源氏物語に数学オリンピックの入り口が

源氏物語は古来日本人に親しまれてきました。

その中で生まれた「源氏香」という香道の遊びがあります。今回は、その「源氏香」と「数学」とが関係するというお話です。


前回、「宇治市源氏物語ミュージアム」に行って、源氏香を体験した話を書きました。https://kakuyomu.jp/my/works/16816927859356756509/episodes/16816927859799363998


源氏香は、用意された5つのお香を嗅いで(香を聞いて)、同じものをグルーピングするゲームです。


それぞれのお香を5本の縦棒で表し、同じだと思うものを横棒でつなぎます。これを「源氏香の図」というのですが、和風で幾何学的でなかなか趣深いものです。

(近況ノートに写真を掲載していますhttps://kakuyomu.jp/users/washusatomi/news/16816927860891875221 )。


後述するように、組み合わせには52パターンがあり、それぞれに源氏物語の帖の名称がつけられています。(第1帖と第54帖は使いません)。


例えば「2,3,4番目が同じ香りで、1番目と5番目は異なる香りであった場合」は、5本の縦棒のうち、両端の1本目と5本目は縦棒ですが、間の3本は横で繋がった図となります。そして、この図は「関屋」(源氏物語第16帖)と呼ばれています。


この「関屋」の図が、2023年に日本で開かれる国際数学オリンピックのロゴマークに使われているのだとか。


数学オリンピック財団のサイトは以下のとおり。

公益財団法人  数学オリンピック財団「IMO2023日本大会の大会ロゴ決まる!」

https://www.imojp.org/support/IMO2023logo.html


先に述べたように源氏香は52通りです。

5つの香りを嗅いで、同じものをグルーピングする組合わせ──これを数学的に言うと「5元からなる集合の上の同値関係の個数(グループ分けの個数、ベル数 B5)」なんだそうです。


↑……って「数学オリンピック財団」のこのご説明は文系の私にはよく分かりませんがw

ただ、高校数学で習った順列組み合わせの問題だな……と言うことくらいは分かります。


私も高校時代を思い出して、メモ用紙に「5C2」とか書き出してトライしてみましたw

Twitterにそのメモを掲載しています。

https://twitter.com/washu72802210/status/1482265174564536321


ちゃんとした説明は、教科書の出版で有名な「大日本図書」のサイト「雅な数学」という記事にあります。

https://www.dainippon-tosho.co.jp/mathful_diary/2009/0907.html


「5個がすべて異なるとき」「2個が同じで,ほかはすべて異なるとき」「2個が同じで,ほかの3個が同じとき」「2個が同じで,残りの3個のうち2個が同じとき」「3個が同じで,ほかはすべて異なるとき」「4個が同じとき」「5個がすべて同じとき」の、それぞれの場合の数を足し合わせて52となります。


「2個が同じで,残りの3個のうち2個が同じとき」では5C2×3C2を2で割ります。「なんで2で割る必要があるの?」と一瞬不思議に思いましたが。

単純に5C2×3C2で数えてしまうと、例えば「ABが同じでCDが同じ」なんかのケースを二重にカウントしてしまうからなんでしょう。


私が「宇治市源氏物語ミュージアム」を訪問したのは、平安ファンタジー小説を書く参考にするためでした。

そのついでに、思いがけず、数学オリンピックの入り口を見つけてしまいました。


源氏香自体は江戸時代から始まったものですが、平安時代から読み継がれてきた物語です。世界に発信する日本大会のロゴマークとしてはとってもイイと思います!(数学オリンピック日本大会のロゴに採用しようと考えた人、良く思いついたなあ!と感心です)


コロナでいろんな国際大会の開催が難しくなっていますが、2023年にはコロナ禍がおさまり、何の心配もなく大きく盛り上がって欲しいと思います。


数学オリンピックで日本人がメダルを取ったというニュースを時々見かけたことがありますが、2023年の日本大会でも、日本からの参加者の健闘を祈ります!



2023年1月12日追記

この取材をもとに、平安ファンタジー活劇は「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」を書き終えました!

↓ぜひ、お読みくださいませ!

https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393


2023年12月3日追記

このエッセイの更新ができていなくてスミマセン。

この間に、鷲生は日記エッセイを始めました。

そちらで日記の形で歴史ファンタジーの資料や取材記をつづっております。

どこからでもお読みいただけるので、ぜひどうぞ!

「京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記」

https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107


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