてそれを拒んだ。回転数の上がった回転羽が零戦を前へと押しやる。曽々木が横に避けた。


 横から飛んできた工具が風防を叩いたが、その程度では零戦は止まらない。零戦が格納庫を抜けると、目日田は操縦桿を引いた。まだ速度は十分ではなかったが、正面の戦艦まであまり距離がない。ここで上がらなければ戦艦に衝突する。


「上がるか……!」


 小さな声とは裏腹に、目日田は強く念じた。車輪が路面から離れる。だがまだ正面に戦艦が見えたままだ。


「自分はまだ……死ぬわけにはいかないのだ!」


 操縦桿を握る手に力が入った。戦艦が目の前に迫る。手元に御守りがあればと、柄にもないことを思った。その瞬間、視界から戦艦が消えた。何かに持ち上げられたかのように機体が突然浮かび上がったのだ。


「風でも吹いたか……?」


 目日田には偶然とは思えなかった。遠く離れた御守りが守ってくれたように思えたのだ。


「なにを考えているのだ自分は……。まだ安心はできないというのに」


 目日田は後方を確認した。滑走路や戦艦の甲板に人が出てきていたが、攻撃が飛んでくる気配はない。一人を懲らしめるためだけに弾丸を消費できるほど、国に余裕がないのだ。この様子だと燃料を使ってしまう追跡も来ないだろう。


 あとは目的地――金裾まで無事に飛ぶだけだ。燃料は半分ほどだったが、房総半島を渡るのには十分だった。


目日田は落ち着いて航行した。曽々木や基地の仲間に迷惑をかけたという後ろめたさもあったが、自分の考えで行動したという達成感の方が目日田の心の多くを占めている。少しだけ自分が大きくなった気がした。


 だがそれも長く続かない。自分がなぜこんなことをしたのか、考えてしまったからだ。きっかけは纏の言葉だったが、目日田は確実に死ぬ運命から逃れたかった。それだけなのだ。仲間が命をかけて戦いに行くというのに、目日田は命欲しさに逃げた。それを思い出してしまった。


「だが、もう戻れないのだ」


 目日田は自分に言い聞かせた。ここまで来てしまった以上、もう逃げ切るしかない。金裾もだいぶ近づいてきたはずだ。正面を見ると夕日が見えた。遠くに見える山に入りかけている。


「しまった……」


 太陽が沈んで暗くなれば、地上の様子がわからなくなってしまう。そうなってしまえば金裾を見つけるどころか、着陸することすらできなる。


 日没までにどこかに着陸しなければならないが、森や荒れ地ばかりで、目日田の技術で着陸できそうな場所は見つからない。

 

 海が見えてきた。暗くなる前に海にたどり着けたのは幸運だったが、着いた場所は金裾ではないようだ。目印だという洋館が見当たらない。金裾は海岸線沿いにあるということなので、目日田は海岸線に沿って飛んだ。


「こんな場所なら洋館は目立つはずだ。すぐに見つかる……!」


 目日田は自分を激励した。だが空が暗くなっていくだけで、屋敷など一つも見つからない。ついに太陽は落ち、目日田の飛んでいる場所は星空となった。今宵の月は日本刀のような三日月で、地上を照らすのには弱い。海岸線沿いに飛べているのかすら不安になる状態だった。


「もう燃料も少ない……終わりだ」


 目日田にできるのは、燃料が尽きるまで飛び続けることのみだ。


 暗い月はとても美しく、とても冷たかった。


 月の形が歪んだ。目日田の頬を温かい物がつたう。


 きっとこれは罰なのだ。美女の甘い言葉にそそのかされ、逃げることを選んだ。そんな自分は、無駄に命が失われる瞬間を狭い操縦室で待つのがふさわしい。


「……なんだ?」


 遠くで地上が光っていた。月の明りなどよりもずっと明るい。


「どこかの基地だろうか? いや、夜に明かりを焚くなど狙ってくれといっているようなものだ。……まさか」


 目日田は光を目指して飛んだ。火に飛び込む羽虫の気持ちがわかった気がした。暗い中を飛んでいると、光は希望にしか見えないのだ。


 光っていたのは大きな屋敷だった。人よりも大きいであろう燭台が屋敷じゅうに取り付けられており、全てが大きな炎を上げている。


「やはり、そうだったか!」


 戦時中の今、夜に光を焚くなど自殺行為に近い。そんなことを堂々としているということは、攻撃される恐れがないということだ。


 纏は言っていた。童中は戦争とは無縁の場所だと。


 屋敷上を旋回していると、屋敷前の広場で誰かが炎を振っていた。


「纏さん!」


 炎の下に宍色の髪が見えた。炎の下では色などあてにならないとわかっていたが、目日田はなぜか確信していた。


「あそこに降りろということか」


 広場はなかなかの広さを誇っていたが、飛行機を着陸させるのにはいささか狭い。だがもう避けることなどできなかった。もう一分も飛べるかわからないのだ。


 目日田は旋回しながら機体の速度を限界まで落とした。機体がぐらつき始める。


「く……行くぞ」


 機首を広場に向け、高度を下げる。炎を目安に地面の位置を探り、梢を掠めながら広場に突入した。地面に突撃しないよう、機首を上げるつもりで滑空する。車輪が地面を捉えた。


「止まれ……止まってくれ!」


 回転桿を押し、回転羽を逆回転させた。芝生の地面であることも相まって、速度がみるみる落ちていく。


「よし……これなら」


 そう思った瞬間。回転羽が止まった。燃料が切れたのだ。


「もたなかったか……! ここまで来たというのに!」


 機体はかなり減速していたが、まだ馬車程度の速度がある。このまま森へ突っ込み、木に直撃したらひとたまりもない。


 目日田は後ろを見た。最後に纏の顔を見ておきたいと思ったのだ。


「な……なんだというのだ?」


 纏が何かを振りかぶっていた。石でもぶつけようとしているのかと思ったが、違った。何か細長い得物を、纏は放ったのだ。目日田にはそれがどこに行ったのか見えなかった。


 機体が突然に揺れた。右に急旋回しながら、芝生を削っているのが感覚でわかる。


「ま、まさか車輪を壊したのか……?」


 機体は横転しそうだったが、左の翼が芝生をこすりながら支える。機体は半回転したところで停止した。わずかに右に傾いていたが、機体はほぼ水平だ。


 纏が機体のそばに立った。


「纏さん!」


 目日田は大急ぎで風防を開け、操縦席から飛び下りた。着地の衝撃に足が痺れ、前に体勢を崩す。纏が少しだけ前に出て、目日田の体を支えた。


 目日田は体の奥から熱いものが込み上げてくるのを感じた。口の中にまで広がったそれは鉄の味がした。


「な、なんだというのだ……」


 目日田の体から力が抜け、芝生へと倒れ込んだ。それを見下ろす纏の手には、濡れた刃物が握られていた。


「ようこそ金裾へ。綺麗な体で来てくれてうれしいわ」


「だ……だましたのか…………」


 力ない目日田の言葉に、纏は首を横に振った。


「わたしは嘘なんて一つもついてないわ。目日田の命はここで終わってしまうけど、国よりも大切なものを守ることになる。きっとだけどね」


「意味が……わからん…………」


 目日田は体を起こそうとしたが、込めた力は体を破壊するような痛みに変わるだけで、体は全く動かない。


 纏はかがんで目日田の頬を撫でた。


「そんな苦しそうな顔をしないで。わたしは綺麗なままの目日田を残したいんだから」


 目日田に言葉の意味を理解する頭は残っていなかった。かすんでいく視界の中で、宍色だけがやたらと映えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る